来年度の診療報酬改定ですが、本体部分は引き上げられるようですね。

4月から開業する側としては、ちょっとした安心材料ではあります。


今回は「診察代」についてちょっとお話を。


皆さんが、例えば風邪の症状で病院にかかるとします。
いったいどんな具合にお金がかかるのでしょうか。

まず、皆さんは、その病院に何度かかかったことがあるとしても、
今回の症状で初めて受診する場合は、「初診」として認識されます。

そこで発生するのが「初診料」です。

ふつうの風邪であれば、お話を聞いて簡単な診察をして、薬がでます。

そこで発生するのが「処方箋料」です。

シンプルな診察で、この2つを合計したものが診察料となります。
患者さんは、このあと調剤薬局に行って、お薬代をお支払いします。

さてこの診察代、だいたい3000円ちょっとになりますが、診察にかかる時間は3から5分といったところです。

どう思われますか?

3分で3000円!!!???

そしてこの場合、ほぼ原価はゼロです。

例えばお店であれば、500円で仕入れたものを800円で売って、利益は300円になりますが、
この場合は「仕入れ」というものがないので、利益はそのまま3000円になります。

ますます、3分で3000円!!!???ですね。。。

でもちょっと待ってください。

この3分の間に、私たちは、6年間医学部で勉強してきたこと、卒業してから数年間数々の失敗や成功を含めて経験してきたこと、そして自分たちで本を読んで勉強してきたことや先輩から教わってきたこと、学会で得た知識などを、「総動員」して頭をフル回転させ、目の前の患者さんに立ち向かいます。
その結果、今の時点でベストと思われる処方をしたり、検査を出したりするのです。

となると、同じ結果がでるのであれば、1時間かかって処方がでるのと、3分で処方がでるの、どちらがいいですかという話ですね。

ただ、診察時間も一概には言えません。
心療内科の患者さんで、場合によっては1時間くらいかかる方もいます。
その場合、3分3000円だから、1時間6万円!!・・・なんてことには当然なりません(笑)

商売であれば、もうかってなんぼな世界ですが、病院では違います。
私たちが培ってきた知識や技術によって、患者さんひとりひとりに向かい合い、そして問題を解決してなんぼなのです。
ときにどうしても解決できないことも当然あります。
そのときは、患者さんの立場に立ち、寄り添う気持ちをもって対応することが大切だと思います。