アリサから一言。


昨年の秋から更新しないまま、新しい年を迎えてしまいました。

ずっと書かなかったのは、ハルキにもう書くのは止めてほしいと言われていたからです。

このまま、閉鎖も考えていました。

だけど、時が経って、やはり書いておきたいという気持ちが強くなりました。

この日々は私にとってやはりかけがえのないものだからです。

そして、メッセージをいただいた皆様にも感謝します。

未熟な私のブログを応援していただき、ありがとうございます。


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ハルキに嘘をついているのが辛かった私は、ついに本当のことを話した。


ハルキはとてもショックを受けていた。


もう、これで終わってしまうのかな。


きっぱりと別れると言えない私は、ハルキへの未練でいっぱいだった。


そんなある日。


朝からたくさんの着信が入っているのに気づいたのは、お昼近くだった。


そして、ハルキがダンナと住む家にやってきた。


「今日は連れて帰るまで動かない」 とハルキ。


ダンナは仕事で外出していて留守だったけど、夕方には戻ってくる。


もう、どうしたらいいのかわからない私は、身の回りのものをまとめて

ハルキと家を出た。


胸が苦しかった。


流されている自分も嫌だった。


だけど、真実を知ったハルキがそれでも私と一緒に生きたいといってくれたことが

うれしかったし、その気持ちに応えたかった。


結局、この日からハルキとの生活が再び始まった。

ハルキと住んでいたマンション。

出るときは、それ相当の決心をしていた。

けれど、こうして久しぶりに目にする部屋は、少しも変わっていなくて、

一気に時間が引き戻される気がした。


厳密には、ちょっとずつは変わっていた。

私が知らないテーブルが買われていたり、

育てていたハーブが大きく成長していたり。


「お昼は何にする? パスタでも茹でようか?」と言う私に、


「よしてくれ。そんなふうに夫婦ごっこしても空しいだけだよ」とハルキ。


・・・ハルキの言うとおりだ。


「どうするの。帰ってくるの?」 


と、ハルキはこわばった顔で私を見る。


「本当は、ダンナのところにいるんじゃないの?」


「違うよ。実家にいるのだけど、心配していて、早く帰らないと」


と、嘘をつく私。


この時点で、胸が苦しくて張り裂けそう。


正直に向き合えない以上、うまくいくわけない。


それでも、いつの間にかそんな雰囲気になって、抱き合って。


こんな状態を続けていたら、どんどん心を病んでしまう。


私も、ハルキも。


いったい、どうしたらいいんだろう。

正直に、ダンナのところにいるって伝えたい。


だけど、言ったときのハルキの反応が怖い。


別れる勇気もない。


ずるい私。


最低だ。


夜になって、帰らなければ、という私に、ハルキは悲しそうに


「駅まで送る」と言って服を着る。


「早く帰ってきて」とハルキ。


私を信じられなくて、でも、信じようとしているハルキを見て、

苦しくて、苦しくて。


ダンナのところに戻る私は、史上最低の人間だ。


やっばり、本当のことを伝えなければ。


友達に反対されても、これは当事者でなければわからない。


この、辛い事態を終わらせなければ。

ハルキからは毎日のように連絡が来た。

メールには

「早くよくなってね。今日は具合はどう?」 などと

私を気遣う言葉が並んでいた。


私は毎日、ハルキとのやりとりが心の支えになっていた。


一方で、ダンナとの生活も淡々と続いていた。


私が具合悪かったこともあって、

以前よりは色々と手伝ってくれた。

それでも、やってあげてる、という態度が見えて、

あまり気持ちのいいものではなかった。


ダンナの歳になって、そんなに急には変わらないのはわかってる。

少しでも家事を手伝うようになったのは、いいほうだと思わなければ。


そう考えても、ハルキが恋しかった。


離れてみると、彼がどんなにいつも私を思ってくれたかがわかる。


病気のときはつきっきりで看病してくれた。

いつも、私の体調を気にしてくれた。

家事はさりげなく手伝ってくれていて、私はいつでも感謝してた。


でも、今の私はハルキに嘘をついて、

実家にいると言いながら、ダンナと暮らしている。


性交渉こそないけれど、やっぱり心が痛かった。


ほんとのことが言いたい。


そう思いながら、彼を失うことが怖くて、言い出せなかった。

彼を傷つける、という友人の言葉も響いていた。


日々は流れ、私の腸炎もかなり回復してきていた。


元気を取り戻すにつれ、私は、ハルキのところに戻りたい、と考えていた。


そう思いながらも、また戻って苦しむ自分を想像すると、

なかなか踏み切れずにいた。


彼が悲しい顔をしたり、私を責めたりするたびに、

苦しくてどうしようもなくなる。


ああ、どうしたらいいんだろう。


このまま、ハルキを忘れて、ダンナと日々をただ過ごしていけば、

そのうち過去の記憶になるのかな。


そう思いながらも、あきらめきれない自分がいる。


そんなある日、久しぶりにハルキと住んでいたマンションを訪ねた。