人生はこう終わっていくんだろうな。
最寄りのコンビニに行く途中で思った。

夢を追いかけて上京して、絶対に売れてやると意気込んでいた俺は、飯と睡眠と週4回の夜勤のサイクルにはまっていった。

彼女がいて、バイトをして、時々ネタを考えて、いつも通り金がなくて。
友達と麻雀をして、月に一回飲みに行って、年に一回旅行に行って、いつも通り金がなくて。

コンビニの弁当は高すぎて手が出ないのに、パチンコでは一万負けでも勝ち。電気代を気にして暖房を入れないのに、タバコで暖を取る。矛盾だらけの世界。

こうやって歳を取って気づけば40、50になって、たまに笑って、まあまあ悔しさを感じて、死んでいくのか。

人生ってもっと楽しいものだと思ってた。
十代の頃は、なんでも出来る様な気がしていた。
これからの未来は明るいと知っていた。

何もせず、ただ一日を浪費するだけで時が経ち、明るかった未来は沈んでいく。

それでも布団から出ない。
もう終わりだよ。終わり。

人生ってそんなに楽しくないものなのかもしれない。
世界を知るにつれ、楽しいことが増えるより生きづらさを感じることの方が多くなる。

昔より自分を好きにはなったが、怠惰な自分に呆れることも増えた。

お前はやることがあるだろ。

就職してれば幸せだったのかな、などとありもしない現実を考えてる暇があるのに。ないものねだり。

思ったより電車が終点に着くのが早いように、人生もきっと快速のように、景色を飛ばしていく。

本当に大切なものに気づいておきながら。
本当に大切なものを忘れていきながら。

今日もただなんとなく生きてゆく。




明日、大学の先輩の結婚式のため大阪に帰ってきた。


一年半ぶりの帰阪である。


やっぱり大阪はいい。安心する。


新大阪に着いておばが車で迎えにきてくれた。


それから心斎橋で明日の結婚式のために買い物。

そして美味しい串カツ。串の坊。美味。

おばのおかげで心は満たされる。

僕は愛情の受け取り方を知らない。


「今まで出来なかった分してるだけよ」


その言葉が胸に響く。


おばのおかげで大阪に帰る意味と、帰ってきた意味がある。


「今まで苦労してきたんやからこれぐらい当たり前よ」


心は満たされる。少し小さな器に溢れるほどの愛情を注いでくれる。

僕の考えも理解してくれる唯一の肉親。


僕はこれ以上を求めない。いや充分すぎる。

おばのおかげで今日一日と、これまでの人生とこれからの生き方が少し輝いていく。


おばから受けた愛をここに記しておこう。

僕には帰れる場所があることを。


おばが長く、幸せに暮らしていけるように祈ろう。

そしていつか恩返しをさせてもらおう。


明日の結婚式が楽しみだ。


ふと誰かと話したくなる夜。
自分は冷たいくせに寂しがりなのかと考えたり。
大切なものを見失う生き方。

僕が望むもの。
またいつか会う時、普通に話してくれる、それだけでもいい。