「新地方公会計」 ~公会計改革に協力する会計人の会:著~ 東峰書房

「新地方公会計制度」開始から2年、実践の中で直面した問題点。

目次
公有財産台帳と固定資産台帳の違いについての考察
事業用資産とインフラ資産の分類と評価について
公正価値評価について
減価償却・直接資本減耗について
道路の減価償却と耐用年数について
売却可能資産について
リース資産について
公会計における債権の評価について
注記事項及び附属明細表について
資本的支出と修繕費
連結財務書類作成の問題点
出納整理期間について
インフラ資産の底地の評価について
土地と建物の権利関係が評価に与える調整について
人工3万人未満の自治体財政の到達点
公会計への取り組み
地方公会計から学んだこと
新地方公会計と財政の課題



続・新地方公会計 ~公会計改革に協力する会計人の会:著~ 東峰書房
会計基準は慣習として成立し、深まっていくものである。公会計もまた、実務上での諸問題について意見を大胆、率直に議論をし、公正妥当と認められるものを選択していくことが何より本当の公会計原則の実現への足がかりになるだろう。昨年発行の「新地方公会計~実務上の諸問題~」に続く、会計人たちの論文集。
現場での実践・実例研究から浮かび上がった課題。会計基準は慣習として成立し、深まっていくものである。公会計もまた、実務上での諸問題について意見を大胆、率直に議論をし、公正妥当と認められるものを選択していくことが、何より本当の公会計原則の実現への足がかりになるだろう。
目次
第1部 地方財政の諸問題(資産更新問題の背景と対策
九州各地における資産更新問題の実態
資産更新問題からみた「基準モデル」の問題点について
「財務指標」について)
第2部 資産評価について(公会計における減価償却の役割
補償費評価の考え方
「サービス提供能力」の考究
三桁国道、一級河川の評価について)
第3部 その他の会計基準(出資金の公会計上の取扱い
退職給与積立金の会計処理
新地方公会計制度における基金の取り扱いについて
開始時未分析残高について)
第4部 公会計の現場から(人口3.5万人K市の財政状況と改善課題
地方公会計改革と新地方公営企業会計制度
行政評価と新地方公会計)
第5部 公後の検討課題(有形固定資産の評価
“決算統計”について
公会計における税収の会計処理と財源表示
新公会計懐胎期の人々)

発売前により、図書紹介記事を削除しました。


公会計改革の財政学



関西学院大学人間福祉学部社会起業学科教授     小西 砂千夫  著



相当数の地方自治体は貸借対照表・行政コスト計算書など4表に基づく財務報告書を作成している。一体、これらは何に使えるのか。



書籍が手元に届きました。

(追記)

財政学の問題意識と財務会計制度の接点を探るのは古くて新しい課題である。

 まず第1部「公会計改革の進展と政府会計のあり方」で政府会計のあり方と現金主義会計と発生主義会計の関係についての考察がなされる。

第1章「政府の財務活動の特徴と政府会計のあり方、財務分析の視点」で民間企業と政府を対比させ、政府会計のあり方を述べている。

さらに、第2章「現金主義会計と発生主義会計の関係と持続可能性の条件」で現金主義会計と発生主義会計がどのように関係しているかが示され、特に現金主義会計に親しんだ者の視点で、発生主義会計をどうみればよいかを示し、建設公債主義のもとで持続可能性の条件がなぜ主として現金主義会計から得られるかについて述べている。この2章が総論的な位置づけである。なお、補章では「公会計改革の経緯と3つのモデルが並列する現状」を概説している。

 続いて第2部「公会計と財政の健全化」では、財政の健全性の考え方について示され、第3章「自治体財政健全化法と公会計改革の視点」では、自治体財政健全化法の健全化比率などの指標が現金主義会計をベースとしながら、公営企業会計については、発生主義会計との接点があることが示される。

さらに、第4章「財政分析の考え方と公会計改革」では、それをもとに財政分析の考え方と具体的な手法を示している。

 最後に第3部「公会計と情報開示・政策マネジメント」では、国や地方の公会計に関連するテーマについて取り上げられ、第5章「地方公営企業会計の改革」と第6章「財政投融資における政策コスト分析」では、地方公営企業、財政投融資対象機関とそれぞれにおける情報開示がどのように進んできたかについて展望。

また、第7章「公会計と政策マネジメント」では、財務書類4表の分析などの具体例を示し、第8章「国の財務書類の作成・公表の状況」では、地方会計との違いである年金債務の取り扱いなどに注目し、国家財政における財務書類の考え方を取り上げている。



