アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり

アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり

安城商工会議所が実施している工業製品による地域ブランド創出事業「AnjoHeartsPROJECT」の若手エンジニアひできちの、製造業者視点のものづくりをつづったブログ

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 どうもご無沙汰しております。新しい「きゃぷらも」を製作いたしました。
電王手さん
[写真はデンソー様HPより]
 ボクらの地元、安城の隣に本社を置くデンソー様とその子会社デンソーウェーブ様が開発するロボットアームが今回の題材です。ニコニコ動画などで放送されているコンピューター対プロ棋士が戦う電王戦で活躍する『電王手さん』と言った方が有名かもしれませんね。ボクは電王戦は知っていましたが、デンソー製ロボットアームということは知りませんでした。


構想図
 一番最初に当プロジェクトの事務局より打ち合わせしてきたと渡された資料がこちらです。可動は下の台座が回るだけ、あとは姿勢を保持すること、またケータイストラップにするために、ストラップのリングを付けるよう指示を受けました。また今回ボクが一番驚いたのが、この電王手さんの3Dデータがデンソーウェーブ様より提供されたことです。コレはウソだと思っていましたが、後日フルサイズの3Dデータがメールと共に添付されてきて、ビビりました。


サンプル3サンプル1
 それからは最終の打ち合わせに向けて3Dプリンターでサンプルを作りました。ボクらが作ってきた『きゃぷらも』は全長50mm前後で統一しているので、そのサイズと少し大きいサイズの2パターンのサイズを打ち合わせにて提出しました。結果的には、この2パターンの間のサイズ(1/12サイズ)で製作しました。

サンプル2
 開発者の方が、胸ポケットにスマホを入れて電王手さんが見えたら面白いという話も聞いておりましたので、今回はストラップを廃止し初めてイヤホンジャックに刺すタイプの『きゃぷらも』を試作しました。ネットなどにアップされている電王手さん『きゃぷらも』は、台座が付いているので、ジオラマ風で製作したものがほとんどですが、こういった使い方も出来るように新しく設計しました。

 3Dモデルが送られてきて、パーツ割りの構想、3Dプリンターによるサンプル品の製作まで大体1週間です。他の仕事をしながらの設計作業ですが、このスピード感はなかなかだと自負しています。


つづく

ひできち
AnjoHeartsPROJECT : http://anjohearts.jp
(有)高木金型製作 : http://www.takaki-kanagata.jp
 ひっさしぶりの登場だ!!新しいサービスの発表だ!

 なんでもプラモデルにしちゃうサービス『きゃぷらも』では、スヌーピーに、郵便ポスト、マツダのアクセラなどコレまで様々な形をプラモデル化してきました。

        axelasnoopy


 他にも、有名、無名を問わずしょっちゅう見積依頼は頂くわけですが、断られる理由は、だいたい価格と数量。

 まぁ静岡辺りのプラモデル製造会社で見積もってみ?たぶん見積もりの桁が違うよ?納期もこんな短納期でやれないよ?と思うわけですが、とはいえ1万個がお買い得ですよと言ったって、そんな集客力のあるイベントなんてジャニーズのコンサートでもやらないと無理だろ!型費込みで数百万だと?そんな予算あるかー!ってことですよね?

 え~え~、わかります。展示会に出店すると、型費が高いと言われます。ボク、型屋ですけどね、全然儲かってないんですよ。大体設計の作業は夜中の誰もいない会社で、ひとり。機械加工は、夜中の空いてるときか、休日に済まして、趣味の延長みたいな感じで、結構努力してるんですけどね。

 最近、FacebookにAirbnb、ルームシェアなど何かとシェアするってのが流行ってますね。もうね、費用が高くて困ったなら、みんなで型費をシェアしましょう。

 ということで、型費はみんなでシェアだ!!低料金でオリジナル人形型プラモデルが作れちゃう『きゃぷらもLight』が登場だ!!

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 安心、安全のMade in Anjo,Japan、材質はもちろんペットボトルキャップの再生材100%「ユメプラスチック」。納期も最短1ヶ月!!早い!安い!!安全!!!プラモデル界の吉野家みたいな製品です。しかし安くても、製品の手を抜かないのがボクらです。何せみんな表に出てきませんけど、普段は世界のトヨタの部品を作ってますからね。これで値段問題が解消されないなら、もうプラモデルノベルティは諦めてください。

 7月13(月)~15(水)に東京ビックサイトで開催の「第7回販促EXPO」にて正式発表になります。そこら辺の詳しい情報は、アンジョウハーツプロジェクトのHPにて確認ください。

