『もうご飯の支度しなくていいから!』
どうして?
お母さんは更年期になって
時々急に怒りだす事がある。
でも、
理不尽だと思っても
どうしょうもない現実だとここでも思う。
それに山田に相談したら
『いいじゃん。お母さんが生きていてくれるんだから
俺んちなんか、おふくろ 父さんの浪費に嫌気がさして
家出しちゃってさ
そのまま他に男ができて
帰ってこなくなったんだよ。
それに、おふくろその男に騙されて
今では消息不明。
お前に言わなかったっけ。
俺いつも
学校ではおちゃらけてるけど、
笑ってばかりいるけど
本当はいつも
泣きそうな時に笑うんだよ。
これみてよ。
俺と父さんとおふくろ3人で撮った
後楽園での写真。
綺麗に撮れてるだろ?
この頃は父さんも真面目だった。
現場監督の仕事してるんだけど
上司のミスを全部自分のせいにされて
首になって
職をうしなって
酒とギャンブルに溺れて
しまいには
おふくろの貯金にまで手を出して
人が良いって損だよな。
お人良しっていいうか
だました奴に
騙された人の気持ちなんてわかんねぇだろうな。ははは・・・。
だから俺、愛とか夢とか大嫌い。
信じたくもねぇよ。
俺なんかじゃ相談になんて乗って
やれないかと思ったけど、
世の中にはいろんな人が居るって事忘れんなよ。若林。
かぁさんが居て
とぅさんが居て
ずっと、
一緒に暮らせる事がどれほど幸せな事か
わかってんだろ?俺に聞くなよ。
母親の更年期くらい支えてやれ。
お前は俺に比べたら
とるにたらない悩みだよ。
俺ね、
かぁさんの事
一生懸命働いて
見つけ出して
もう一度抱きしめてやりてぇんだ。
あんな親父でもお袋でも
俺の親だよ!
負けんな若林!』
バシ!!って山田に肩を叩かれた。
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その時私は山田に相談してよかったと思った。
だから、こんどは恋愛の事も
相談したいと思った。それが正直な感想だ。
若林の強さ、に
全身に電流が走ったよ。
【結婚のBOSS】