「1」は こちら
まず、レースゲームのTAで好成績を残す為に必要な要素は何か、列挙すると
1.全てのコーナーで理論的に最速となる操作を行う再現力
2.走るコースに対する理解
3.使用する車両に対する理解
4.TAを行う条件に対する理解と適応力
と考えられる。この内1.は冒頭で示した文献で議論しているので2.以降について順次説明していこう。
2.については、要するに「コースの何処に何があって、どの地点でどのくらいの速度でどんな姿勢をしていなければならないか理解している」、端的に言えば「脳内でそのコースを走れるか?」という話である。とはいえこれには路面のギャップや各個所のグリップ変化、あるいはコース上を走行する他の車両といった外乱要素の把握も必要になってくる。
3.はつまり、「何をしたらそのクルマはどう動くか」、俗な言い方をすれば「そのクルマを手足のように扱えるか」という話で、前述した外乱要素で車体の姿勢が乱れた場合に咄嗟のリカバリーができるかという話も含まれる。ここに対するアプローチとしてドライバーがクルマに合わせる場合とセットアップを変えることでクルマをドライバーに合わせる場合がある。僕は後者だ。またその走らせ方やセットアップを決め、コース上での外乱に対応するためにはアタックしながら車両の状態を瞬時に把握し、その原因を突き止める必要がある。そこで力学の知識が重要な役割を果たす。
4.について。多くの場合、TAには提出期限があるし、そうでなくてもより早く記録を出した方が有利だ。例えばその条件ではどのクルマが使えて、どのクルマが有利なのか。これから使おうとしているクルマはどんな特性があり、何が得意で何が苦手なのか。故にどんな乗り方をしなければならないか。そういったことを瞬時に見抜いてアタックに反映する能力のことである。
さて、それでは僕が何故ラリークロス強者となったのか考えてみよう。
前提としてDiRT Rally 2.0の挙動が好み、ということがある(3,4)。そしてラリークロスは1周が短くコース上の要素を覚えやすくまたデイリーチャレンジでは同時に走るのは自車のみなので外乱についての心配が少ない(2,4)。ジョーカーラップは外乱に近い要素だがせいぜい数百メートルの決まった通路なのでコースとして覚えるのにもさほど支障はない(2,4)。
また、1車種しか使えない車両クラスが2つあり、残る2つのクラスも車種間の有利不利が付き辛いので僕のように使用するクルマを1車種/クラスに絞ってしまえば扱い方を覚えるのに苦労はしない(1,3,4)。
そして重要なことにこのゲーム、セッティングが自由なのでクルマの挙動をドライバーの好みに合わせるというアプローチが採れるのである(3)。
さらに言えば路面変化やアップダウン、車両セットアップについては車両運動力学の実践練習の場としていたのが奏功しさほど苦労しなかったのも影響しているだろう(2)。
以上、TAに必要な能力とそれをもとにした僕がラリークロス強者になった理由を列挙した。読者諸氏も自分の環境を分析してみてはいかがだろうか。