今日の日経新聞電子版の記事で、またもや外貨建て保険が人気との記事。
記事の中で、
販売を担う銀行の担当者は「米金利は最近10年で最も高い水準で、顧客に勧めやすくなっている」と話す。
大手行の営業担当者は「円資産に偏った運用では中長期の資産形成が心もとない」と分散投資の必要性を説く。
だから「外貨建て保険を勧める」のはいかがなものかと思います。
われわれは「保険」と名のつく商品だからといって安全安心な金融商品だと思ってはいけません。
為替というハイリスクを背負った、個別銘柄の株式などと同じレベルのハイリスク商品だと思った方がいいのです。しかも知ればば知るほど顧客にとって不利な金融商品です(一方で銀行や保険会社にとっては、とっても儲かる商品→だから勧めてくる)。
以前、以下ブログで紹介したように、外貨建て保険はハイリスク・ローリターンです。確かに今は、米国は高金利なので、何も知らない高齢者が、高利率に誘惑されて購入しやすいのは理解しますし、苦情もここ最近は年々減少しているとのこと。
そりゃそうです。この半年でこれだけドルが高騰すれば、米ドル資産を持っていれば誰でも儲かりますから。
では、なぜ外貨建て保険をお勧めできないかというと、
①1度契約したら実質解約できない(解約すると莫大な手数料を取られる)
②販売手数料が高い(外貨建ては、5%前後)
③代替商品の方が、はるかに条件がいい(外貨建て債券など)
④今は数十年振りの円安局面(時価:1ドル149円、購買力平価:同110円)
という理由からです。
■米国が高金利だから外貨建て保険を勧める?
記事の通り「米国が高金利だから」という理由なら、そのまま米国の高金利債券を買えばいいだけです。
わざわざ、解約したら大損する、しかも高い手数料がかかる保険商品を買う意味がありません。
ちなみに外貨保険販売時にかかる手数料は、5%前後が多いようなので、退職金2000万円を、金利がいいからと、銀行の販売員にすすめられて購入すると、100万円もの手数料がかかってしまいます。
さらに運用手数料(管理手数料)は数%あると言われており、その分を差し引いての金利が、顧客に支払われる金利となります(今は4−5%程度)。
ちなみに楽天証券で、為替リスク以外は最もローリスクの米国ドル建て債券を購入する場合、手数料は無料。あとは日本円から米ドルへの為替にかかる手数料のみ(1ドルあたり25銭)。
(2022年10月20日時点の金利)
■円に偏った資産では、中長期の資産形成が心もとない?
だったら、外貨建て保険ではなく、世界中の株式に分散した世界株式のインデックスファンドを購入しましょう。販売手数料無料・管理費用0.114%と超低コストです。
もちろん外貨建て債券型のインデックスファンドでもOK。
また、インフレが気になるなら物価連動国債のインデックスファンド。販売手数料無料、管理費用0.44%。インフレ率に連動して価格も上がっていくので、今後のインフレに備えたいなら安心です。
このように、高金利対応や外貨資産の割合増、インフレ時代対策など、ドル建て保険に代替できる金融商品は、山のようにたくさんあります。
ではなぜ、このような商品をメガバンクや大手保険会社の販売員は勧めてこないのでしょう。その理由はかんたんです。このような商品は彼ら彼女らにとって儲からないからです。
販売手数料は無料だし、管理費用も雀の涙です。金融商品を扱う販売員の高額な人件費を賄うことができないからです。
■なお上記内容は私の個人的意見です。紹介した上記金融商品の購入や外貨建て保険購入の取りやめは、個人の責任においてご判断くださいね。将来は誰にもわかりませんので。。。