さて、今回ご紹介するのは、世界的なボサノヴァ・ブームの火付け役となった、超名盤「ゲッツ/ジルベルト(Getz/Gilberto)」です。
早速、ジャケットを。
試聴できるバージョンはこちら。
さて、このアルバム、ジャズサックス奏者スタン・ゲッツと、ボサノヴァ歌手ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)の共作なのですが、当然、ジョアンと共にボサノヴァというジャンルを創り出した、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)も参加しています。
私は、最初にご紹介した、ボーナストラック付きのバージョンは持っていないのですが、オリジナルの8曲をご紹介しようと思います。
まずは、参加メンバーから。
スタン・ゲッツがテナー・サックス、ジョアン・ジルベルトがギターとヴォーカル、アントニオ・カルロス・ジョビンがピアノ、トミー・ウィリアムス(Tommy Williams)がベース(注:ベースは、Sebastiao Neto だという異論もあります)、ミルトン・バナナ(Milton Banana)がパーカッション、ドラムス、そして、1曲目と5曲目の英語ヴォーカルが、ジョアンの当時の妻、アストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)です。
1曲目は、シングルとしても大ヒットした、「イパネマの娘」(The Girl From Ipanema)です。あまりにも有名ですね。でも、原点はここにあったわけです。
ジョアンのポルトガル語の歌詞から始まります。バックは比較的静かです。そして、アストラッド・ジルベルトの英語の歌詞。これもいいですね。さすが、シングルでグラミー賞をとっただけのことはあります。(アルバムの方の賞と、これも加えて、グラミー賞4部門独占)。続いて、ジャズ界では、最もボサノヴァを理解していた男、ゲッツのサックス。バックも音量を上げて、盛りたてます。色気のあるサックスです。それから、ピアノソロ。「ボサノヴァの創始者のひとり」、ジョビンのピアノです。それから、アストラッドのヴォーカルに戻りますが、微妙にサックスも絡みます。正真正銘の、歴史的名演です。
2曲目は、「ドラリセ」(Doralice)。
冒頭から、ジョアンのボーカルが光ります。ほのかに陽気なナンバーです。それから、ゲッツのサックス。ボサノヴァを世界的に広めるきっかけには、やはり、このサックスも、欠かせなかったと思います。新ジャンルから超メジャーへの歴史的転換点ですから。ヴォーカルとサックスの掛け合いが短く入って、終わります。
3曲目は、「プラ・マシュカー・メウ・コラソン」(Pra Machucar Meu Coracao)英題「To Hurt My Heart」。
ジョビンの美しいピアノのイントロから、ジョアンの優しいヴォーカルに移ります。涙が出そうなくらい、優しいヴォーカルです。声量は控えめに抑えてますが、包容力のあるヴォーカルです。そして、ゲッツのサックス。こちらも、魅力的です。ジャズ界のボサノヴァの第一人者というのも、納得できる、ボサノヴァ・テイストの、ちょっと幸せの霧に包まれたような、独特の音色です。こちらも、ヴォーカルと比べて、結構長いです。その後は、ジョビンのピアノで終わります。
4曲目、「デサフィナ―ド」(Desafinado)。
こちらも、今では、ボサノヴァのスタンダードナンバーですね。ジョアンのヴォーカルが、切々と歌い上げます。情感あふれた、最高のボサノヴァの曲の一つですね。途中からゲッツのサックスが入ります。ある意味、「異業種混合」のアルバムなのですが、そこが却って、良かったのかもしれませんね。ジャズと言う、確立されたジャンルと、日の目を見つつあった、ボサノヴァと言う新ジャンル、このブレンドが、本作の大ヒットの理由だと思います。最後は、ヴォーカルのスキャットで、フェイドアウトです。
5曲目、「コルコヴァード」(Corcovado)。
アストラッドのヴォーカルで始まります。一通り、サビを歌った後、サックスが入って、ジョアンのヴォーカルになります。このナンバーも、非常に有名ですね。ボサノヴァを聴くなら、是非、おさえておきたい一曲です。ジョアン独特のヴォーカルに続いて、また、サックス。本当に、名演奏です。それから、ジョビンのピアノ。こちらも、派手さこそないものの、名演です。そして、再び、ジョアンのヴォーカル。最後は、ゲッツがサックスでしめます。
6曲目、「ソ・ダンソ・サンバ」(So Danco Samba)。
ギターとピアノのイントロから、即、サビに入ります。もちろん、ジョアンのヴォーカルです。一通り唄ったところで、ゲッツのサックスが入ります。ちょっと明るめの、あるいは、「心で泣いて、顔で笑って」(笑)みたいな、ちょっと切ない演奏です。というか、私の理解するボサノヴァは、みな、多かれ少なかれ、そういう情感を含んでいると思いますし、それが、癒しと人気の理由だとも思います。