現代自治体改革論 地方政治、地方行財政、公会計のこれから 
遠藤宏一/編著 亀井孝文/編著 勁草書房

自治体財政の改革や自治体経営の具体的なあり方

内容説明

これまでの上からの「日本型」地方分権改革に対し、真の住民の自治体を構築するために必要な理論と現状を分析。充実した地方自治の確立を目指し、現場で奮闘する自治体の事例を考察する。また自治体財政の改革や自治体経営の具体的なあり方にも焦点をあて、わが国の公会計改革論議とその地方自治における意義について問題を提起する。


現代自治体改革

まず、上からの「日本型」地方分権改革による制度改革を踏まえながら、単なる受け身ではなく、そこで抜け落ちていた「住民自治」の視点を基礎に据えて、充実した地方自治の確立と新世紀にふさわしい自治体像を模索し、いろいろな自治体の自己改革への挑戦や実践事例を考察している。

第1部では、

1、 新世紀に入ってから先進的な挑戦が始まった「自治体基本条例」制定や「議会基本条例」策定・地方議会改革などの地方自治改革への動向を取り上げ、理論的にその意義や法的課題を整理したうえで、住民自治充実・発展への課題を総合的に明らかにしている。

 現代的な意味での地方自治の充実にとって、地域社会のあらゆる地域的さらには機能的な「共同社会」の自治と経営管理の営み、さらにはその水平的・重層的な相互交流・連携による地域再生への新たな試みが注目を浴びている。またそれらを背景にして、「新たな公共空間」論が理論的にも政策論的にも取り上げられている。

2、 「新たな公共空間」理論の批判的検討を行うとともに、特に機能的な「共同社会」としてのNPOが地域再生に果たす今日的な意義役割を明らかにしつつ、現代社会でNPO活動を発展、さらに発展させる行政の最適な支援策や役割を論じている。

3、 わが国の70年代からのコミュニティ政策を逆手にとって地域的「共同社会」構築を図ってきた事例(宝塚市)と、平成の大合併を機に導入された「地域自治組織」の独自の導入を通して住民自治・地方自治システムを構築しようとした事例(上越市)を紹介しながら、それらに果たした自治体職員の役割にも着目して、これからの住民と行政の「協働」や自治体職員のあり方を考察。さらに地方分権改革にとってエアポケットとなってきたのが、大都市自治体の住民自治・都市自治改革であったが、「地域自治組織」制度ができ、同じく政令市でも区ごとの「区地域協議会」設置や区の地域を分けて地域自治区を設けることができるとされた。

4、 かねてから行政区の「自治体」化(区内の分権)の是非が問われてきた大都市制度・政令市を取り上げ、そうした自己改革の動向がみられるのか、とくに伝統ある大阪市の歴史的検証などもしながら現状を明らかに、今後の大都市自治の確立に向けての課題を提起。

 結局のところ我が国の地方分権改革が、特殊「日本型」とも呼ばれるのは、ますます国・地方を通じて財政窮迫が厳しさを増しているという制約下で、自治体政策の物質的基礎である行財政運営に、絶えず国庫主義的な観点が貫かれ、それが地方自治改革の基本的な阻害要因なってきた。

第2部

その意味でこうした制約下で自治体財政の「自律」とは何かを改めて再定義し、今日的な意味での「財政の分権」の課題や国・地方を通しての行財政改革、さらには自治体経営の具体的なあり方を提起しようとした。

5、 そのためまず現代地方財政の機能と現実は、伝統的な地方財政理論のまさに再検討が必要なことを論証し、新たな地方財政論構築の必要性を指摘する。そのうえで今まさに進行中である「地方主権改革」のもとでの地方財政の変化、さらにはその改革の柱の一つである「一括交付金」に焦点を当て、自治体の「自律」の視点から評価と地方財政改革の方向性を示している。

6、 人口・都市縮小化と財政窮迫という制約要因のもと、どのような総合的な自治体政策作りと行財政運営=自治体経営が必要かについて具体的・実践的な規範モデルを提起し、「自律」を目指す自らの内発的な地域振興・税財源涵養へのギリギリの自己努力のもとで初めて自治体側から国に説得力をもって、中央・地方行財政関係の問題性を指摘し税財政改革を迫る力になる。

7、 そもそも財政規律とは何かを問うとともに必ずしも自治体の責任に帰せられない地方財政の悪化を口実に国が画一的に定めた財政健全化法制についてその内容と限界を検討し、その上で自治体のレベルでの自律的な財政規律の重要性を指摘し、適正な財政情報公開と公会計改革の意義を考察している。

第3部

7での提起ともつないでわが国の公会計改革論議に焦点をあて、その地方自治における意義について本格的に問題提起をしたもので、この点が従来の地方行財政論あるいは自治体改革論の類書にみられない大きな特色となっている。

