竹の子書房の新企画・古書の電子復刻! その第一弾は…… | 安寿の妄想工房

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私も参加している電子書籍研究団体「竹の子書房」の密林支社から今月も新刊が出ました!


↑こちらです!
※アダルト商品となります。
※Amazon Kindleストア限定で配信開始。
※BLではありません(^^;。

すみません、またしても成人指定のため、AmebaではAmazonのリンクが貼れません。
……っていうか、タイトルを文字ベースで連呼すると、それだけで記事の削除食らいそうな予感がしちゃったりも致します(滝汗。

さて、こちらは宮武外骨の著書の電子復刻版となります。
竹の子書房ではかねてより「絶版本の電子書籍による復刻」を構想しており、本書はその第一弾となるわけです。

底本となったのは時代を感じさせる和紙和装のもの(私はスキャン画像を見ただけですがw)。
発行されたのは明治四十四年(1911年)のことですので、100年ちょい前のもの……ということになります。
イタリア王国がオスマン帝国に宣戦布告したり(イタリア・トルコ戦争)とか、清で武昌新軍が蜂起したり(辛亥革命の始まり)とかしてた年のようです。日本では第三次日英同盟が締結、第2次西園寺内閣成立などなど。他にも日米通商航海条約が調印されて日本の関税自主権が回復したりとか、新潟県高田(現在の上越市高田)陸軍歩兵連隊の青年将校が、日本で初めてスキーの指導を受けたりしていたようです。
文学の方面ではニーチェの「ツァラトゥストラ」(「ツァラトゥストラはかく語りき」)が日本語訳されたり、平塚らいてうの「青鞜」創刊されたりした年でもあります。

……めっちゃ蛇足ですが、オスマン帝国とスキーを並べるとものすごい違和感ですよね。

そういう時代の本ですから、当然旧仮名遣いで漢字は旧字体。文章も古文から現代文への過渡期にあることを強く感じさせるものです。
内容には江戸時代の文献からの抜粋が多数あるため、宮武外骨の筆による文章と見比べると、主題となっている色事の歴史のみならず、日本語の文章の変遷をも感じとることがあたりも、かなり興味深い。
文章の句点(。)がない、段落の始めの文字下げがない、ひとつの文章、段落がそれぞれにかなり長いなど、文字面の作法も現代のものとはだいぶ違っています。
また学術書の体裁を取りながらも総ルビ(ふりがな)で、ショッキングに煽るような傍点だらけ……というかなり挑戦的な作りになっています。出版物における性的な表現に関わる規制が厳しくなっていく中で書かれた本であることを考えると、このあたりは宮武外骨が様々に目論んでいたのかもしれません。

とは言え、表層では昨今の文章とは全く別の印象でありながら、行間からにじみ出る雰囲気はどこかサブカル的。「文語で書いたまとめサイト」みたいな印象も受けました(^^;。ブログやTwitterのある時代に生まれていたら、きっとこの人は嬉々として炎上しまくっていたんだろうな、と思うような、そんな感じ。面白いです。

電子版のための作業もすべて竹の子書房密林支社が行いました。神沼三平太さんが入手した底本を気合でバラして(^^;スキャンしたところから始まり、加藤一さんが陣頭指揮を取って手分けして作業……という感じです。私も入力と校正をお手伝い致しました(結構血の涙を流す作業でございましたorz)
また、巻末には加藤一さんによる解説も収録しています。手前味噌な話ではありますが、校正をしながら「AZUKI先生(加藤一さん)に宮武外骨先生が乗り移ったのではなかろうか……」と思わずにいられなかった〈名文〉です。

宮武外骨の古書の電子復刻は、今後も続く予定。
すでに第二弾の準備が始まっています。

ご興味のある方は、ぜひAmazon Kindleストアで検索してみてくださいね(^^)/