前回の続きから。新卒と作業をチェンジしたときに随分作業が遅れてしまった。

箱折りの彼女は本っ当疲れた、しんどいとこちらに聞こえるように言ってくるし。

堪りかねて昼休み休憩の際に一課の課長に「ちょっとライン作業についていけない、限界かも」
と気持ちを吐きだすと。

昼一でラインが流れてきたときに、リーダーさんが慌てて駆け込んできた。

リーダーさん:「ぴぐれっとさん、まずはこちらに言ってもらわないと。びっくりしたわよ。
皆んな、口に出さないだけで抱えてる事情は色々とあるのだから。とりあえず今は辛抱して続けてみて。」

その日はなんとか最後までライン作業をし終わったのだが。

帰りにリーダーさんに順番をすっ飛ばした非礼を詫び、今後について尋ねた。
ぴぐれっと:「まずは、リーダーさんに相談すべきでした。気が動転していたとはいえ、失礼なことをしてすみませんでした。…明日も場所チェンジしたままなんですかね。今日は初めて通しでやったからうまく行かなかったけど、明日は今日よりは段取りよくやれると思います。」
リーダーさん:「ホントよ。まあ、明日も場所チェンジのままかもしれないけどね。」


翌日もやはり場所チェンジのまま、ライン作業がスタートした。
昨日の二の轍を踏まないよう、段取りを頭に叩き込み、周りを確認しながら慎重に作業を進めていく。
年配の雇用延長の女性が様子を見にきた。
雇用延長の女性:「ぴぐれっとさん、慌てなくていいから。ほら。取りこぼしがあるわよ。」
正直、ずっと側に居て作業見られるのは辛かったし、段取りを考えて集中している時に声掛けられるのは厳しかったが。それでも、流れてくる肉を最低限キレイに整形する努力はした。

10時休憩になったら、リーダーさんが来て私にこう告げた。
リーダーさん:「ぴぐれっとさん、今から別の検品作業に入ってもらえない?■■さん(雇用延長の女性)が◯◯ちゃん(新卒の彼女)に教えたいことがあるらしいから。」

その日1日はライン作業に入らないまま。別の検品作業をしていた。
その次の日も別の作業を朝からあてがわれ、笑っていたけど、もう心が限界だった。

ああ、私は必要とされてないんだな、この先、雑用係として皆から見下されながら仕事を続けていけるのか。

退職を決意した瞬間だった。


しばらくして、家庭の事情が落ち着いたのか、箱折りの彼女が部署に復帰した。

初めは神妙な雰囲気で仕事に着いていたけど、勘をとり戻したのか。いつもの調子に戻ってきた。

新卒歓迎会を兼ねた部署内の飲み会がそのすぐ後に開かれたのだけど。
彼女が出席してはしゃいでいるのに正直違和感と嫌悪しかなかった。
一カ月も休んでおいて、こちらに一言もなく。
そういう会には出てこれるんだ、と呆れた。

しかし表面上は上手くやっていかないと。と思い、仕事では業務連絡はしていた。

やたらこちらを仕切ってくるのも嫌だったけど、先輩だし伺いを立ててやっていた。

そのうち、新卒の彼女をあげて私をさげる行為を露骨にしてくるようになった。

箱折りの彼女:「◯◯ちゃん(新卒)上手〜。次これやってみようか。」
「ぴぐれっとさん、こっちの肉にも気を配ってよ。検品する人がし易いようにするのも気遣いと思うのよね。」
新卒に覚えさせるために、私の作業と新卒の作業を初めてチェンジした時も。(ちなみにその作業は通しで入るのは初めてだった)
「ちょっと!ぴぐれっとさん!私がそっちの遅れてる分やってあげてるんだから、◯◯ちゃんの作業の方をやってあげてよ!」
「ねえ、なんでここの肉、同時にとらないの?
タダでさえ、作業遅いのに!」

それと同時期だったか。私がいざという時の為に他の作業を教えて欲しいと彼女に頼んでいたが、返事をもらえないので、リーダーさんを通して時間のある時に彼女に教えて貰えないかと頼んでいた。
(以前に彼女が休みがちで、新卒もダウンして、ラインが流れて溜まっていたのに朝から人が足らなかったことがあり。見よう見真似で担当じゃない作業を進めていたら、雇用延長の古参の女性に「練習の場じゃない!」といわれ、取り上げられたので)

帰り際、私が包丁を研いでいるときに彼女がつかつかとこちらに来た。

箱折りの彼女:「ぴぐれっとさん、リーダーさんに私から作業を教えて欲しいと頼んだの?
悪いけど、今のぴぐれっとさんの状態では私は教えることは出来ない。時間かかってるし。本当なら今時期もっと出来てないといけないから。今の作業もいっぱいいっぱいそうだし、とてもじゃないけど新しい作業は無理だと思う。することが沢山あるからね」

他の作業も覚えたいという私を身の程知らずと思ったのか。図々しいと思われたのか。

それから露骨にツンケンした態度を取るようになった。関係は元に戻ったのだ。