8、 我が国の会計・監査制度の歴史的背景と現状を踏まえた上で、国際的な公会計改革の動向を背景に、本格的にわが国で新しい公会計実践・モデルが提案されてから10年余の公会計改革のモデルの展開と内容(総務省モデルや東京都などの自治体モデル等々)を検討し、さらに今日の「地方財政検討会議」の議論内容と意味を検証する。

9、 公会計の個別各論的な一つの応用問題として、公営企業における公共料金設定の仕組みである「総括原価」(適正原価+適正利潤)主義を事例として取り上げ、それの会計的な視点から見た問題点を指摘したうえで、行政サービスの個別需要ごとに対応した個別原価計算の会計手法を提案して、個別原価(と利益)管理の意義を考察している。

10、 予算、公会計および評価と統合した自治体予算制度改革の必要性を提起する。まず国際的な予算制度改革の動向をサーベイしたうえで、わが国のこれまでの予算システムの変化を踏まえつつ、新しい事業別予算、分権型予算配分方式の導入、予算編成へフルコスト情報の活用などの諸提案を検証したうえで、今日における予算制度改革の意味を明らかにしている。

以上のような自治体改革への新たな歩みや動向を踏まえながら、

今日のわが国のますます深まる政治的混迷の渦中での「地域主権改革」と、その一方で「日本型」地方分権改革の盲点を突いた「地方の乱」が相乗して、危機の段階を迎えたと思える戦後地方自治制の様相を素描しつつ「3・11東日本大震災」という困難とも思える事態を前にして、これが「この国のかたち」を変えるであろうし、変えなければならないという思いから、改めて足もとから持続可能な地域をつくるという、日本社会の新しい挑戦への課題と意義、さらにはその可能性と展望を提起しようとした。

目次

序章 変容する戦後地方自治制
 0.1 「日本型」地方分権改革のこれまで
 0.2 「平成の大合併」と地方自治制の崩壊
 0.3 本書の課題と構成──「分権」と「自治」の相克の渦中で

第Ⅰ部 「住民自治の充実」と新しい自治体像の模索

第1章 地方自治改革の動向と課題
 1.1 はじめに──議会改革と住民自治改革
 1.2 住民自治改革をめぐる問題状況
 1.3 議会基本条例による住民自治改革の可能性
 1.4 住民自治改革と自治基本条例
 1.5 むすびにかえて──住民自治改革をめぐる今後の課題

第2章 新たな公共空間の形成と協働──自治体とNPO
 2.1 新たな公共空間の意味
 2.2 行政によるNPO支援策──新たなツールとしての1%支援制度
 2.3 NPO支援策の最適化と公共空間

第3章 住民自治組織と自治体職員の役割──宝塚市・上越市のコミュニティ政策を事例に
 3.1 住民自治組織への着目──自治体職員の役割再考に向けて
 3.2 自治体政策形成における住民と行政の「協働」
 3.3 住民自治組織の今日的文脈──独自の自治体経営のしくみづくりに向けて
 3.4 住民と行政の協働──住民自治組織と行政の連携のしくみ
 3.5 今求められている自治体職員像

第4章 日本型都市内分権と地域自治組織──行政区改革の現状と展望
 4.1 90年代地方分権改革と大都市制度
 4.2 大都市制度と区制度自治──その歴史的沿革
 4.3 政令市行政区の現状と機構改革──「NPM行革」の下で
 4.4 政令市における都市内分権と住民自治の課題
 4.5 結びに

第Ⅱ部 「財政の分権」と行財政運営

第5章 自治体の「自律」と地方財政
 5.1 問題の所在
 5.2 地方財政論の新たな展開
 5.3 「地域主権改革」と地方財政
 5.4 補助金の一括交付金化
 5.5 自治体の「自律」と地方財政

第6章 自治体政策の総合デザインと自治体経営──財政縮小時代の「計画行政」と政策実践
 6.1 政策実践としての自治体経営
 6.2 自治体政策の指針としての総合計画
 6.3 内発的発展をめざす自治体経営のすすめ

第7章 財政健全化法制と財政規律
 7.1 問題の所在
 7.2 地方財政悪化の背景と旧再建法の概要
 7.3 財政健全化法及び新たな財政指標の意義
 7.4 財政規律からみる財政健全化法の限界
 7.5 公会計改革と財務情報
 7.6 結論と今後の課題

第Ⅲ部 公会計改革と地方自治

第8章 公会計改革の動向とその意味
 8.1 地方自治制度と公会計
 8.2 公会計改革の国際的動向
 8.3 地方自治体の会計・監査の現状と課題
 8.4 公会計改革モデルとその展開
 8.5 総務省「地方行財政検討会議」における議論
 8.6 公会計制度および監査制度の見直し議論の意味

