九州にある寂れた温泉街が、ありふれた温泉街から脱却し、あくまで健全さと癒しを全面に押し出し、結果成功した。このような成功例を以ってして、全国各地で温泉街が大元から変化して、どこもかしこも健全な健康増進施設へと代わっていった。かつては「温泉街に打っ飛ばしちまうぞ!!」なんて筋者の脅しとしては良くあった、と聞くが、今そんな言葉を言ったとしたらしばし時間が凍結され、「健康に気遣ってくれてんの?」なんてボケが返ってくるのかもしれない。
かつての温泉街らしさが漂っている、某地方都市の奥座敷と呼ばれる某温泉街。三次団体にまで落ち込んだが、しかし勢威としては確かなものを持った団体の本家はここにある。わかりやすい金看板はない、がしかし温泉街の中心地にある「○○サービス」の玄関には勢威を示す高級車が鎮座し、ドアの脇には用心棒としていかにもな威厳を湛えた男-ヤクザとして出世するには、やはりブ男でないといけない-がたっている。
温泉街とはいえ、道往くのは脂ぎった中年男ばかり。健康増進、癒しを目的とした温泉街ならば、ここに旅行ガイドを片手にうろつく老年団体女性客がうろついているはずだ。しかし女性の数が余りに少ない、ここに同県最大の歓楽街としての顔がはっきりと現れるではないか?
時折ニヤ付いた表情で道往く男を手招きする、年のころ50は行ってるだろう老婆がスナックの前で散見される。「うちっとこ一本でええよ~」都会の相場より、はるかに安い。店内から聞こえる「アソビマショー」、安さの理由はここ二あるのだ。日本の冬は寒い、気ぃ付けんだぜ…俺は安い女を抱きゃしねえ、女を抱くなら吉原高級店以下にゃいかねえ、などと一生関わらないだろう類の女を横目に見た。
腐敗著しい同県警幹部が、反する団体の幹部と麻雀で懇親会を行っている、なんて都市伝説が流れても仕方ないこの温泉街。ありとあらゆる規制がないものとされ、誰が名づけただろうか?この温泉街を「治外法権温泉」とか。
一人で泊まれるというだけで十分にありがたい、多分に一番安い宿から出て、なら他に楽しみはないか?女将に尋ねれば「女のほう?ならいくらでも、ええ紹介できますが…」「いや、いいです、ちょっとうろついてきますんで…」「遊ばれないんですか?」この温泉街に来て、遊ばないのは珍しいらしい。
「一儲けできるかもしれないですよ」笑顔で近寄ってくるもどうしても漂ってくる、わかり安すぎる筋者の雰囲気。つまりははっきりとした表現は避けているが、非合法の?が行われているということだ。「打てます?ちょっとヨソよりスリルが強いですよ」麻雀、ならば得意だ、そしてフリーで随分と稼がせてもらった記憶が、いかにもなインチキ臭い雰囲気を吹き飛ばし、瞬間で闘志に火をつけた。
近場の農家?が耳を赤くしてまで打ってはいるが、対面から左右から、一概に含みのある笑みを湛えているが、「ハメ」たのだろうか?土地成金の末は哀れナリ。確かに断定は出来ないものの、しかしやはり雰囲気からして都会のそれとは違っていて、非合法の香りがする。フリーとはいえ、客層が余りにも悪すぎる。笑顔から漂う捕食者の雰囲気、礼儀正しさから漂う蟻地獄の臭い。しかしレートが都会のそれよりも高いと聞き、闘志は萎えるどころかなお燃えた。
というような状況で打ってみたいw普段がおとなしい分、博打で勇ましくありたい。