文筆家でもないのに、他人に読んでもらう文章を書くときの決まりなんてものが自分の中に幾つかあります。
「オチを思いついてから書く」
「ポエムみたいなことは書かない」
みたいな。
それら全ては結局のところ、「できるだけ伝わりやすく書く」という目的に集約されます。
今回はそんな決まりの何個かを破るような文章になると思います。
だからとても分かりにくいものになるでしょうが、今思っていることをできるだけ具体的に書こうとすると、どうしてもそうなるので。
ありのままを描写しようとすればするほど、結果としてわかりづらくなってしまうことってあるんですね。
さて、恐らく皆さんが最も気になるのがまず「なぜ役者業を休業するのか」ということだと思います。
これは結論から言うと、「今の自分にお芝居を続ける資格が無いと思ってしまったから」です。
ここでハッキリと言っておきますが、「お芝居をやる為に必要な資格」なんてものは存在しません。
わお1行で否定。
でもね、そう「思ってしまった」んです。
自分が役者を続けていく上で必要な自分の中の資格を満たしていない。
そう表現するのが一番適当な状態。
ではそんな状態で芝居を続ける?それこそ有り得ない。
スパッと一回幕を引くしかない。となりました。
それはどういうときに感じたのか。
いろんな瞬間がありますが、一番は
「芝居を楽しいと思えなくなっている」
ことでした。
よく「役者をやっててもほとんどが辛いこと大変なことばかり。でもたった一回の嬉しさがそれを全部吹き飛ばす」なんて言われます。
大半の人がそうでしょう。
じゃあ、その「一回」が小さくなっていった人は。
元々僕はアニメが好きで、それがきっかけで声優を目指しました。
演技がしたい、ではなくアニメに出たい、という欲求。
それ自体はよくある話です。
ただ続けていく内に、ちゃんとお芝居自体も好きになりました。
出なければもっと早い段階で淘汰されているはずです。
この世界はそれを見逃すほど甘い世界じゃないことは身を持って体感してきました。
今でも別にお芝居が嫌いになったわけではありません。(だからこそ廃業ではなくギリギリのところで休業にしたのですが)
ただ、残念ながら「嫌いじゃない」程度の感情はこの世界を走り続ける為のガソリンにはならないのです。
少なくとも僕にとっては。
「好き」。圧倒的な「好き」が必要なのです。
その執念のような、カラッカラの砂漠がその一滴の水で潤うような、渇望の先にある「好き」が。
2年ほど前から自分の中で色んな確かめ方をして、
やはり今の自分はそのレベルの感情を持ち合わせていないことを確認しました。
それが今回の判断に至った最大の理由です。
もう1つの大きな理由は、
「他人と深く関われないから」です。
いきなりエヴァのシンジくんみたいなこと言い出しましたがかなり真面目な話です笑
僕にとって一番大事なものは自分です。
僕の世界は突き詰めると「僕か、そうじゃないか」の二択でできています。
僕が優しく見えるなら、それは「僕にしてほしいこと」をしているからです。
僕が平等に見えるなら、それは「僕以外の人が全員同じ」だからです。
いやー我ながら拗らせすぎてエゴがとんでもなく肥大化してしまいましたー笑
というかこの問題はもう芝居うんぬんではなく、何の仕事しても、いやプライベートでもつきまとうのですが。
なので最近の僕は「もう俺無人島住むしかねぇな」って思ったりします。
思ってるだけで、もちろん住めません。
で、そんな関係を築いている人間がですよ。
芝居とかいう、関係性の塊に取り組むって。
そんな状態でいいものを構築していけますかって。ね。
いや中にはそういった方もいて、素晴らしい芝居をする方もいるのでしょう。
重ね重ねになりますが、今回のお話は演技の一般論ではありません。
「僕がお芝居を続けられないと思った理由」です。
僕が漠然と感じた「今、自分が休業することに必然がある」という感覚を、なるべく紐解いて言語化するとこうなってしまう、ということです。
ご了承下さい。
よく「売れないから辞めるの?」と思われがちですが、そういうわけではありません。
仮に僕がバリッバリに売れていたとしても、恐らく同じ問題に直面していたでしょう。時期は数年先になっていたでしょうが。
そしてその時も、きっと僕は今と同じ選択をしていたはずです。
全く意味の無いifの話ですけどね。
また、「食えないから?」みたいなのも違います。
アニメには最近出ていませんが、それ以外のお仕事や僕が報告をしないだけで表に出ない仕事は結構やらせて頂いていた方だと思います。
もちろんめちゃくちゃ貰ってたかっていうとそうじゃないのが悲しいところですが、そもそもお金を稼ぎたいならこんな不安定な仕事には就きません笑
休業しよう、とハッキリ決めたのは5月上旬です。
そこからは変な話ですが周囲のものが何だかみんな…こう…美しく?見えるようになりました笑
表現が不適切かもしれませんが、感覚としては余命を知った患者さんの見る世界、というか。
最後に出た6月の舞台でも色々と大変なことがありましたが、僕からしたらそれらすら「あーこれも体験できなくなるのか…」といった状態でした。
この先何をするのか、というのは自分でも本当にわかっていません。
一応少しだけ頂いているお仕事があるので、役者業以外の脚本業や司会業等々はやらせて頂きますが、そのままエンタメ業界に残るのかもまだわかりません。
ただ今だからこそ会える人、話せることがあるので、
まずはいろんな所に行って、いろんな人に会って、いろんなお話をして決めていきたいと思います。
「休業」はいつ終わるのか、というお話は。
今度僕が戻ってくるとしたら、それはもう「絶対に一生芝居を続ける、僕は芝居無しでは生きてはいけないんだと思えた時」です。
その可能性はゼロではないので休業ですが、
かなり低いこともまた事実です。
ですので今の肩書きは「フリーの役者」ではありません。
何でしょうね、「芝居以外のことは大体何でもする人」です笑
今回ツイッターで発表したとき、予想外に沢山の反応があり驚きました。
自分のような者でも、応援して下さってた方が沢山いたんですね。
この場を借りてお礼を言わせて頂きます。(ツイッターでは言わない)
これでとりあえず思っていることはほとんど書けたかと思います。
これで説明になっているのかはわかりませんが、なるべくありのままの言葉で書いたのでこれ以外のものは振ってもあんまり出てこないかもしれません。
もし足りないようでしたらもう動画配信で質問コーナーするのが一番いいかなと思ってます。
やり方わからないけど笑
とりあえず皆様、ひとまずありがとうございましたー!