第9章 公共料金と原価管理──地方公営企業における総括原価主義の問題点
 9.1 問題の所在
 9.2 資金に基く料金計算(資金収支主義)への批判
 9.3 必要な原価を賄うための計算方式(総括原価主義)の再検討
 9.4 個別に原価を算定する方式(個別原価主義)
 9.5 活動基準原価計算による需要種別原価管理

第10章 自治体予算制度の改革
 10.1 予算制度の問題点と改革の必要性
 10.2 予算制度改革の国際的動向
 10.3 新しい予算編成への試み
 10.4 予算,会計および評価の統合システム
 10.5 予算制度改革が意味するもの

終章 自治体の再生から維持可能な社会へ──戦後地方自治制の混迷と危機を超えて
 11.1 「地域主権改革」と混迷の政治・「地方の乱」
 11.2 足もとから維持可能な社会を──日本社会の新たな試練

あとがき
索引
執筆者紹介
公会計整備の充実に向けた取り組みがすすめられる中、当初から課題とされていた財務書類の公表の早期化や政策別コストの開示について、一定の成果が見られる。

 政策別コスト情報の活用により、事業コストの経年分析や他事業との比較を通じた効率化への取り組みの進捗が期待される。

 活用については、平成17年9月に初めて「国の財務書類(15年度)」が作成・公開されて約6年を経過、そのデータもある程度蓄積されてきている。

 しかし、公表内容の充実に向けた取り組みは大きく進展していない。

 さらなるマクロ・ミクロ両面からの活用方策を検討し、そこから得られた分析結果について、情報開示を図る必要がある。

 発生主義ベースの財務書類作成の法制化、政策評価等への財情報の活用、そしてそれを行政内部でのマネジメントサイクルや予算編成へと反映させるための制度的な仕組みの構築等の検討の必要性。

 政策別コスト情報が各事業別に開示されれば、業績評価ツールとして活用の幅は広がる。


 財務諸表はあくまで財政状況を示すツールの一つであり、重要なことはそれをいかに行政運営に生かしていくかということである。

 行政運営の効率化に資するよう、公会計改革におけるとりくみが今後さらに進展することを期待したいものです。

橋下市長を支える元官僚5人組 「大阪から国を変革」


5氏のスタンスや考え方は、近著を読めば瞭然とする。

橋下氏と共著の「体制維新ーー大阪都」 堺屋 太一氏

知事時代から橋下氏のブレーンを務める「大阪維新 橋下改革が日本を変える」 上山 信一氏

ベストセラー「日本中枢の崩壊」の著書 古賀 茂明氏

「官僚のレトリック」で「改革に立ちふさがる官の論理」の原 英史氏

「公務員の人材流動化がこの国を劇的に変える」著 山中 俊之氏


堺屋太一氏 東京大卒。通産省(現経済産業省)入省。大阪万博の企画に携わり、退官後、作家や博覧会のプロデューサーとして活躍した。1998年7月から2000年12月まで経済企画庁長官。社会評論や政策提言に関する著作も多い。76歳。

上山信一氏 京都大卒。運輸省(現国土交通省)入省。退官後マッキンゼーで企業の改革。渡米して政策研究などに取り組み、2007年から慶応大総合政策学部教授。大阪府や新潟市など多くの自治体の改革にブレーンとしてかかわってきた。54歳。

古賀茂明氏 東京大卒。通産省(現経済産業省)入省。経済産業政策課長、中小企業庁部長、公務員制度改革本部審議官などを歴任。公務員制度や官僚批判の論文を発表し、大臣官房付に長期間取り置かれる。2011年9月26日付で辞職。56歳。

原英史氏 東京大卒。通産省(現経済産業省)入省。内閣安全保障・危機管理室などを経て2007年、渡辺喜美行政改革担当大臣の補佐官に就任。公務員制度改革本部を経て09年退官。政策コンサルティングをする政策工房を設立し社長。45歳。

山中俊之氏 東京大卒。外務省入省後、中東外交や地球環境問題を担当。退官後日本総研で人事制度や研修のコンサルティングに従事。退社後、人材開発をする会社グローバルダイナミクスを設立。関西学院大教授も務める。43歳。


(2012・01・24日本経済新聞記事、抜粋)

