半熟生活トライアル (ダリア文庫) 坂井 朱生、 明神 翼 (文庫 - 2008/2/13
半熟生活トライアル (ダリア文庫)/坂井 朱生
¥560
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ほのぼのしたした内容でした。

ストーリーテンポよくおもしろかったです。



17歳にして、父の死が元で路頭に迷ってんぽしまった希帆。 愛人の子だった事実と共に、現実の厳しさをつきつけられた希帆は、歳を偽り働き出す。 生活も安定しだした2年目の冬、突然、雇い主で家主の理真に頼まれ、知人だという恭弘と同居することに。 素性は全くわからないが、不器用な優しさを覗かせる恭弘。 世間や他人に関心を持たなくなっていた希帆だが、次第に彼を意識し始め……。



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内容1

夕方、窓辺で煙草をふかしていた恭弘が、不意に「ちょっと出てくる」と言って立ちあがった。
「どうしたの」
「買いもの」
 ずいぶん唐突だと驚くが、恭弘の声は素っ気ない。普段着のうえにジャケットをひっかけ、彼はふらりと部屋を出ていった。
 コンビニかどこかかな。煙草がきれたのかもしれない。希帆はさして気にもとめなかった。だが喉が渇いて冷蔵庫を開けると、しまったと舌打ちがでる。
「やっべ、忘れてた。どうせなら買いもの頼んじゃえばよかった」
 常備していた飲料水のペットボトルが綺麗さっぱりなくなっていた。緑茶や炭酸はもちろん、ミネラルウォーターもない。
 なくなるまえに買っておかなきゃと思いつつ、つい先延ばしにしていたのだが、朝食時に二人して飲んだのが最後だった。
「暖房って、喉渇くんだよなぁ」
 おかげで、飲料水の減りが早い。それも部屋が暖かいものだから、ついつい冷たいものばかり飲んでしまうのだ。普段でさえ一日、一リットルくらいは飲むほうなのに、暖房を入れてからはペースがさらにあがっている。
 二リットルのペットボトルは重くて、五本六本とまとめ買いをすると、相当の重量になる。いちばん近いコンビニより駅前のスーパーのほうが安く、そちらで買うのだが、あの重さを抱えて歩くのは面倒だ。恭弘に、「ついでに買ってきて」と頼んでおけば楽だったのになあ、と後悔しても遅い。
 しかたがない、自分で行くか。とりあえず三本あればいいだろう。残りは、恭弘が車で出かけるときにでも頼めばいい。
「あぁもう、出勤まえだってのに、面倒くせー……」
 外は寒そうで、つい愚痴がこぼれてしまうが、どうせ誰も聞いていない。希帆は重い腰をあげ、財布を掴んだ。
「うん?」
 ドアを開け、階段を降りかけると、怒鳴り声が聞こえた。目がそちらに向く。店の傍で、恭弘が誰かと揉めているようだ。顔までははっきりわからないが、怒鳴り声の主はデニムにジャンパーという恰好で、恭弘よりいくらか若そうだ。
 まだ酔っぱらいがでるには早い時間だが、絡まれているのならどこかへ通報するなり、したほうがいいかもしれない。不可解で理不尽な犯罪の多い昨今、しかもなにかと慌ただしい年末だ。恭弘の身になにかあってからでは遅すぎる。
 だが事情がわかるまで、早合点して勝手なことをしてはまずいだろうか?
(ど、どうしよ)
 階段の中ほどで立ちどまり、希帆は狼狽えたまま携帯電話を握りしめた。
 恭弘はあたりを憚ってか、声をひそめているようだ。希帆のところに聞こえるのは、男の声ばかり。声は大きくなったり小さくなったりするから、途切れ途切れだ。
(……あれ?)
 揉めているのだとばかり思っていたが、男がいきなり恭弘に抱きついた。少なくとも、希帆の目にはそう映る。希帆はびっくりして目を見開いた。
「……、……っ、好きなんだよ……っ!」
 いったいなんだろう? つい耳をそばだてていると、そんな声が飛びこんでくる。
(好き? 好きって言った?)
 しかも、抱きついて。すぐに恭弘が払いのけはしたが、しかし。
(えーと、これって…………つまり)
 恭弘が見知らぬ誰かに絡まれている、のではなくて。告白、とか、痴話喧嘩、とか。いわゆるそんな感じでしょうか。
 すわ喧嘩かと身構えていた希帆の身体が一気に脱力した。緊張した自分が、莫迦ばかしく思えてくる。
「あーもう、痴話喧嘩ならどっか他所でやってくれっての。近所迷惑だぞ」
 緊張しちゃったじゃないかよと、希帆は一人ごちた。近所は店ばかりで、日中あまり人気がないブロックだというのは、この際忘れることにする。
 恭弘と男の関係はどうなのだろう。男からの一方的な告白なのか、それとも、つきあってでもいるんだろうか。
内容2