ゲッツのサックスのソロのまま、終わります。
7曲目、「オ・グランジ・アモール」(O Grande Amor)。
ゲッツの哀愁漂うサックスから入ります。それから、リズムセクションも加わって、音の厚みが増します。曲調自体、切なげな感じです。続くジョアンのヴォーカルも、そんな感じです。再び、ゲッツのサックス。ジャズでいうところのアドリブと言うか、ソロに近い演奏ですね。その後は、ジョビンのピアノ・ソロ。このアルバムの中では、比較的長めです。ピアノが、サビに戻ったところで、サックスが入ります。絶妙の演奏です、侘び寂び(わびさび)というか・・・。高音で、クライマックスを迎え、終わります。
8曲目。「ヴィヴォ・ソニャンド」(Vivo Sonhando)。
ジョアンのヴォーカルが、いきなり、サビから入ります。実に心地よい、さわやかな声です。そして、サックス。エンディングであることを感じさせれる、心の琴線に触れる演奏です。そこに、途中から、パーカッションが存在感を示してきます。最後は、美しいサックスの高音で、本当に、終わりです。
私は、多くのリスナーの方々と同様、ここまでの、オリジナルの演奏しか知りませんが、ボーナストラックをお聴きになった方は、是非、ご感想をお寄せ下さい。
不況のさなか、どうせなら、在庫は少ないものの、経済的価値も高いバージョンを、と思って、最初のバージョンを載せましたし、2番目の、オリジナルバージョンも、価格をよく見ると、プレミアが付く可能性も大ということで、選びました。ちなみに、2番目の方が、内容的に劣るわけでは、全くありませんので(ボーナストラックの有無だけです)、その点、ご理解下さい。
ボーナストラックの2曲は、シングルバージョンからで、アストラッドのヴォーカルのようです。
ちなみに、2,3曲目以外は、全て、ジョビンが作曲に関係しています。
歴史的名盤ですので、まだお聴きになっていない方は、是非とも、お聴きください。
今回も最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
早速、ジャケットを。
- Getz/Gilberto/STAN GETZ / JOAO GILBERTO
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試聴できるバージョンはこちら。
- ゲッツ/ジルベルト/スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト
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さて、このアルバム、ジャズサックス奏者スタン・ゲッツと、ボサノヴァ歌手ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)の共作なのですが、当然、ジョアンと共にボサノヴァというジャンルを創り出した、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)も参加しています。
私は、最初にご紹介した、ボーナストラック付きのバージョンは持っていないのですが、オリジナルの8曲をご紹介しようと思います。
まずは、参加メンバーから。
スタン・ゲッツがテナー・サックス、ジョアン・ジルベルトがギターとヴォーカル、アントニオ・カルロス・ジョビンがピアノ、トミー・ウィリアムス(Tommy Williams)がベース(注:ベースは、Sebastiao Neto だという異論もあります)、ミルトン・バナナ(Milton Banana)がパーカッション、ドラムス、そして、1曲目と5曲目の英語ヴォーカルが、ジョアンの当時の妻、アストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)です。
1曲目は、シングルとしても大ヒットした、「イパネマの娘」(The Girl From Ipanema)です。あまりにも有名ですね。でも、原点はここにあったわけです。
ジョアンのポルトガル語の歌詞から始まります。バックは比較的静かです。そして、アストラッド・ジルベルトの英語の歌詞。これもいいですね。さすが、シングルでグラミー賞をとっただけのことはあります。(アルバムの方の賞と、これも加えて、グラミー賞4部門独占)。続いて、ジャズ界では、最もボサノヴァを理解していた男、ゲッツのサックス。バックも音量を上げて、盛りたてます。色気のあるサックスです。それから、ピアノソロ。「ボサノヴァの創始者のひとり」、ジョビンのピアノです。それから、アストラッドのヴォーカルに戻りますが、微妙にサックスも絡みます。正真正銘の、歴史的名演です。