体制維新 大阪都  橋下 徹  堺屋 太一  文春新書
本の内容
「よいことも悪いことも大阪からはじまる」といわれる。経済の低迷、莫大な負債など大阪を取り巻く情勢は日本の縮図ともいえる。橋下徹知事が掲げる「大阪都構想」は、大阪、そして日本改革の切り札となるか—。その全貌を論じ尽くす。
わが国では未だに、旧態依然の中央官僚主導、東京一極集中の既得権構造が続いている。それらを一掃する1つの方策が、「大阪都構想」である。住民の意向を反映しやすいように、市、区などの自治体を人口30万人単位にし、広域行政と財政調整は大阪都が管轄する。条例により、自治体職員の分限免職(解雇)を可能にするなどの公務員改革を進め、行政のムダをなくす——こうした大阪発の「改革プラン」を論じ尽くします。
目次
第1章 大阪の衰退、日本の衰退(堺屋太一)
第2章 なぜ「大阪都」が必要か—対談1(橋下徹×堺屋太一)
第3章 改革と権力闘争—都構想1(橋下徹)
第4章 「独裁」マネジメントの実相—都構想2(橋下徹)
第5章 「鉄のトライアングル」を打ち破れ—都構想3(橋下徹)
第6章 大阪から日本を変えよう—対談2(橋下徹×堺屋太一)
■日本変革につながる役割分担
 橋下徹氏はなぜ、大阪府知事を辞して、大阪市長選挙に挑むのか。
 それは、橋下氏が掲げる「大阪都構想」の最大の抵抗勢力が、大阪市長・大阪市役所だからなのです。
 大阪では、大阪府と大阪市の二重行政の弊害が指摘されています。
 図書館、体育館などの巨大施設は大阪府立と市立のものが並存し、大規模開発も府と市で別々に行われてきました。
 その結果、大阪府・市の負債は、大阪市民1人当たり160万円以上という額に上っています。
 東京23区の区民1人当たりのそれが約55万円ですから、驚くべき数字です。
 この二重行政解消のため、大阪府庁も市役所も解体し、新たな広域自治体と基礎自治体に再編することが大阪都構想の主眼なのです。
 大阪24区の区長は公選首長ではなく市役所の公務員。区議会も存在しない。これでは住民の多様な意思が生かされません。
 そこで身近な住民サービスは基礎自治体が担い、港湾開発や埋め立てなど大阪全体にかかわる事業は広域自治体に任せる。
 こうした役割分担が実現すれば、ひいては地方分権の推進、日本の変革につながる-。
 橋下氏はこんな壮大なプランを、公務の間を縫って猛スピードで書き上げました。橋下氏のブレーンで作家の堺屋太一氏との対談も収録されています。
 大阪府民はもちろん、日本の権力構造に疑問を感じるすべての方に読んでいただきたい、本格的政治論です。
著者情報
橋下 徹
1969(昭和44)年、東京都生まれ。88年大阪府立北野高校卒。第67回全国高校ラグビー全国大会出場、ベスト16。94年早稲田大学政治経済学部卒業、司法試験合格。97年弁護士登録。98年橋下綜合法律事務所開設。その後テレビ等でコメンテーターとして活躍。08年大阪府知事就任

堺屋 太一
1935(昭和10)年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)入省。70年の日本万国博覧会を企画、開催にこぎつける。78年退官、執筆・講演活動に入る。98年7月から2000年12月まで経済企画庁長官

なぜ日本の改革には「統治機構の改革」が必要なのかーー「大阪維新の会」の発想

 筆者が政策特別顧問を務める地域政党「大阪維新の会」では、しばしば「統治機構の改革」という言葉を使う。統治機構とは、議会や行政機関の組織構造や運営ルールのことをいう。政策の刷新や財政再建はもちろん重要だ。だが統治機構が時代遅れのままでは、いくら素晴らしい政策を打ち出しても迅速な意思決定、そして確実な実行はできない。今回は主に大阪の事例を基に、なぜ改革には統治機構の見直しが必要なのか考えたい。

