2月11日


  晴れましたが、風が冷たかった今日

  朝からヘリコプターがたくさん飛んで その音が2年前にわたしを引き戻す

  2年前もたくさんヘリコプターが飛んだ


  あれから2年も経った

  海岸地区は瓦礫は少なくなったけれど、波にさらわれ、かつてあった生活、
  文化がなくなったまま地盤が風に吹きさらしにされている

  あのときの異様な揺れと地鳴りが思い出される
  それから、なにかにつかれるように、パンを大量に焼いて海岸地区へ通った
  塩竈、野蒜、石巻、南三陸町、気仙沼 
  釜石から陸前高田、大船渡にも行った
  
  震災の前日、私は塩竈にいた
  高台にある現場からの帰り、海岸を通って、七ヶ浜、多賀城と海沿いを運転した

  穏やかな海が広がってちょっと海を眺めようとしていて、急に睡魔が襲ってきた
  完全に電池切れのような状態でしばらく、鮨勘の駐車場で寝た

  もしも、そのときに地震が起こっていたらたぶん、今私はここにはいない
  いや、11日も、塩竈の現場にわたしはいるはずだった
  が、午前の予定が狂って、行けずにいた。
  気持ちは、早く現場にいかなければならないと焦っていた。

  そのときに揺れた


  あれから2年

  今年はもっと復興のスピードが速くなればいいと思う


  今夜は、ワインを取り出して眺めている

cc2006

 



  コルトン シャルルマーニュ2006
  
  このワインも被災した
  地震と津波、その後の火災
  気仙沼は津波のあと、重油に引火し町が火の海になった
  被災したワインは高圧洗浄され、わたしのとこにやってきた
 
  コルクの上は重油のにおいがするけれど、下のほうはコルクがしっかりワインを
  守っている

  このワインを開けようかと思ったけれど、もうすこしこのまま保存しておこうと
  思い直した

  まだ、やりたいこと、やりたりないことがあるものね