今回は最近社外でもサーモン的なアナリストとして認識され始めて、嬉しくも複雑な安井が担当いたします。
さて、今回以降の内容は
「第二部の内容理解に必要な分析のイメージを固める」
というものです。
もう少し掘り下げると、ベクトル自己回帰モデル(VAR)という分析手法とそれに基づいているインパルス応答関数という分析方法に関してざっくり理解していただこうという趣向です。
セミナーでは第一部として沖本准教授に説明していただいたのですが、ブログでは安井が担当いたします。
当日のスライドシェアへのリンクはこちらです。(本当は埋め込みたいのですが、埋め込み方がよく解らなかったのでリンクです。)
<アジェンダ>
1. VARとインパルス応答関数を使って何が解るのか?
2. 計量時系列分析の考え方
3. VARモデルって何ぞや?
4. インパルス応答関数って何ぞや?
5. WEB広告での応用例
この辺りの事を3回程度の記事で書ききろうかと思います。
1. VARとインパルス応答関数を使って何が解るのか?
この二つを利用すると、
「ある事象が急に変化した時に、別の事象がその時と未来においてどの様な影響を受けるのか?」
が解ります。
まぁこれだけでは「なんのこっちゃ?」という感じだと思うので、ある例を出したいと思います。
仮に株式投資をしているとします。
すると、「ある国での平均株価の上昇が、別の国での平均株価の上昇を引き起こすか?」という疑問への答えが収益を上げるチャンスとなります。
もしある日の日本の株式市場での平均株価の上昇が、その日のアメリカでの平均株価の上昇を引き起こす事が解れば、
日本で平均株価が上がった日にアメリカで株を買っておけば儲ける事が出来てしまいます。
そういった疑問を分析で答えることが出来るのが、VARモデルとインパルス応答関数の組み合わせです。
実際に日本とアメリカとイギリスの平均株価のデータを使ってVARモデルの分析を行い、インパルス応答関数を使うと下の様な結果を得ることが出来ます。
「ある日の日本の平均株価が何らかの理由で1.2%上昇した時、
その日のアメリカとイギリスの平均株価と、
次の日のアメリカとイギリスの平均株価が、
どの様な影響を受けるか?」
という事を説明しています。
日本の株価上昇の影響を受けて、アメリカでは当日0.1%株価が上昇し、翌日には影響がなくなってしまうという結果が出ています。
また一方のイギリスでは日本の株価上昇の影響を受けて、当日0.2%株価が上昇し、翌日にはアメリカと同様に影響なしという結果が出ています。
つまり、日本での株価の上昇は当日中にはアメリカとイギリスの株価を押し上げる効果が有るものの、翌日以降には効果が特に残らないという事になります。
さて、ここで二つの疑問があるかと思います。
一つは、「で、これってどうやって分析してるの?」
もう一つは「で、これって広告とかマーケティングでどーやって使えるの?」
だと思われます。
次回は前者である「どうやって?」から解説してゆこうと思います。
続く。