http://www.actiblog.com/ueyama/236708



財務省が隠す650兆円の国民資産  高橋洋一 著 講談社
本の内容
元財務相幹部による史上最大のスクープ。増税は不要、今すぐ使える300兆円を震災地と日本経済のために。
目次
序章 未曾有の大震災の裏で
第1章 官業癒着の闇
第2章 官邸と霞が関に君臨する財務省
第3章 世界の常識「増税なき復興」
第4章 増税への洗脳
第5章 増税のためのデフレ
第6章 埋め直された埋蔵金
第7章 六五〇兆円の資産を国民の手に
終章 「裏支配者」を倒す手段
日本復活ーーーその処方箋
①600兆円を超える政府資産を「国民資産」に
  制度設計にメスを入れ、不要な特別会計を整理し、天下り官僚OBのために存続している独立行政法人、特殊法人等を民営化もしくは廃止する。600兆円を超える政府資産はそもそも「国民資産」なのだから、国民のために使うシステムに改革すべきだ。霞が関にひっくり返された、郵政、政策銀行等の改革逆行は、早急に元の軌道に戻す。
②政府主導による大胆な金融緩和
 日銀が独立性を盾に取り、抵抗するなら、日銀法の改正を視野に入れて、日銀に数値目標を明示するよう迫るべきだ。100年国債の日銀直接引受による復興費捻出も結果的に金融緩和につながる。政府紙幣発行という手段もある。
 大震災後、急激な円高が進んでおり、産業の空洞化に拍車がかかっている。超円高を是正すし、空洞化に歯止めをかけるためにも、大胆な金融緩和が必要だ。
③基幹税の時限減税
  震災復興費の財源捻出で所得税と法人税の増税が検討されているが、増税に踏み切ると、日本経済は確実に死ぬ。むしろ、法人税、所得税の減税で景気の回復を図るのが先だ。将来的に増税は必要だとしても、増税実施は、時限減税により日本経済が成長軌道に乗った後である。
④税制改革の推進
  税制改革が消費税増税と同義語になっているが、本来やるべき税制改革は、歳入庁の創設と欧米の付加価値税で導入されているインボイス方式への移行。
⑤政治主導を実現するための公務員制度改革の断行
  民主党政権が誕生し以降、公務員制度改革は停滞するどころか、後退している。この流れを変え、公務員制度改革を断行し、内閣人事局の創設をはじめとする政治主導の仕組みを整える。
⑥公務員の給与と人員の削減
  民主党政権は公務員の給与と人員の2割削減を公約している。これをただちに実施に移すべきだ。これで毎年7兆円の財源が生まれる。しかし、公務員だけに血を流せと言っても、応じない。国会議員の定数と歳費の削減を断行し、判をたれるほうがよい。国会議員が率先して改革をすれば、公務員も変わらざるを得ない。
⑦地方分権への移行
  この国の形を根本から改革しないと、日本は世界から取り残されていく。地方分権による大胆な改造が必要だ。大震災は、そのための契機になりうる。東北復興庁を創設し、地方分権への第一歩とすれば災いを福に変えられる。

昨年の今頃でしたか、他のブログに投稿した記事を再掲します。



図書館、公民館等の社会教育ばかりでなく、行政全体の基盤ともいえる行政運営、その改善、改革、新しいパラダイムによる経営化へ、「公会計改革」をキーに考え、調べたものです。

財政健全化法=(新しい公会計への道しるべと、、)と議会との関係について以下のサイトに解説が載っております

http://blogs.yahoo.co.jp/mimasatomo/36730094.html


「自治体財政健全化法」の施行に伴って議会の位置づけや役割は、どのように規定されているのか。
その辺りが整理されております。


■議会議員の変化(小西砂千夫著「自治体財政健全化法」学陽書房 参照)
・自治体財政健全化法では、議会による監視機能という民主主義の基本に立ち返って、財政再生段階はもちろん、早期健全化段階になったところで議会の監視機能に強く期待する制度になっています。
・議会はその意味で、財政再建では当事者となり、住民への説明責任も重くなりました。

■自治体の議会がすべきこと(加藤紀孝)
・財政健全化という自治体の生命線ともいうべき最も重要な事項について、議会は執行機関側よりもむしろ率先して問題、課題の洗い出し、指摘をしていかなければならない立場にある。
・財政健全化の大命題を前に議会がとるべき行動は、執行機関への向き合い方の再認識である。
・自治体財政に関して議会によるチェック機能が本来期待されたようには果たされてこなかった事実を踏まえなければならない。
・住民の利益代表の枠から出られず、首長に対するチェック機能が十分に働いていない。
・議会全体の機能強化に改めて取り組むこと
 ①予算制定、決算認定等におけるチェック機能の強化、十分な審議
 ②チェック機能を支える議会事務局機能の強化
 ③財政問題に関する議会、議員の研修、研鑽
 ④議会自身の機能充実強化(情報共有、住民参加)

■地方公共団体の財政の健全化に関する法律
(健全化判断比率の公表等)
第3条 地方公共団体の長は、毎年度、前年度の決算の提出を受けた後に、速やかに、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率(以下「健全化判断比率」という。)並びにその算定の基礎となる事項を記載した書類を監査委員の審査に付し、その意見を付けて当該健全化判断比率を議会に報告し、かつ、当該健全化判断比率を公表しなければならない。

(財政健全化計画の策定手続等)
第5条 財政健全化計画は地方公共団体の長が作成し、議会の議決を経て定めなければならない。財政健全化計画を変更する場合も、同様とする。

(財政健全化計画の実施状況の報告等)
第6条 財政健全化計画を定めている地方公共団体(以下「財政健全化団体」という。)の長は、毎年9月30日までに、全権度における決算との関係を明らかにした財政健全化計画の実施状況を議会に報告し、かつ、これを公表するとともに(以下省略)。

