2009年にクライバーンコンクールで優勝した辻井伸行が、カーネギーホールにデビューした模様を収めたライヴCDが出た。ベートーヴェンのテンペスト、ムソルグスキーの展覧会の絵をメインとしたCDであり、カーネギーホールでのライヴが1か月後にCDになるのは昨年の小澤征爾/サイトウ・キネン以来となる。ベートーヴェンのテンペストは、辻井、別途CDにしていたと思うが、マイルドなベートーヴェンであり、若い感性による名演である。リストのリゴレット・パラフレーズ、楽しい作品で、メインはムソルグスキーの展覧会の絵、テンポ設定は的確で、ロシアの色彩ではなく、ラテンの観点による展覧会で、色彩感を思わせる辻井のピアノはなかなか魅力的なものがあり、今後の辻井の活動に期待したい。
$クラシック音楽・ライヴエアチェック日誌-辻井伸行