2曲目は、「ドラリセ」(Doralice)。
冒頭から、ジョアンのボーカルが光ります。ほのかに陽気なナンバーです。それから、ゲッツのサックス。ボサノヴァを世界的に広めるきっかけには、やはり、このサックスも、欠かせなかったと思います。新ジャンルから超メジャーへの歴史的転換点ですから。ヴォーカルとサックスの掛け合いが短く入って、終わります。
3曲目は、「プラ・マシュカー・メウ・コラソン」(Pra Machucar Meu Coracao)英題「To Hurt My Heart」。
ジョビンの美しいピアノのイントロから、ジョアンの優しいヴォーカルに移ります。涙が出そうなくらい、優しいヴォーカルです。声量は控えめに抑えてますが、包容力のあるヴォーカルです。そして、ゲッツのサックス。こちらも、魅力的です。ジャズ界のボサノヴァの第一人者というのも、納得できる、ボサノヴァ・テイストの、ちょっと幸せの霧に包まれたような、独特の音色です。こちらも、ヴォーカルと比べて、結構長いです。その後は、ジョビンのピアノで終わります。
4曲目、「デサフィナ―ド」(Desafinado)。
こちらも、今では、ボサノヴァのスタンダードナンバーですね。ジョアンのヴォーカルが、切々と歌い上げます。情感あふれた、最高のボサノヴァの曲の一つですね。途中からゲッツのサックスが入ります。ある意味、「異業種混合」のアルバムなのですが、そこが却って、良かったのかもしれませんね。ジャズと言う、確立されたジャンルと、日の目を見つつあった、ボサノヴァと言う新ジャンル、このブレンドが、本作の大ヒットの理由だと思います。最後は、ヴォーカルのスキャットで、フェイドアウトです。
5曲目、「コルコヴァード」(Corcovado)。
アストラッドのヴォーカルで始まります。一通り、サビを歌った後、サックスが入って、ジョアンのヴォーカルになります。このナンバーも、非常に有名ですね。ボサノヴァを聴くなら、是非、おさえておきたい一曲です。ジョアン独特のヴォーカルに続いて、また、サックス。本当に、名演奏です。それから、ジョビンのピアノ。こちらも、派手さこそないものの、名演です。そして、再び、ジョアンのヴォーカル。最後は、ゲッツがサックスでしめます。
6曲目、「ソ・ダンソ・サンバ」(So Danco Samba)。
ギターとピアノのイントロから、即、サビに入ります。もちろん、ジョアンのヴォーカルです。一通り唄ったところで、ゲッツのサックスが入ります。ちょっと明るめの、あるいは、「心で泣いて、顔で笑って」(笑)みたいな、ちょっと切ない演奏です。というか、私の理解するボサノヴァは、みな、多かれ少なかれ、そういう情感を含んでいると思いますし、それが、癒しと人気の理由だとも思います。
ゲッツのサックスのソロのまま、終わります。
7曲目、「オ・グランジ・アモール」(O Grande Amor)。
ゲッツの哀愁漂うサックスから入ります。それから、リズムセクションも加わって、音の厚みが増します。曲調自体、切なげな感じです。続くジョアンのヴォーカルも、そんな感じです。再び、ゲッツのサックス。ジャズでいうところのアドリブと言うか、ソロに近い演奏ですね。その後は、ジョビンのピアノ・ソロ。このアルバムの中では、比較的長めです。ピアノが、サビに戻ったところで、サックスが入ります。絶妙の演奏です、侘び寂び(わびさび)というか・・・。高音で、クライマックスを迎え、終わります。
8曲目。「ヴィヴォ・ソニャンド」(Vivo Sonhando)。
ジョアンのヴォーカルが、いきなり、サビから入ります。実に心地よい、さわやかな声です。そして、サックス。エンディングであることを感じさせれる、心の琴線に触れる演奏です。そこに、途中から、パーカッションが存在感を示してきます。最後は、美しいサックスの高音で、本当に、終わりです。
私は、多くのリスナーの方々と同様、ここまでの、オリジナルの演奏しか知りませんが、ボーナストラックをお聴きになった方は、是非、ご感想をお寄せ下さい。
不況のさなか、どうせなら、在庫は少ないものの、経済的価値も高いバージョンを、と思って、最初のバージョンを載せましたし、2番目の、オリジナルバージョンも、価格をよく見ると、プレミアが付く可能性も大ということで、選びました。ちなみに、2番目の方が、内容的に劣るわけでは、全くありませんので(ボーナストラックの有無だけです)、その点、ご理解下さい。
ボーナストラックの2曲は、シングルバージョンからで、アストラッドのヴォーカルのようです。
ちなみに、2,3曲目以外は、全て、ジョビンが作曲に関係しています。
歴史的名盤ですので、まだお聴きになっていない方は、是非とも、お聴きください。
今回も最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。