勝負レースを絞る事=回収率が悪化する事 | 馬券力向上クリニック

勝負レースを絞る事=回収率が悪化する事

競馬の回収率をあげるためには、狙うレースを絞って的中率を上げること、とよく言われますが、デタラメでしょう。競馬を投資のイメージで考えようとする人程こう言いますが、これは株で言うならばいろいろな銘柄に手を出さずに、絞り込んだこれという銘柄に大量に投資しろという事と同じです。しかしその方法は正にギャンブルであり、リスクの大きさに比べてリターンが見合わないでしょう。競馬はギャンブルではなく投資だと言う人が、実際にはギャンブルを実践し、推奨している。結構おもしろい現象だとは思いますが、競馬を投資と言うにはお粗末な理論ですよね。

「狙うレースを絞らざるを得ない予想方法」を使う人、例えばこういう条件のレースに限って買うというのならばそれはいたしかたありませんが、予想に自信の無いレースはしない、というだけの理由で絞るのは愚の骨頂です。そういう人に言いたいのは「じゃあ自信のあるレースってあなたはそんなに当たるんですか?」という質問です。

回収率をあげるために狙うレースを絞るという事を考える人達に検証してもらいたいのは、それ以前の的中率と、絞ったことによる的中率の違いの効果測定です。例えば、今までの的中率が20%だった人が、80%になったとします。それはすごいなと思っている方、甘いです。ここまで差をつけてもレース数を絞った方が実質的な回収率が低くなりがちです。レースを絞る事の本質的な問題がそこにはあるからです。例えば、全レースやって的中率が20%だった人が、1日1レースに絞って的中率を80%にした場合を計算してみます。

中央競馬の場合だと、土日で3場の場合36レースがあります。
全レースで20%の的中率ならば、平均で7.2レースの的中が考えられます。
絞った結果80%の的中率ならば、平均で1.6レースの的中が考えられます。

今までは、投入資金が毎レース1,000円だったとすれば、土日の36レースで36,000円の資金を使っていたことになります。今度はその36,000円を1日1レースに使うわけですから1レースに18,000円を投入することになります。そこで、土日の収支を比較してみると。

1レース1,000円で7.2回的中した時に得られる資金の額
1レース18,000円で1.6回的中した時に得られる資金の額

どちらが安定した収入を得られると思いますか?当然結果はオッズによって変わってくるのですが、絞るレースで80%の的中率を取ろうとするのならば、必然的にオッズは堅めですよね。それも18,000円を1点ではなく、複数の買い目に分割するわけですよね。回収金額がそうそう良くないことがイメージできるはずです。

ちなみに、このレースを絞ったペースは5回に4回的中するわけですから、5週間のうち少なくとも3週はパーフェクトでなければなりません。それだけ自信のある予想ってできますか?絞り込むことでそれほど当たります?それができるのならば、20%の的中率がもっと上がっていませんか?

もう一つの計算として、予算の36,000円が固定ではなくて、購入金額の1,000円が固定、つまり絞ったレースも1,000円しか買わない、というパターンとの比較があります。確かにこれなら回収率は向上しますし、的中率も向上します。一番ギャンブルから遠い堅実な買い方です。ただ、負けはしませんがそう大きく勝ちもしません。

リスク分散という意味で多くの変動を得られる機会を増やしてリスクを減らして結果的に勝っていく、という考えが一般的な投資の考えです。勝ち負けは当然両方ともある、という前提の中で勝ちを増やすのが基本です。これを競馬に当てはめれば、レースはなるべくたくさん参加し、外れる事は認めた上でその中での的中率を上げていくことを考えるのが本当の投資的な競馬の考え方なのではないでしょうか?

多くのレースに参加しながら、的中率を上げる事というのはまさに総合的な競馬力の向上を目指すことになります。つまりオールラウンドな予想力の向上です。どんなレースでも予想できる能力を向上することを研究目的とせず、当たりそうなレースを絞ろうとした予想方法を研究しようとしている事そのものが既に逃げ腰なのですよ。それでは的中率が上がっても一向に回収率はあがりません。あなたの回収率が上がったのはレースを絞って的中率を向上したことではなく、単にまじめに予想理論を考えて競馬力が向上したからだけじゃないんですか?

試しに同じ理論で全部のレースを真面目に予想して的中率がどう変化するかやってみて欲しいものです。そこで重要なのが、予想の意思決定の効率化、高速化です。同じ高いレベルの予想を短時間でできるようになれば、より多くのレースに参加できるのです。それにより落ちる的中率は的中数でカバーされ、回収率が結果的に向上するわけです。

そして、さらなる回収率の向上に役立つのが、馬券力になります。同じ予想でより効率的に稼ぐ、そのために馬券力を磨くことが大事なわけです。