【MHF】私とボクの思い出【小説】第三十話 | チョコっとMHブログ♪

【MHF】私とボクの思い出【小説】第三十話

気球から砂漠のベースキャンプに降り立ったフラウ。


太陽のいない夜の砂漠はとても寒く

また、独りで強敵に挑まなければならないこの過酷な状況に

心まで凍えてしまいそうなフラウであった。



(ここでボクが頑張れば、ママは褒めてくれるかな?

違反を犯したことを知ったら怒る・・・かな?)


そんなことをいつものように考えながら、ベースキャンプを後にした。



(うわぁ~まんまるお月さんだ~!)



砂漠の空に雲はない。

ギラギラの太陽が沈めば黄金に輝く美しい月が辺りを照らす。

壮大な星空を眺めていると、不思議な気持ちになってしまうフラウであったが

思い出が甦るほど彼女に思い出は無かった。


ふいに星空に心を奪われてしまっていたフラウに冷たい夜風がまとわりつく。

刺すような冷気に襲われ我に返り、ホットドリンクを一口飲む。



(モノブロス亜種を探さないと!)



彼女はモノブロス亜種に関して少し予習をしてきた。

大きな角を持ち、回転しながら地中を移動するモノブロス。

通常のモノブロスはあまり寒さに強くないため姿を見せないが、

逆に亜種は夜行性で、体も全体的に白い。

地中を移動するときは音を頼りにしているので音爆弾が有効である。


リーチの短い双剣での立ち回りは、セオリー通りでOKだ。

つまり脚狙い一択。

脚を執拗に攻撃してダウンをとることで弱点であるお尻への道が開ける。


角を破壊することができれば貴重な素材「白銀の角」を入手することができるが

お目当ては報酬金。高望みはしていないフラウなのであった。


予習してきたことを思い出しつつ、当ても無く砂原を彷徨っていると

遠くのほうから甲高い咆哮が聞こえてきた。


(・・・!!あっちに、いる・・・!)


ドキンと心臓が大きな音を立てる。

無音の砂漠に自分の鼓動が響き渡ってしまいそうな気さえした。


不安という文字が頭の中を駆け巡り

勢い余って体全体にも行き渡ってしまうと、

それは恐怖という文字に変換された。



それでもフラウは声の聞こえた方へと走り出す。

肉体的な不安や恐怖はかき消すことが出来るのだ。


母からの期待。

それを満たせなかったときの悲しみ。

 

母の優しい言葉に対する期待。

それを得られなかったときの悲しみ。


そういった精神的な苦痛は、時に大きな槌へと姿を変え

肉体的な苦しみを粉々に砕く。








皮肉なことに・・・。








走り出したフラウは既にモノブロス亜種の気配を捉えていたッ!

モノブロス亜種も彼女の足音を感知しているッ!


目前に砂煙が舞い上がる・・・




ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・




そして砂煙は彼女の周りを取り囲むように広がっていく・・・ッ!



(うぅ・・・!視界が悪すぎるよ・・・!

ここはまず音爆弾で地中から引きずり出さないと!!)



ポーチから音爆弾を掴み取り、辺りに投げつけるフラウ




ッキーン!!

   

                  ッキーン!!

 

      ッキーン!!




相手の正確な位置がわからないため、

音爆弾を手当たり次第に投げつけてみるが反応は無い。



(もしかして・・・もう次のエリアに行っっちゃった!?

さいあくだぁ・・・音爆弾の無駄遣いになっちゃったよぅ・・・。)



意気込んだものの徒労に終わってしまった一部始終を星達は見ていた。

星たちの瞬きは嘲笑うようでもあり、声援を送っているようでもあった。

一際大きな月だけは無表情のまま明日の方角を見つめていた。


(少しくらい応援してよぉ。)


フラウは少しだけ月にムッとしたので

試しに月の見ている方角を見てみた。





そして視界に入ったのは白く眩しいモノブロス亜種の姿であった!



第三十一話へつづくッ!