(財政再生計画の策定手続等)
第9条 財政再生計画は、地方公共団体の長が作成し、議会の議決を経て定めなければならない。財政再生計画を変更する場合も同様とする。

(財政再生計画の同地)
第10条 地方公共団体は、財政再生計画について議会の議決をへて、総務大臣に協議し、その同意を求めることができる。

(長と議会との関係)
第17条 地方公共団体の議会の議決が次に掲げる場合に該当するときは、当該地方公共団体の長は、地方自治法第176条及び第177条の規定によるもののほか、それぞれ当該議決があった日から起算して10日以内に、理由を付して再議に付すことができる。
一 財政再生計画の策定または変更に関する議案を否決したとき。
二 第10条第一項の規定による協議に関する議案を否決したとき。
三 財政再生計画の達成ができなくなると認められる議決をしたとき。

(資金不足比率の公表等)
第22条 公営企業を経営する地方公共団体の長は、毎年度、当該公営企業の前年度の決算の提出を受けた後、速やかに、資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類を監査委員の審査に付し、その意見を付けて当該資金不足比率を議会に報告し、(以下省略)。

(財政の早期健全化等が完了した団体の報告等)
第27条 財政健全化計画による財政の早期健全化が完了した地方公共団体の長は、財政健全化計画による財政の早期健全化が完了した年度の翌年度の9月30日までに、(中略)財政の早期健全化が完了した旨を議会に報告し、(以下省略)。


法律では手続き的に議会の議決といった事が規定されています。
しかし、「議決」するというために議会、個々の議員自身が議決の判断するための基礎知識を有していなければ民主主義を軽視した行為しか生まれませんのでね。
十分に審議した結果として、判断されると思います。

さて、その判断するために、どのような知識が必要なのでしょうね。

推測では、自治体の財務状況についての知識でしょうね。
現金主義会計の役所会計の仕組みに加えて、財務書類についても有していることが、特にストック情報に関する判断、分析に重要となりますね。

それに、議会としてこれまでの監視機能として決算審査での議論の経緯でしょう。
議会として自治体の決算について、どのように監視し指摘を行ってきたのか、議会の監視機能を果たしてきたのかを前提として議会の行動が必要です。

もうすぐすると決算審査の時期に入ります。
この財政健全化判断比率や監査委員の意見書等を用いた財務分析の議論というものが見られるでしょうか。
うちの役場で、どのように展開されるか。

自治体財政健全化法が昨年4月1日に施行されて2年目に入ったのですからね。




地方自治体公会計の意義と機能」



関西学院大学専門職大学院の稲沢教授はその講演録の中で「地方公会計の意義と機能」について触れられています。

・公会計の意義として「自治体の利害関係者に対して、経済的・社会的・政治的な意思決定と合規性はたは準拠性、経済性・効率性および有効性に関する説明責任の評価に役立つ情報」を提供することである。
・利害関係者は住民・議会、マスコミ、債権者や投資家である。

・地方公会計の機能として「測定」と「伝達」です。
・測定:一定期間における自治体の資源のフローと一定時点におけるストックに数字を割り当てること
・伝達:情報利用者の意思決定や行動に影響を与えること意図して情報を伝達するプロセス

・地方公会計制度改革の核心
 ①資産債務改革
 ②複式簿記・発生主義会計の導入
 ③公的アカウンタビリティ
 ④自治体経営改革

同時に監査法人の公認会計士がまとめた資料も掲載されています。
その中で、公会計制度改革の目的を記載しています。
一連の公会計制度改革の目的としては次の5点のようです。
 ①資産・債務改革
 ②費用管理
 ③財務情報のわかりやすい開示
 ④政策評価・予算編成・決算分析との関係づけ
 ⑤地方議会における予算・決算審議での利用


また、別ですが、「会計心得」という日経ビジネス文庫には、タイトル通りに会計の心得として9カ条を示しています。
1.自分はコストである:社員の心得
2.数字を社会共通語にできる会社が勝ち残る:会社の心得
3.受注と入金こそ最大の仕事である:販売の心得
4.原材料と設備が大事:製造の心得
5.原価が見えていなければならない:研究の心得
6.損益分岐点を知るべし:広報・宣伝の心得
7.究極のプロフィットセンターである:人事・総務の心得
8.最大のコストセンターである:経営幹部の心得
9.死んでも会社の財産は守るべし:経理・財務の心得

以上の3者の指摘から役場で働く者にとって、これまで意識したことが無いことに、これから意識して取り組む必要があることを指摘されています。

そもそも、資産って意識して仕事していたでしょうか。
コスト、、、直接事業費以外でのコストとして何があるか想像できるでしょうか。

徐々に、認識を常套化させることからでしょう。



議会は、今の状況に対応する行政課題について客観的な議論をすべきです。

最近、ハーバード大学のサンデル教授の「白熱教室」「正義の話をしよう」が話題になっております。来日に際し、東大の安田講堂で講演会が開かれました。



現代的な課題に対する道徳的な見解、功利主義者、リバタリアン、コミニタリズム、さまざまな見解の限界をどう乗り越えるのか、学生を相手に議論を展開していました。



先の白熱教室は、「正義の話をしよう」という書籍になっております。とても面白くよみました。

バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる 高橋洋一 著 光文社新書


内容(「BOOK」データベースより)
資格を取るための経理や簿記の知識ではなく、バランスシートの考え方を理解し、身に付けてもらえるための説明をした一冊。
出版社からのコメント
◎政治家、官僚、メディア、学者、日銀のウソを見破るバランスシート思考とは?
◎バランスシートで40兆円を見つけたタカハシ先生が、自らの"武器"について解説。

