理学療法徒然

理学療法徒然

理学療法士としての経験や日々の医療について感じたことを気ままに書いてます。
シーズンⅡ

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年が明けると認定試験に向けて忙しくなる。

技術の試験はどれだけ研修会に行ったとか練習したとかだけでなく、日々の臨床でどれだけ意識しながら行っているかが重要だと思う。

技術が未熟だと感じている人は努力をし続けるが、少しできるようになるとできている、やっているつもりになる。こうなると向上は期待できない。

技術向上するには己の技術の修正も大事だが一からやり直すつもりでないと難しい。

技術の認定試験で何度も落ちている人はもう一度確認した方が良いだろう。


皆様良いお年を。

先日、自費で脳卒中のリハビリをやってる施設の方が営業に来た。患者を紹介して欲しいとのこと。

うちのクリニックが自費で脳卒中にも対応していることを知っているかどうかはわからない。

60日間で30万円近くの金額であった。

ビジネスとしては面白いと思う。回復期リハではきちんとした治療は行われていないし、介護保険サービスでは質、量ともに物足りないと思う。そこに付け入る隙はある。

しかし概要を聞くとあまいと感じた。2つある。
まず最初は株式会社で運営しているリハビリセンターであるため医師が非常勤であるため内服コントロールができないことだ。

たぶん対象は回復期リハを終えて自宅退院した患者である。そもそもリハ医は全身管理ができない。回復期リハの医師は急性期で処方された薬をそのまま処方し続けているだけである。自宅退院しても変わらないことが多い。

以前にも書いたがある程度技術と知識と経験があるセラピストなら全身管理ができないリハ医はいらない。全身管理ができる内科医の方がいい。
時期に合わせて内服コントロールをしてもらうと機能は変わってくることが多い。


二つ目はその施設のセラピストの技術である。聞くところによると各々が自由にやってるだけのようである。
自費であるならば商品である技術はあるレベルまでの品質保証をしなければならない(もちろん保険診療でもそうだが)。
自費でやってるだけではダメで何をやって効果出します。でなくては顧客は信用できないし、満足できないであろう。


今年も学校の授業が始まった。
相変わらず講義では寝てしまう学生は多いが、実技では熱心に取り組んでいる学生が多いように感じる。

最近の理学療法士の中には理論などばかりで、患者に触れず治療できない人も増えている。
もちろん理論や知識は重要であるが、それだけでは患者はよくならない。

関節可動域訓練一つとっても大きな差がある。歩行訓練では歩かせれないこともある。
それを患者の所為にするのでなく、自身の技術に向けなけば、増加する理学療法士の中では生き残って行くことは難しいだろう。

20年以上の経験があっても大丈夫という安心はない。

前回投稿したコーレス骨折の患者は大学病院でのリハビリの頻度を減らし、自主トレーニングをやめさせたら腫れが引き、可動域も改善してきた。

柔術の元世界チャンピオンの方が腰痛で来院している。今ではかなり改善しているが、近々年代別の世界大会に出場するために練習しすぎて痛くなっているようだ。
その格闘家は手術やいろいろな治療したが良くならず、AKAをしてから練習できるまでに回復し今回の世界大会に出場することを決めたらしい。

格闘家との話題で共通するのは「基礎、基本が大事である」こと。形、型だけを真似してできてるつもりの人が多い。

確かに形を真似ることは重要であるが、それだけではダメである。

最終的には基本に戻ることはどの分野でも同じのようである。

理学療法士においてはどのレベルまでの基本まで戻った方が良いかは各レベルで違うと思うが、基本に戻れば戻るほど自分のいい加減な部分が見えてくる。
先日右膝痛、腰痛が主訴の患者が来院した。膝痛、腰痛は1年ほど前からあったそうだ。来院一カ月前に自宅で転倒し、右コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)で都内の医大でプレート固定をして作業療法士にリハビリしてもらっていた。

膝痛、腰痛は初回のAKAでかなり改善していたが、骨折による右手から肩にかけての訴えが多かった。
週2〜3回1時間以上の作業療法を受けているとのこと。痛いと言っているのかなりきつくやるらしい。
見ると術後1ヶ月経過しているのに手首から指先まで腫れ、熱感もあり、有痛性の可動域制限が著明であった。
体幹のAKAに加え手関節、手指の治療も行うと痛み少なく動きが出てきた。

一番の問題はリハビリのやりすぎとやり方の問題である。早く治そうと頑張りすぎである。
もう一つは作業療法士にオーダーが出ていることである。そこの医大のリハ医は脳卒中の上肢のリハビリに力を入れているから、手関節だから作業療法士にオーダーしたと思うが、作業療法士は作業を通して機能の改善を図るのである。優秀な作業療法士なら今回のケースでも問題ないと思うが、技術も知識もない場合は悪化することもある。もちろん未熟な理学療法士でも同じであるが。
上肢は作業療法士、下肢は理学療法士という安易な考えもやめてほしい。本当にまともなリハ医は少ない。


とりあえず患者には、もう一度作業療法士に痛いので痛くないようにと、頻度を減らしてほしいと伝え、ダメなら整形外科の担当医に相談してリハビリは私が対応してもよいと伝えた。