もう『新聞折り込み』は使えないのでしょうか? | 値上げができる店頭看板の考え方・作り方

値上げができる店頭看板の考え方・作り方

もしも今、みんながサボらず一生懸命働いていて、利益が思うように出ていないのだったとしたら、それは単価が低いのが原因です。思い切って値上げをしてみませんか? 店頭看板を通じて、値上げができる考え方をお教えします。

こんにちは、販促相談員の伊丹芳則です。



以前から、ずっと気になっていたことなので、一部の方には嫌われるかもしれませんが書きます。

下の写真は、一体何だと思いますか?


 

 

私が通勤前の新聞販売店で、毎日見かける光景を撮った写真です。

真新しい新聞紙が束のまま、お店から古紙回収業者のトラックに山積みされています。

もっと山積みされている時もありますので、おそらく同じような販売店を回っているのでしょう。



『どうして、真新しい今日の新聞紙を捨てるのか?』



という素朴な疑問が生まれ、ちょっと調べてみました。

これは、新聞社から販売店に搬入され、配達先がなく消えていく新聞紙で、業界用語で、『押し紙』と呼ぶらしいです。

名前の由来は、販売店に『押し売りされる新聞紙』の呼び名とか?



この『押し紙問題』は、すでに一部の週刊誌でも話題になった問題のようです。


若者の新聞離れやデジタル情報の発達などによる、新聞の発行部数の減少が背景にあり、販売店の販売部数の水増しは以前から常に行われています。



では、現在公開されている新聞の販売部数はいくらでしょうか?

『新聞発行社レポート』を発行している、第三者機関の『日本ABC協会』によると、2014年7月~12月半期の各新聞社の平均販売部数と世帯普及率は、次のようです。


◆読売新聞社
販売部数 926万部
世帯普及率 16.3%

◆朝日新聞社
販売部数 710万部
世帯普及率 12.6%

◆毎日新聞社
販売部数 330万部
世帯普及率 5.9%

◆日経新聞社
販売部数 275万部
世帯普及率 4.7%

◆産経新聞社
販売部数 162万部
世帯普及率 2.8%


合計の販売部数 2413万部
合計の世帯普及率 42.3%

こんな感じになっています。

(但し、この数字には夕刊は含んでおらず、また複数購読がある場合は、合計の世帯普及率は変化します)



この販売部数の内、先ほどの『押し紙率』は、どれくらいあると思いますか?

正確には、よく分かりませんが、一部の週刊誌で話題になった数字によると、新聞各社で、『20%弱~50%強』になるようです。


仮に、平均で『押し紙率』を、『30%』とすれば、実質の世帯普及率は、『約30%』になり、かなりの低水準となります。




では、もう『新聞折り込み』は使えないのでしょうか?



確かに、新聞折り込みで不特定多数の人にお知らせする場合は、不十分です。

しかし、次のように考えると一概にそうとも言えないと思います。


それは、新聞購読者の『属性』です。

『属性』とは、ある人達の共通している性質や特徴になります。



<例えば>

◆年齢別の新聞購読率

若年層が、『20%~30%弱』

中堅層が、『40%強』

高齢層が、『50%~60%強』


年齢が10歳上がるごとに、講読率が約10%上がっているようなイメージです。




◆家族構成別の新聞購読率の傾向

ファミリー層ほど多く、一人暮らしほど少なくなります。



◆学歴や収入による新聞購読率の傾向

ホワイトカラー層、大学卒、所得水準が高いほど多い傾向です。



非常にざっくりではありますが、この新聞の『属性』を頭に入れて、さらに『価値観の違い』や『悩みの深さ』で、ターゲットを絞り込めば、メッセージ性の強い販促物が折り込めます。


見方を変えれば、新聞が事前に『属性』を絞り込んでリスト数を減らしてくれているということです。


もちろん、『押し紙率』を考慮して、折込み枚数を最適枚数にすれば、まだまだ使えそうではありませんか?

そもそも、最近の折り込みチラシは、ターゲットを絞り込まなければ反応しなくなっています。


特に、40歳以上のソーシャルネットワークでの読み書きが苦手なお客さんには、まだまだ有効ですし、ポスティングでは入れないマンションにも折り込むことができるのです。



もう新聞折り込みは使えないと考えず、『誰に、呼び掛けるのか?』をハッキリ絞り込んで、上手に新聞購読者の『属性』を活用するのも、販促を考える上で重要なことだと思います。




最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則