Ⅸ ⑪ 目を輝かせて楽しそうなキリーを見ていたアレックスだったが 不意に我慢できなくなってキリーを連れ出す。 「酷いわアレックスってば、 まだ半分も案内してくれていないじゃない。 それとも私に見られると困るようなお仕事でもしているの?」 怒ったように押し黙ったままのアレックスがわからなくなって 仕方なくリムジンのソファーに身体を預けるキリー。 「似合わなかったんだ」 口を開いたアレックスの言葉の意味がわからずに 聞きかえすキリー。 「その服は母が選んだものだ。今のきみには似合わない」 アレックスの言わんとしていることが少しわかった気がした。 「僕がきみのために選んだ服は 仕事中のきみには似合わなかった。 そのことを母に話すとどこからか何着か服を持ってきて きみに着せたんだ」 不満そうに話すアレックス。 「それがとても似合っていたから、 きみの仕事中の服は母にまかせる事にしたんだ。 実は母もそう感じていたらしくて、 すでに何着かきみのために服を買い込んでいて 娘を欲しがっていたからとても喜んでいたよ」 服が似合わなかったのはわかったが、 それとアレックスの行動の意味がわからなかった。 「今朝も仕事中のきみにも その服は似合っていてとてもかわいかった。 なのに本来のきみに戻ると違和感を感じていた。 でも家に帰るまでの間だと我慢していたんだが」 そう言って驚いているキリーを引き寄せ 抱きしめるアレックス。 「こうしていると きみの服を脱がせたい衝動を抑えることもできるし、 きみをとても身近に感じることができるから一石二鳥だな」 と嬉しそうにアレックスは言った。 アレックスの家に帰ると、 バーバラがにこやかに出迎えてくれた。