MUS(Medically Unexplained Symptoms)
つまり、患者さんはつらい症状で困っているのに、いくら検査をしてもなんの異常もないという状態。

先日お話したとおり、このような症状はとても多いです。
過去の記事
ただ、うまく対応できる医者はそれほど多くありません。
うまく対応できないというか、面倒だからみたくないというのが本当のところでしょうか。

結論から言います。
MUSは、良くなります。

治療は、
抗うつ薬です。

SSRIと言われる、パキシルやジェイゾロフト、レクサプロといった薬。
SNRIと言われる、サインバルタなどの薬。

これらが、場合によっては人生が変わるほどの著明な効果を表すこともあります。
そこまでいかなくても、長年困っていた症状が楽になる、という方は大勢います。

ではMUSだと思ったらただこれらの薬を処方すればいいだけか?

答えは、NO!! です。

そんなことをしたら、

「私はうつ病じゃないのに…」

と、抵抗をしめされるでしょう。
当然です。うつ病の方ですら、薬に抵抗があることが少なくありませんからね。

うつ病に関する基本的考え」でも述べましたが、薬はあくまで補助的なものです。
よくなるきっかけを与えるものです。

一緒に、症状に向き合う。
自分をとりまく環境に、しっかり向き合う。
医者も患者さんも、一緒にです。

薬は、とくに抗うつ薬なんてものは、「信じること」によってその効果は何倍にもなります。
逆に、信じないで飲むと、副作用ばかり出てきます。

その証拠に、抗うつ薬の臨床試験(薬を発売する前の調査)では、不思議なことが起こります。

うつ病の人に、抗うつ薬とプラセボ(偽薬)をどちらかわからずに飲ませると、
当然抗うつ薬(本物)の効果はでますが、
あまり遜色のないくらい、プラセボ(偽物)でも効果がでるのです。

同様に、副作用もプラセボで結構出てしまうんです。

薬でもなんでもないものを、効果があると信じて飲むだけで、うつ病がよくなるんですね。

ということで、大切なのは、医者との信頼関係、そして、薬を信じることです。