徒然なるままに…



METライブビューイング「蝶々夫人」

5月7日 初日。

10:00から一回の上映なので、

この日じゃないと見逃してしまうので、

早々に行って来ました走る人



悲劇的結末のオペラはいくつもある中

「蝶々夫人」は

観る度に号泣してしまいます

アリア「ある晴れた日に」に端を発し

幼い我が子を抱きながら歌う蝶々さんに

涙が止まりません



スズキ以外の日本人から見放され

孤立無援の中、

ピンカートンの裏切りや

夫人の申し入れにより

自分の依って立つ場を

根刮ぎ奪われた彼女には、

唯一誇りを保つ道は

死しか残されていなかった


彼女にとっては 

「選んだ死」

であったにせよ、

現代人のねこまた から見れば

あまりに救いのない結末です



今回も

ご多分にもれず

映画館の暗闇の中で

ハンドタオルを口に当てて

嗚咽を堪えて観ていまし



設定では

蝶々さんは15~6歳でピンカートンの花嫁になり

18歳で死を選びます。

「一途な日本の少女」

というキャラクターとなっていますが、

主演のクリスティーヌ・オポライスは

可憐で芯の通った

情熱的で愛情深い女性を

感情豊かに演じていました。

時折「貞子」になるのを除いて…



また、ピンカートンを

「お気楽で軽い若僧ヤンキー」

という解釈で演じた

ロベルト・アラーニャにより、

人間の持つ未熟性や不完全性により起こる

悲しい人間ドラマとして

成り立っていたように思います。



時代背景や社会、文化の違いによって生じる

差別的な偏見と

それによってもたらされる悲劇ではありますが、

解釈や演出によって

人間的な普遍性を表情することができるのだなぁ、

と思いました。




アンソニー・ミンゲラの演出で秀逸だったのは、

「黒子」

の使い方です。

文楽の手法を取り入れた演出により

背景や人物を表現しており、

それを演じている

パペット使いやダンサーの技術=表現力

によっても

感動が高まったと思えます。



一見不気味に見える人形なのに、

動きによって感情や表情がありありと見えるようになり、

可愛らしさや愛しさを感じるようになって来ます



ねこまた の涙は

蝶々さんの悲しい運命

によってばかりでなく、

「黒子」たちの

素晴らしい演技によっても

流されたのでした。





GWだからなのか

人気作品だからなのか

わかりませんが、

これまでのMETではないくらいの

人の入りだったのは、

ちょっと驚きでした




ねこまた  でした