「俺と暮らしてるのがバレて、責められてるとか? まさかねえ」
 考えすぎだ。希帆は自分で自分を笑う。だが、もしくはまったく逆で、あの男と揉めたのが原因で店の二階へ転がりこんできただとか、確信もないまま、想像だけが次々と浮かんだ。
 どちらにしろ、恋愛沙汰なら恋愛沙汰で、ますます出ていきづらくなる。スーパーへ行くのにはどうしたって、恭弘と男のいるあたりを通らなきゃならない。無視して通りすぎるのも妙だし、かといってあの深刻そうな揉めごとの合間に、挨拶するのはもっとおかしいだろう。
 なぜか彼らが同性だということは、まったく変だと思わなかった。むしろ、「女に興味ない」と言った、かつての恭弘の言葉が腑に落ちる。
 階段の途中でへたりこんでいないで、さっさと部屋へひき返せばいい。なのに、足が動かない。聞き耳をたてるなんて下品だと自分を罵るくせに、少しでも声を拾えないかと耳をそばだてている。
 好き――、かぁ。
 さっき聞いた男の声が、頭の中でこだました。もやもやしていたものが、すとんと腑に落ちる。
(そっか。俺、……森戸が好きなんだ)
 じいっと見つめてしまったり、話す言葉たわいない動作のいちいちが気になったり。希帆も恭弘も同じ男だから、好きだなんて感情があるとは想像すらしなかった。
 女の子に対する気持ちを考えてみれば、呆気ないほど簡単にわかる。
(森戸って、男も平気なのかな)
 そうして、もし彼が男もOKなら、自分も一応許容範囲に入るのかな、なんて考え、けれどあれが痴話喧嘩なら駄目か、とも思う。仄かな希望と落胆とが交互に訪れ、希帆の頭はふらふらだった。
「部屋、帰ろ」
 自分の気持ちに納得がいけば、これ以上この場にいるのは莫迦げている。
 希帆はゆっくり立ちあがり、足音をたてないようにそっと、降りかけていた階段を昇った。気づかなければよかった。だがもう遅い。一度自覚してしまえば、なかったことにもできない。
 頭の中は霞がかったように白く、なにも考えられなかった。ただぼんやりと、暖かい部屋で座りこんでいた。
したたかに誘惑 (B‐PRINCE文庫) あすま 理彩、 石原 理 (文庫 - 2008/5)
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月上 ひなこ/熱い吐息の挑発 (ラピス文庫)  


純愛:☆☆☆
H度:☆☆☆
オススメ:☆☆☆


リーマンものです。フレッシュマンの日向がOLっぽくって笑っちゃいました。
なんていっても、上司好きなんですから・・。できる大人がすきなんですね。
という訳で今回は前の恋人に嫌気がさして、転職。その職場の上司が元カレの双子。
毎日ドキドキしながら、最後は恋人同士に。
やはり、双子の好みはいっしょなんでしょうかね~


ボーイズラブ ・BL な毎日。

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