さて、いよいよピアノの発表会の日がやってきました。

あまねちゃんの番になりました。

あまねちゃんがピアノをひくと

たくさんのりんごが会場の天井にうまれて

ゆっくりと下におりてきます。

そして、聞いている人たちの中にきえていきました。

あまねちゃんはとてもうれしくなりました。

今日もたくさんのりんごを配ることができました。



家に帰るとあまねちゃんはペガサスを呼んで

「わたしこれからも幸せのりんごをくばるね。

よろしくね。」

と言いました。

ペガサスはこくりとうなずきました。



あまねちゃんのりんご配りはこれからです。

      

             おわり
ペガサスがそっと近寄りました。

「そうだ、ペガサス、わたしをけいこちゃんのうちに

つれていってちょうだい。」

ペガサスは足を折ってあまねちゃんを背中にのせると

羽を広げてけいこちゃんのうちに飛んで行きました。

けいこちゃんの部屋にいくとあまねちゃんは

さっき生まれたりんごをけいこちゃんの手にわたしました。

けいこちゃんはなぜかうれしそうになり

「あまねちゃんに明日あやまろう。」

といいました。

でも、見えないので、そばにあまねちゃんがいることには

気がついていないのです。



次の日あまねちゃんは学校にいくと

さっそくけいこちゃんの所に行って

「けいこちゃん、ピアノのことで怒ったりしてごめんね。」

とあやまりました。

りんごが生まれてけいこちゃんの中に消えていきました。

「ううん。わたしこそひどいこと言ってごめんね。」

りんごがあまねちゃんの中に消えていきました。

「ひどくないよ。本当のことだもん。わたしあれから一生懸命

練習をして、やっとうまくなってきたよ。

ありがとう。」

りんごがいっぱいうまれてぐるぐる回って二人の中に

消えていきます。



ふたりは仲直りできました。

               つづく
今日はあまねちゃんはピアノの先生にみてもらっています。

たくさん間違えて先生に注意されました。

あまねちゃんが帰ろうとすると

ピアノの順番待ちをしていたけいこちゃんが

「あまねちゃん、いっぱい間違えてへたくそだね。」

と言いました。

あまねちゃんは怒って、

「ひどい。そんなこと言わなくったっていいじゃない。」

と言うと、さよならも言わずに帰ってしまいました。



あまねちゃんはムカムカしています。

帰ると一生懸命ピアノをひきました。

すこしづつうまくなっていきました。練習がたりなかったのです。

あまねちゃんはけいこちゃんの言ってることは

間違っていないとわかってきました。



次の日もけいこちゃんとは口をきかないまま。

気持がもやもやしていやな感じです。

あまねちゃんは家に帰ると一人の時、

「けいこちゃんごめんね。」とつぶやきました。

するとどうでしょう、りんごが一つ生まれたのです。

「そっか、『ごめんなさい』もりんごなんだ。

わたし、このりんごをけいこちゃんにとどけなくちゃ。」

あまねちゃんのこころに勇気が湧いてきました。


               つづく
次の日、朝起きるとあまねちゃんはおかあさんに

「おかあさん、いつもおいしいごはんをありがとう。」

と言いました。

りんごがふわっと生まれておかあさんの中に消えていきました。

おかあさんは大喜び

「まあ。あまねありがとう。」

と言いました。

こんどはおかあさんのところから生まれたりんごが

あまねちゃんの中に消えていきました。



りんご配り大成功!やったね!



                つづく
「それはすてきね。けど、どうすればいいの?」

「むずかしいことはないよ。

あまねちゃんがいいことをすれば自然とりんごが配られるんだ。

ためしに『ありがとう』って言ってごらん。」



「ありがとう」

するとりんごがふわっと現れておじいさんの中に消えていきました。

「りんごをひとつ配ったね。ありがとうはとてもいい言葉なんだ。

それから、ピアノをひいてごらん。」

あまねちゃんはピアノをひきました。

するとりんごが現れ、台所のおかあさんの方に飛んでいきました。



「すごい。ピアノでもりんごが配れるのね」

「そうだよ。おかあさんはあまねちゃんのピアノを聴いて

幸せになったんだ。

こんな風にいろいろやってごらん。

遠くに行くときはペガサスに乗っていけばいい。

ペガサスもあまねちゃんも人からは見えないからね」



「ありがとうおじいさん。わたしやってみる。」

おじいさんはその言葉を聞くとうれしそうに消えていきました。


                  つづく