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               「EUの父」青山栄次郎

 

 四谷のPAULという店で食事をしていたら、ばったりドナルド・キーン先生と誠己さんにお会いした。 実は最近、ある短い原稿を先生にお願いしたが、断られてしまった。そのことを先生は気にされていて、謝まられた。「もう新しい本を読む元気がないんです」とおっしゃる。確かに私の頼んだ原稿を書くためには英文とはいえ本を一冊読まなければならないから、頼んだ後で、こちらが申し訳なかったと反省していたのだ。その本の翻訳を近くわが社で出版するので、そのことはまたこのブログで改めて書こう。先生の近著である力作評伝『石川啄木』の感想を申し上げてお別れした。

 

 フランスでまもなく新しい大統領が生まれる。パリ大学に留学している後輩の女性に「EUを壊そうとしているルペンには絶対に勝ってほしくない」とメールした。すぐに「大丈夫でしょう」と返信がきた。イギリスに続いてEU離脱を表明しているマリーヌ・ルペンが当選すると、ほんとに

EUは危ない!

 20年ほど前、チェコのロンスペルグ城へ行ったことがある。明治時代に、オーストリア帝国の駐日公使をしていたクーデンホーフ=カレルギー伯爵と結婚した青山光子の嫁いだ城である。いまから120年ほど前、国際結婚第一号といわれた。女子教育に熱心だった昭憲皇太后(明治天皇の皇后)が、嫁ぐ前の光子さんに謁見し、ヨーロッパの貴族の夫人になる心構えを説いて、お祝いに確か扇子を贈られた。国を挙げての結婚となってしまった。

 すでに朽ちかかっていたその城を見て、様々なことが脳裏に去来し、胸が熱くなった。彼女が残した手記を見たという情報をNHKの人から聞き、それを手に入れて本にしたいという思いに駆られ、ウイーンを経由してチェコへ行ったのだ。光子さんは、夫の伯爵の死後、親族の中で孤立し、晩年はあまり幸せとは言えなかった。今とは時代が違う。東洋人の女性として初めてヨーロッパの貴族社会に入った彼女がどんな思いをさせられたか、想像に難くない。

 お城近くの古文書館で彼女の手記を見つけたときは、正直、躍り上がる思いだった。その本を作るときに、東京生まれの息子、リヒャルト・

クーデンホーフ=カレルギー(写真上)、日本名青山栄次郎のことを知り、いつか、彼のことも本にしたいと思った。彼こそ、「EUの父」と言われた思想的指導者である。「ヨーロッパは一つ」と唱え、そのためにナチスの迫害にもあった。映画『カサブランカ』でイングリッド・バーグマンがナチスに追われ、恋人と仏領モロッコに逃れてくるが、その恋人である抵抗運動の指導者のモデルがリヒャルトだといわれている(写真下)。

 

 しかし、EC(EUの前身)を生むきっかけになった人物に日本人の血が流れていることは、ヨーロッパでも日本でもほとんど知られていない。光子さんの手記をどうしても出したいと思った理由の一つだった。わずかに、外交官出身で鹿島建設の会長だった鹿島守之助氏がリヒャルトの思想に共鳴され、彼を支援したことは特筆すべきことだと思う。そんな財界人は今はもういない。

 私は、光子さんとヒャルトの親子には、そういうわけで特別な思い入れがある。リヒャルトはパン・ヨーロッパの理想を説き、ECの基礎を築くのに、文字通り命を賭した。私はフランス大統領選挙を見るときに、「EUを壊してほしくない」という強い思いに駆られるのだ。

 

 

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