運転している男。遠くから、「石焼きいも」の車が近づいて来て、男の車の後ろに着く。
以下、スピーカーからのアナウンスと男の独り言。




「♪い~も~、石焼~きいも~!」


『アレ?石焼きいもだ。』


「美味しい美味しいおいもだよ!安いよ!」


『俺、石焼きいもの車には、何度か騙されたからな・・。』


「♪石の~ような、いも!カタイよ!」


『ダメでしょう!硬かったら!って、このツッコミ覚えがある!』


「じゃなくて、♪いもの~ような、石!カタイよ!・・ところで世の中には時として全生に見えるいもがありますが・・。」


『何?全生(ぜんなま)?』


「安心して下さい!焼いてますよ!」


『パクった!あのギャグパクった!』


「♪いもの~ような石で焼いた~♪いもの~ような、いも!旨いヨ!」


『奴だ!この流れは間違いない!また逢ってしまった!』


「大掃除の合間には、焼きいも食べてね!」


『また年末から始まる展開だ!』


「年賀状は早めにね!いもバン押していも食べて!」


『そして次に来るのは!』


「♪い~も~、石焼~きいも~!クリスマスのプレゼントは、今年も焼きいもだよ!ありがとうサンタさん!(子供の声)Ho! Ho! Ho! (サンタの笑い声)」


『奴はバージョンアップしている!』


「♪い~も~、石焼~きいも~!美味しい美味しいおいもだよ!」


『もうこいつと一緒に年を越してしまう運命か!』


「大晦日はもちろん・・スリー、トゥー、ワーン、ズィーロ!・・オー!ハピヌーイモヤ~!(♪パーンパーン!)」


『何て運命だ!俺は今、感動している!あ、涙が・・。』


「明けましておめでとう!ほら、お年芋だよ。良い子で一年過ごすように(父の声)。お母さんが預かってあげようか(母の声)。嫌だ!芋銀の半年定期にする!(子供の声)」


『まさか、お年玉あるあるをいもに差し替えるとは!』


「♪い~も~、石焼~きいも~!旨いよ!」


『次に来るのはあれかな?やべッ、俺スゴく期待している!』


「♪チョコより、フツーに、焼きいもがッ好ッき~!♪焼きいもより、フツーに、あなたッがッ好ッき~!(芸人永野のマネ)」


『上手い!モノマネのレベルも高い!』


「コホン、これより卒業いもを授与する。はい、卒業おめでとう。(校長先生の声)」


『もはや芸人だな!ワクワクが止まらない!』


「♪屋根よ~り~た~か~いいものぼり~!」


『これは変わりないんだな?それより、入学を抜かしたぞ!』


「ちょっと戻って、入学祝いに、ちょっとい~もの食べに行こう!」


『わかってんじゃないか!てか、い~ものって、いもじゃないのかい!』


「ジメジメ、ジトジト!梅雨の季節は、部屋干しのいもが乾かなくてや~よね奥さん!」


『あえての部屋干しのいも!』


「台風災害の備えに、干しいもが欲しいも!」


『今年はちょっと違うんだな?すでに焼きいもじゃなくなっているし!』


「熱中症には冷やしいもがいーも!」


『医学的保証はないぞ!』


「何だか疲れて来ちゃった。夏バテかしら・・。」


『やっぱりいもがまずかったんじゃないのか!』


「まだ一周してないのかしら・・。」


『お前誰だ?頑張れ!後もう少しだ!』


「やっぱり一年中は、無理があるのかしら・・。」


『どうした?無理にすすめてくれよ!俺達ファンはそれを期待しているんだ!』


「いーもの食べ過ぎたのかしら・・。」


『何だったら俺、いも持って見舞いに行くぜ!』


「入院見舞いに持って行くのは、現金とかにしといた方がいいヨ!」


『何なんだこいつ!いもをもっとゴリ押ししろよ!てか、俺のつぶやき聞こえるのか?』


「♪い~も~、石焼~きいも~!旨いヨ!」


『なんか凄くこいつの顔見たくなって来た!』


「♪石の~ような~いもの~ような石で焼いた~♪石焼~きいも~!旨いヨ!」


『なんかこいつから、石焼きいもとっても買いたい!そしてお友達になりたい!』





「・・でも残念ながら、廃業だよ!」


『えっっっ!廃業だって?』


「事情はここで言えないよ!」


『何ーーーッ?』





いもの車は、カーブを曲がり、どこかへ去る。アナウンスは小さくなって行く。



『訳わかんねーーーッ!』





画像はネットからお借りしました。