◎ビジネスパーソンも使える「会計的思考」の入門書

【目次】
一時間目 必要に迫られて学んだバランスシート
二時間目 バランスシートで発掘した埋蔵金
三時間目 バランスシートで見る日本政府の負債と資産
四時間目 バランスシートと金融政策
五時間目 バランスシートで分かる民営化と年金
六時間目 日本の財政とプライマリーバランス(基礎的財政収支)
七時間目 バランス感覚で読む国際政治

【本文より抜粋】
多くの場合そうだと思いますが、人は具体的な目的がないままに勉強するときよりも、どうしてもやらなければならない事態に追い込まれたときのほうがよく頭に入るものです。私の場合も、二八年間の官僚生活のなかで、会計や財務に深く関わらなければならない仕事に二度出くわしました。そこで集中的に勉強することができ、ここで獲得したバランスシートの発想や手法はその後の仕事に大いに役立ちました。(中略)
ここは経理の学校でもありませんし、簿記の授業でもありません。したがって、資格を取るための経理や簿記の知識ではなく、バランスシートという考え方を理解し、身に付けてもらえるための説明をしたいと思います。

 第1章は基本的なバランスシートの読み方のコツを伝授するところから始まり、政府のバランスシートそこにおける徴税権の意義などに注目しています。また過去の高橋さんの実務体験が紹介されていて、不良債権問題や政府のバランスシート作成やALMなどの重要な仕事にどれだけ貢献してきたかがわかる。

 第2章は、バランスシートを利用した「埋蔵金」の発見の話です。これに対して、財務省が「埋蔵借金」という噴飯ものの主張をしたり、特別会計の一般会計化がかえって財務省などに都合のいいドンブリ勘定になる危険性などを指摘、また随所に官僚の使うレトリックの解説が入っていて、政治家にアドバイスを重ねている高橋さんらしい生き生きとした政策実務を感じることができる。

 第3章は政府のいわゆ「借金」問題です。これについての要約は、「日本の借金は1000兆円で世界一。でも資産も700兆円で世界一。バランスシートでみれば借金は1000兆円マイナス700兆円で300兆円。財務省のプロバガンダにだまされないように」ということです。

 またこの政府のバランスシートの読解でも、たえず官僚の利権がからんでいることがわかり面白いです。この章ではまたいわゆるマンデルの三角形が論じられています。また為替介入しか円高是正の手段がないと思いこませるような政府やメディアの対応に苦言を呈し、その結果バランスシートからみると、まったく不用な外貨準備高が130兆円もあるというトンデモな実体(バランスシートをみるとそれは負債にある)を指摘します。このうち100兆円はアメリカの5年物の国債なので5年後には償還されてなくなるとの指摘は重要でしょう。これも政府が為替介入ということをやめれば借金から減るわけです。円高が問題、特にそれが国内経済の不振を招くならば、金融政策で対応し、その帰結として円高が是正されるのが標準的な理解です。日本はなぜかそれがまったくできていない。

 第4章はその金融政策とバランスシートの問題です。金融緩和とはバランスシートの拡大としてもとらえることが可能です。その点で日本銀行は世界的にもまったくやる気のない中央銀行であり、そのやる気のなさのつけをわれわれ国民が犠牲となって払っているというのが本当のところでしょう。



 日本銀行の「包括緩和」についても高橋さんの容赦ない批判を読むことができ、最新の日本銀行の理屈への批判をわれわれは手にすることができると思います。そしてデフレ=不況という論者、人口減少=デフレという論者への批判や、また外貨準備などにかかわる問題と天下り問題がだぶってみえてしょうがないという(笑)、直観も読めて本当に面白い。

【表4】
高橋洋一(たかはしよういち)
一九五五年東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。八〇年、大蔵省(現・財務省)入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員などを経て、二〇〇六年から内閣参事官。〇七年に特別会計の「埋蔵金」を暴露し、一躍、脚光を浴びる。金融庁顧問、株式会社政策工房代表取締役会長、一〇年より嘉悦大学教授。著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省!』(講談社)、『この金融政策が日本経済を救う』『日本の大問題が面白いほど解ける本』(以上、光文社新書)など。