先日感想をアッブした映画「愛と哀しみの果て」の原作。著者はイサク・ディーネセン。カレン・ブリクセンのペンネームだ。
聞いてはいたが、原作は映画とは全くの別物。映画はおそらく自伝や他の作家の著作等からカレンのアフリカでの物語を再構築したものと想像される。
「アフリカの日々」は自伝ではない。随想とも違う。著者が帰国後何十年も経ってから、自分がアフリカで観察し体験したことを記憶を掘り起こして昇華させて書いたノンフィクションの様なものだ。その観察はきめ細かく、文章は精緻で宝石の様に素晴らしい。
映画では主要な登場人物でカレンの恋人であったデニス・フィンチ・ハットンについて書かれている頁も少ない。たしかに映画と同じくデニスに飛行機に乗せてもらったことは書かれており、カレンが彼に好感以上のものを抱いていたことは何となく感じられるが、原作だけではカレンとデニスが恋人であったとまでは到底判らない。
デニスについてやや詳しく書かれているのは彼の事故死後のことだ。彼の墓を作るために奔走した様子については映画よりはるかに詳しい。
彼の墓のところに雄と雌のライオンが現れる立ち止まり、ときには寝そべる様になったことを帰国後知るというエピソードは原作にしっかり書かれている。
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