Ⅸ ⑯ 「わたしの望みはあなたの幸せよ。 あなたの幸せがわたしの幸せなの」 キリーの言葉にアレックスの迷いが晴れる。 「キリー、明日は僕も一緒に行くよ」 アレックスとフィンが敬遠の仲なのは 何となく知っていたので、 とても驚くキリー。 「大丈夫、邪魔はしないから……」 アレックスが邪魔だなんて考えたこともなかったので くすくす笑いながら提案する。 「アレックス、 明日はフィンとの約束の時間まで 二人でのんびりデートすると言うのはどう?」 瞳を輝かせうなずくアレックスの穏やかな表情を 愛しく感じながらキリーは二人だけの美しい時間を楽しんだ。