 もちろん、完全オーダーメイドの『きゃぷらも』もあります。こちらは潤沢な資金をお持ちの企業様からの連絡お待ちしています。
                    
                    



ひできち
AnjoHeartsPROJECT : http://anjohearts.jp
(有)高木金型製作 : http://www.takaki-kanagata.jp

 なが~いことサボっていましたが、アンジョウハーツプロジェクトをサボっていた訳ではありません。「きゃぷらも」は公式HPに載っていないのを2つ製作しました。そちらは、お客さんあっての製品ですから、また発表されたら書こうかと思います。今回はアンジョウハーツの製品ではなく、ボクが遊びながら作った作品ついて少し書こうかと思います。

 製造業の世界に入って5年になりますが、この仕事は基本的に報われない仕事だなぁと思っています。ウチの会社は自動車関係の金型を主に作っていますが、この仕事をしていて「ありがとう」と言われることは残念ながらまずありません。なかなか厳しい世界です。

 最近はすこしずつ3D-CADで設計したモデルを機械で加工するための加工プログラムを作ったりしています。中小企業は、一つの仕事が出来るだけではダメで、設計もやって、たまに現場やって、機械動かしながら、納品でトラックに乗るなんてこともざらです。歌手で言うところの、シンガーソングライター的な人間でないと役立たずだと言われてしまいます。

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 覚えると遊びに転用したくなってしまうボクは、フジィールというキャラクターを作ることにしました。こちらは、オーダーメイドプラモデル「きゃぷらも」で使った3Dモデルを再利用しました。前々から「きゃぷらも」で使った3Dデータをほっておくのはもったいないなと思っていたので、その有効活用できないかとずっと考えています。左の写真のように、鉄の塊から、エンドミルと呼ばれるドリルで削りだしていきます。表と裏の2方向から削りだしました。右の写真は、表の加工が終わったところです。

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 左は裏を加工しているところです。削りだした金属は、エンドミルの刃の痕がつくので、砥石と呼ばれる道具やペーパーやすりで手加工で仕上げます。がんばって磨くと、鏡のように顔が映るようになります。(鏡のようにする加工を鏡面仕上げといったりします。)

 このメタルフジィールは、機械が空いている週末の夜に、一人会社に忍び込んで製作しました。いつもお世話になっているフジイ化工さんへのクリスマスプレゼントにする目的で製作しました。ちなみに、ゴミ箱から拾ってきた端材を使い、人件費はボクだけなので費用でいったらタダですが、外注で作ってもらうと15~20万ぐらいしそうです。

 先日、ZIP-FMの鉄平さんの番組「Wow!」に出演させていただきました。ZIP-FMを聞いている人たちを"ZIPPIE"と呼びますが、ボクも自他共に認めるかなりヘビーなZIPPIEで、鉄平フリークなので、最近「虎池重工」という会社を立ち上げたのを知っています。これはちょうどいい思い、ちょっと前に買っておいた無地のZIPPOを加工しました。

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 ネットでロゴマークを拾ってきて、定規で測りながら加工データを作る手の込みようです。初めてにしては、思っていたより綺麗にできました。ZIP-FMで渡した際には、マネージャーさんに自慢しに行って、収録前に行方不明になるというお茶目な事件も起こりました。

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 「ありがとう」と言われない仕事をしていますが、そこで得た技術で人に喜んでもらえるモノが作れることが最近分かってきました。アンジョウハーツの製品は、使う人がニコニコしながら遊んでくれることが多いです。今後もニコニコしてもらえる製品が作れると最高ですね。



ひできち
AnjoHeartsPROJECT : http://anjohearts.jp
(有)高木金型製作 : http://www.takaki-kanagata.jp
 今年の24時間テレビの中京地区の企画『東海3県みんなで作る世界一のエコキャップアート』をAnjoHeartsPROJECTとして裏方に回って参加しました。参加した人、テレビで見た人、現場で見た人、それぞれどう思うかは分かりませんが、個人的には大成功だったと思います。そのキャップアート企画の裏方の苦労話は事務局のブログが更新されているので見てもらうとして、技術系ブログを自負しているこのブログでは製品について少し書いておこうと思います。

 実はキャップをはめる『キャップアートパネル』はこの企画前にバージョンアップしていました。(ボクはVer2.1と呼んでいます。)ペットボトルキャップの形状は、日々変化しています。具体的には、軽量化されている傾向にあり、全体的に薄くなって来ています。(実際にエコキャップ運動は、800個で1人分のワクチンと言われていましたが、現在では860個に変更されています。)その結果、これまでキャップアートパネルにハマっていたキャップが、抜け落ちてしまうということが報告されるようになり、対策に乗り出すこととなりました。

$アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-Ver1.0 $アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-Ver2.0
 左が今までのキャップアートパネル、右が対策をしたVer2.1です。ツメを立てて、内側のネジの部分に引っ掛けて固定しようというコンセプトです。実のところ、このコンセプトは2年前ぐらいからすでに固まっていて、図面まで書いてありました。
$アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-Ver2.1_断面図

 断面図のように、ツメがキャップの内側のネジ部に対してたわむように設計してあります。このキャップアートパネルは、ペットボトルキャップの100%再生材『ユメプラスチック』を使っていますが、この材料は良くも悪くも非常にやわらかい素材です。

$アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-キャップアートパネル $アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-観客
 実際にスギちゃんも、事前に旧型キャップアートパネルと今回のVer2.1を比べたそうですが、Ver2.1の方がイイね!と言ってくれていたようです。

 実際のところ、対策をしても外れてしまうキャップがあることは事実です。できれば、すべて同じサイズに各社してくれるとこちらも対策が取りやすく助かりますが、そんなことは無理でしょう。これからもAnjoHeartsPROJECTの技術力を持って対応しますし、すでにVer2.2というさらに対策を施した製品が出来上がっているので、購入を検討中でしたら、安心して遊んでください。そのVer2.2の話はまたの機会に書くとして、今回はとても充実したイベントでした。

 最後に、ネットで見つけた記事より
Q.その後キャップはリサイクルするだろうけど、土台?になってるグレーのあれはどうなるの?
 
A.AnjoHeartsPROJECT製のキャップアートパネルはキャップの再生材100%なので、そのまま一緒にリサイクル出来ますけど何か?

 AnjoHeartsPROJECTは、世界で唯一キャップアート専用のパネルを製造しているメーカーです。


ひできち
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【新美南吉生誕100周年記念】「きゃぷらも」の第3弾「南吉サルビー」の開発6

 いろんな部品を加工して、完成した金型に樹脂を流し込んだら製品が出来上がります。成形という作業です。

$アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-樹脂

 流し込む材料がこれです。ペットボトルキャップをわざわざ色分けして、粉砕し、ペレットと呼ばれる写真の形状に戻したモノです。普通のリサイクル材だと、マスターバッチと呼ばれる着色剤や、色々な混ぜ物を入れて、物性を整えますが、ボクらの使っている「ユメプラスチック」は混ぜ物0のリサイクル材です。このユメプラスチックは、国からもチャンとお墨付きをもらている地域資源で、(詳しくはココ)結構こだわりを持って使っています。今まで、色々な製品をこのユメプラスチックで製造してきましたが、結構難しい樹脂であることは確かです。


アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-成型品4アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-成型品2アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-成型品1

 南吉サルビーは色が3色あります。きゃぷらもでは、色が増えるほど、売値を上げさせてもらうんですけど、その理由はここにあります。成形屋さんが一番儲かる方法は、同じ製品を大量に、ずっと成形し続けることです。しかし、色が増えると途中で色替えと呼ばれる作業をしなくてはいけません。成形機の中に入っている樹脂を全部出す作業です。単純に製品を1万個作ろうと思うと、単色なら1万個だけ作れば良いけれど、3色だと赤1万個、オレンジ1万個、肌色1万個で計3万作らないといけないから、3倍時間がかかります。手間がかかるから、高くなる。当たり前ですよね。

 $アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-成型品3

 トライをして、組み立てするまでは、ヒヤヒヤしますね。なかなか1発でOKは出ないです。耳のはめ合い、シッポのはめ合いなど金型を削って調整していきます。だいたいトライ&エラーを2~3回繰り返せば、だいたい金型は完成です。

アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-成型品アンジョウハーツプロジェクトひできちの 若手エンジニア3度のメシよりものづくり-組み立て

 南吉といえば、今週末の7月27日(土)から生誕100周年イベントが行われます。(詳しくはココ)あまり詳しい内容を知りませんが、キャップアートは行います。ここ数回書いてきた「南吉サルビー」のきゃぷらも配布はあるのでしょうか?分かりませんが、せっかく苦労して作った大事な製品ですので、沢山の人に楽しんでいただけることを切に願っております。

 南吉サルビーは、「きゃぷらも」としては3つ目の製品です。もうすでに、HPにも載っていない第4弾の「きゃぷらも」もリリース間近です。有名なキャラクターなので、ブログに書けるか分かりませんが、お許しがでましたらここで。

終わり


ひできち
AnjoHeartsPROJECT きゃぷらも: http://caplamo.anjohearts.jp
(有)高木金型製作 : http://www.takaki-kanagata.jp