世界経済を破綻させる23の嘘(ハジュン・チャン)
気鋭の韓国人経済学者の本。(韓国は韓流ドラマやK-popだけじゃないよ!)
反自由市場主義の立場。
IMFと世界銀行による自由市場主義政策を批判した,スティグリッツ「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」と主張が似ている。
韓国は日本をまねして,国家主導の開発経済で成功したからね。
ちょっとシニカルでウィットの効いた語り口。
前々から、僕は、経済学は科学ではないのではと思っていたが、
「経済学は物理や化学のような科学ではなくて政治的営為である」とか言っちゃってるよ。
僕があまり知らなかった,おもしろい事実が書いてあったので紹介する。
■教育の向上が国の繁栄に直接結びつくことを示す証拠はない。
なに! 勉強してもムダ?
教育で得られた知識の多くは生産性向上とは無関係である。
職業で必要なのは,一般的知能,規律ある態度・行動,自己管理能力である。
実は,富裕国では,労働者はあんまり教育は必要なくなってきた。
製造業が高度に効率化し,就業人口も減った。
みんなサービス業になり,アホでもつとまる仕事をやっているというわけだ。
そういわれてみれば,学校の勉強は仕事とあんまり関係ないですな~
スイス・パラドックス,というおもしろい現象がある。
スイスは付加価値の高い工業国であるが,先進国で最も大学進学率が低い。1996年で16%(OECD平均で34%)。
その後,進学率は上昇したが2007年データでも依然として先進国最低。
スイス(47%),フィンランド(94%),アメリカ(82%),デンマーク(80%)。
著者の母国,受験地獄の韓国は(96%),経済破綻したギリシャ(91%)。
世界一の富裕国ノルウェーの中学生も,国際数学・理科教育調査(TIMSS)の成績は悪い。
イスラエルの中学生はもっと悪い。
勉強は,「生きる力」にならないようですね。
ゆとり教育の指摘は正しい!
受験勉強や大学教育は,経済的効果のない無駄な努力のようです。
学歴競争は、一国のマクロ経済的には、ムダ。
スイスやノルウェーは,そのあたり,開き直ってるようだね。
これから高齢化社会で労働人口が減ってくる日本。
受験勉強で膨大なエネルギーを使い,勉強が嫌いなのに大学行くなどというムダはやめた方がいいのかもしれぬ。