エピローグ ④ 「ありがとう、パパ、ママ。 わたしを誇りに思ってくれて。 アレックスを認めてくれて」 ひとしきり泣いた後、 キリーは呟いた。 「わたし、本当に結婚するのね」 アーサーは大丈夫だと言うように、 キリーの背中をポンポンと数回叩き、 アンジェラはキリーの頭を優しく撫でた。 キリーは無性にアーモンドの森を歩きたくなる。 「パパ、ママ。森を歩いてきて良いかしら? 木に挨拶をしてきたいの」 うなずくアーサーとアンジェラ。 「二人でいっておいで」とアーサーが言う。 「キリー、運命の人に会えたお礼もね」 ウィンクして微笑むアンジェラの言葉に目を丸くするキリー。 「ママ、知っていたの?」 アンジェラとアーサーの見守る中、 二人は青々と茂るアーモンドの森へ向かった。 広く広大なアーモンドの森、 その森が一斉に花をつけた幻想的な景色が 日本に行ったばかりのアレックスには目に見えるようだった。 迷うことなくどこかを目指しているキリーと アレックスの目の前が急に開け、 比較的若いアーモンドの木が目立つようになった。 その先の森の終わり とても若い木の幹を撫でながらキリーが呟く。 「これがわたしの木」 そして、 その木を見守るように立つ立派な木を抱きしめて、 「これが父アーサーの木」 そして、 その後ろに立つ木を指差して、 「それが祖父ルークの木」と次々と名前を挙げていった。 「ここはヘスティア家の森なの」 とても誇らしげに微笑むキリー。