エピローグ ③ 「それじゃあ、 アレックスに結婚式の話はもう聞いたんだな?」 アーサーの優しい声に驚くキリー。 「二人とも知っていたの?」 キリーの質問に二人は顔を見合わせて微笑む。 「おまえがアレックスにもらった婚約指輪をして帰ってきて、 一ヶ月ほど自分をアレックスに預けると 言った時から覚悟はしていたさ」 それからアレックスのほうをちらりと見て、 「それにおまえ、 アレックスがわしらに何の相談もなしに 結婚式を決めたとでも思っていたのか?」 そう言えばそうだ。 いくらアレックスでも そんなことはしないだろうとキリーは思い至る。 「おまえは知らないだろうが、 アレックスは週に一回はおまえを連れて わしらに会いにきてくれていたんだぞ」 そうなの?とアレックスを振り向くと アレックスはそっぽを向いていた。 他にもキリーの知らない間に 何かをしていそうな顔だった。 「いつ来てもおまえはとても元気そうで、 とてもかわいい服を着て、 それもアレックスのお母様が 喜んで着せてくれていると言う話じゃないか。 わしらはおまえを誇りに思っている」 アーサーがキリーの顎をつかみくいっと上を向かせて キリーの瞳を覗き込む。 「さすが、わしらの娘が認めた男だとな。 元々おまえが決めたことにとやかく言う気などなかったが、 わしらに見せる気遣いやいつ会っても元気そうで 幸せそうなおまえを目にしては 認めないわけにはいかないだろう?」 父の言葉に涙が溢れる。 母の優しい手が肩に触れる。