今日は朝から急な予定変更で慌しい。
と言っても久しぶりの休暇を潰されただけで特に問題は無いが、せっかくの休日。
チェギョンとゆっくり過ごそうとしていたのに……おもしろくない。
それが公務の為ならいざ知らず、王族会からの呼び出しなのだからなおの事だ。
『王族会の定例報告会にあなたも出席して欲しいそうよ』
朝の挨拶に向かった先で姉さんからそう言われたが、姉さんも何か腑に落ちない様子だった。
わざわざ俺を呼ぶとは何事だろうか。
定例会への呼び出しにはあまりいい思い出がない……。
ユルを殴ったときもそう……、放火事件の時もそうだった……。
(何だか胸騒ぎがする……)
そんな事を考えながら支度を続けていると後ろからお気楽な声が響いた。
「シンく~ん、そんなのんびり支度してると遅刻しちゃうよ?」
「お前とは違うから大丈夫だ」
こんなチェギョンの何気ない一言に気が抜けて笑いそうになるのをなんとか思いとどまって真面目に応える。
せっかく二人そろっての休日が潰されてしまい拗ねているかと思ったが機嫌はそれほど悪くなさそうだ。
「悪かったな、せっかくの休みでゆっくりできるかと思ったけど……」
「シン君が悪い訳じゃないでしょ? お仕事だもの仕方ないから大人しく我慢してるわ」
大人しく我慢する、なんて以前のチェギョンからは想像できない言葉。
少しからかいたくなってチェギョンの顔を覗き込んだ。
「いつからそんなに聞き分けのいい子になったんだ?」
「私だって成長してるんだから! 大人になったんですー」
「そんな事を言う所が大人気ないけどな」
「もぅ、シン君!!」
「ぷっ、はははははは」
チェギョンの膨れた顔に、二人の笑い声にさっきまでの緊張が嘘のように解けていく。
膨れた顔をしながらも、そっと俺のネクタイを直してくれるチェギョン。
そんな毎日の当たり前な幸せをこうやって感じていられるのは、あの辛い日々があったからかもしれない……。
チェギョンと離れていた間、寂しさに押しつぶされそうになっていたのはきっと俺の方だ。
だからこそ今をこうして大切にできる。
「いってらっしゃい」
笑顔で見送りにでてくれるチェギョン。
そっと手を握りいつものキスをひとつ。
この幸せを守る為に何があってもこの手は離さない。
そう心に誓い部屋を後にした……。
静かな朝を迎える。
けれど、大きな嵐の目はゆっくりと、すぐそこまで近づいている……。
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