今読んでいる「ビジネス寓話50選~物語で読み解く、企業と仕事のこれから」(博報堂ブランドデザイン編)に挿入されている寓話を取り上げます。米国ワシントン州 シアトル に本部と本店をおき、アパレルやアクセサリー、化粧品などを扱う全米最大の高級デパート、ノードストロームの伝説的カスタマーサービスの一例。



アラフィーオヤジの起業・夢追いセレナーデ-ノードストローム

ある日、ひとりの男が4本のタイヤを携えて、ノードストロームの店にやって来ました。そして店員に「このタイヤを返品したい。代金を返してほしい」と言いました。


「かしこまりました。現金でお返しいたしましょうか?それとも、クレジットにしましょうか?」そう店員が問いかけると、男は「現金で欲しい」と答え、店員が用意した現金を受け取って帰って行きました。


しかし、ノードストロームはファッションの専門店です。当然のことながら、開業以来タイヤを扱ったことは一度もありません。にもかかわらず、男を接客した店員は、タイヤのカタログでそのタイヤの値段を調べて、そのぶんを返金したのです。


ノードストロームでは、顧客からの返品はすべて無条件で受け入れる方針。その店員はそれを貫き、「どのお店で買われたのかも訊かない。お客様の言ったことをそのまま受け止めた」と言っています。


本書では、特例的なひとつの伝説としながらも、利益を上げることを第一義にはせず、経済合理性越えた信念や理想を持っているノードストロームだからこそ、このような伝説が生まれたのは間違いないと解説しています。一方、<マートワン>のサイトにはこの寓話について次のように述べられています。


この話はまさしく伝説のマジック。いかにも起こりそうな気がしますが、実は尾ひれがついた一件です。実際には、ノードストロームが運営交代した店で、前の運営者がタイヤを販売していました。お客さまは前の運営者から購入していたのです。しかし、さすがに ノードストロームです。あっさり返品に応じたのです。


アクティブ・リスニング 人の話を傾聴するスキル - マートワン

http://www.martone.co.jp/a/training888.html


ノードストロームのこうしたサービスについては、数年前にノードストロームウェイ-絶対にノーとは言わない百貨店-(ロバート・スペクター、PD・マッカーシー著)を読んで肝銘を受けました。いわゆる「お客様第一主義」のスローガンはいたるところで耳にしますが、ここまで徹底されてこそ、ですね。


私が知っている限りでは、帝国ホテル、リッツ・カールトン、東京ディズニーランドのサービス、ウォールマートの返品制度、サウスウエスト航空のスタッフへの権限委譲などがありますが、個人的にはその昔、某大手チェーンのレコード店で母のプレゼントに買ったカーペンターズのCDが、実はラベルとは中身が違うバンドのもので、後日交換してもらいに行った際、買った時のレシートがなかったために交換してもらえなかったという苦い思い出があります。


ミスター百貨店が薦める一冊「ノードストローム・ウェイ(新版)

http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/93bd0fb5e2ba6fb078328bf75c877a7d


「正義の経営」を学ぶ(4)~アメリカ・ノードストロム~

http://ameblo.jp/asongotoh/day-20070925.html








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