りょうぴーの自由奔放批評空間

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どうもりょうぴーです。このブログは僕の好きなゲーム、アニメ、音楽、映画、特撮に関するレビューが中心です。
度々酷評もあるので悪しからず。
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評価 神ゲー

対応機種 PS5、Switch2、Switch等

段階 14
評価点(Iリメイクにて記載されている共通の評価点は割愛) ゲーム的な遊びやすさとストーリー体験の面白さが大きく向上
・ゲームバランス面は追加ボス戦やクリア後を筆頭に所々で理不尽さが露呈したIII、初見殺しや雑魚戦でのリンチが多く半ば死に覚えゲーだったIと比較してかなり改善されている。Iリメイク同様特技、装備の種類が追加され、仲間の習得特技や呪文、装備可能な武器防具の見直しが施されたことで味方の戦力や戦術の幅が大きく広がった。推奨難易度のバッチリ冒険でも難易度が高めなのはIリメイクと同様ではあるが明確な初見殺し的な強さという程の雑魚敵やボスはおらず、ストーリーの進行や仲間の強さに合わせて余裕を持って戦える、ボスはとりわけ後半の悪霊の神々を筆頭に全体的に強いことは強いものの様々な特技や呪文で対策を行ったりレベルを上げればきちんと勝てる調整になっているため、これまでと比較してゲーム的な遊びやすさと面白さがより得られるようになった。
・こちらもI同様にストーリーの内容が大幅に追加。SFC版でムーンブルク滅亡に至るシナリオは描かれていたが、本作では全体的なストーリーに補完がなされている。ハーゴン率いる教団による侵攻、ロンダルキアの滅亡、ロトの子孫に対して友好的な竜王のひ孫、ベラヌールでのサマルトリアの王子の呪いイベントといった原作やSFCにあったか示唆されていたイベントの補強がされて、物語の見応えが大きく上昇した。III、Iに出てきた妖精達との出会い、デルコンダルとロンダルキアの関係、妖精と交流のある人魚の物語、戦いを好まずハーゴン教団の侵略に消極的な黒いモーモン(モーくん)が登場するペルポイの町の物語といった新規のストーリーイベントや加えられた設定も、物語に更に彩りを加えている。
・特技の追加やパラメータ調整でキャラの性能も大きく変更。本作でも変わらず呪文は使えないが強力な単体物理攻撃やにおうだちなどの攻撃や守りに優れた特技や驚異的なフィジカルで全てを粉砕するローレシアの王子、原作の器用貧乏かつ貧弱性能は嘘のように改善され、装備ラインナップの充実や攻守回復まで万能な呪文を習得するサマルトリアの王子、犬にされていた頃の名残の特技を覚えつつも豊富な呪文の種類で臨機応変に対応できるムーンブルクの王女と、三者三葉で強みが明確化された。

・原作でもNPCとして登場していたサマルトリアの王女(2人目に加入するサマルトリアの王子の妹)が新たな仲間として加わってくれる。性能はIIIの遊び人と盗賊と魔法使いを混ぜたような性能で、補助呪文、補助特技を中心に立ち回るサポート役となっている。レベルが低いと命令を無視して戦闘中に勝手に遊び出すのが欠点だが、素早さの高さを活かしたバフ要因で他にも搦手や威力の高い超絶技も使えるので、敵の火力が痛い本作においては非常にありがたい追加メンバーとなっている。

・物語のボリューム増加に伴い、仲間キャラクターの個性が更に色濃くなった。主人公のローレシアの王子は無口であるが故に明確なキャラ描写は分かりづらいが、呪文を使えないことへのコンプレックスを抱えながらも要所要所でパーティの柱として仲間を支える人物として描かれている。サマルトリアの王子は「いやー、さがしましたよ」という有名なセリフを筆頭に抜けたところの多い呑気でマイペースなキャラではあるが時々冴えた一面を見せ、心優しく相手を気遣える気配り上手な人物。妹のサマルトリアの王女は年齢も幼く、良くも悪くも感情表現がストレートで未熟な所も多いが責任感が強く勇者としての使命を全うしたがる意志の強さと兄譲りの優しさを見せる真っ直ぐな人物。中でもムーンブルクの王女は特に印象的なキャラで、祖国を滅ぼされた復讐心とハーゴン討伐への強い決意に燃える人物だが、旅を通して仲間たちとの交流で穏やかさを見せ、最終的に復讐ではなくロトの勇者の一族としてハーゴンを討つ決意を固めるという、ドラマ性の大きなキャラに仕上がっている。ドラクエの仲間キャラはどれも魅力的な人物が多いが、本作は原作がシリーズ初の仲間システム作品なだけに特に人物描写に気合いを入れて作られたのが感じられる。
・原作での主な中ボスはサブタイトルにもなっていた悪霊の神々であるアトラス、バズズ、ベリアルほどしか存在しなかったが、ストーリーの追加に伴い数々のボスが追加され、それに伴いボスキャラの出番や個性を発揮する場面が増えた。新たに登場するハーゴンの手下、ミリエラやハーゴン教団に属する魔物達、悪霊の神々達のキャラ描写の追加や戦闘の追加もあって、魔物達の悪辣さや物語における強敵感が大きく増した。
・人魚関連のストーリーが追加されたことで新たに深海マップが追加。中層、下層に分けて深海を探索できるようになった。但し、海底宝物庫や幽霊船など、ストーリー以外における海底マップの追加要素は全てクリア後の攻略が推奨される難易度なので、アイテムだけ回収したい、クリア前に強いアイテムを拾いたい、クリア後要素を快適に進めたいだけなら、こだわりがなければ楽ちんプレイ&死なない設定をオンにしてゴリ押しするのを推奨する。
・本作はクリア後の追加要素が用意されており、隠しストーリーや真のラスボスとの戦い、隠しダンジョンといった原作では戦うことはなかった竜王のひ孫との戦い、IIIにも登場した謎の塔等数々の追加要素が待ち構えている。中でも隠しストーリーで戦える真のラスボスとの戦い、三部作を締めるストーリーのラストは必見。

不満点 中盤のバランスやクリア後など練り込み不足な部分も
・上記の通りゲームバランスは改善されているものの、それは順当にストーリーチャートを進めた場合であり、船を利用して強力な装備を買う、穴掘りなどの特技を活用していいドロップアイテムが出るまで金策する等をすれば楽に攻略が可能になる。しかし、海の敵は特定のエリアだと初めて入手出来るレベル20段階だとえげつなく強い敵もおり、加えてストーリーボスも船入手~サマルトリアの王女正式加入までは数段強さが跳ね上がるため、船入手段階のゲームバランスは非常に粗くなってしまっている。
・巻物システムに関しては仲間キャラが増えたことと複数人が習得できる呪文や特技がある弊害もあり、1つ目を手に入れたら次に入手できるのが終盤かクリア後になる、もしくは複数人が習得できる特技なのに一点物である等、入手や使用に関する調整がガタガタだと感じた。
・サマルトリアの王子の超強化は評価点である一方、「物語途中から呪い装備のデメリットを受けなくなる」、「習得特技がローレシアの王子よりラインナップが豊富」「ビーストモードの巻物入手前提にはなるが、やまびこの帽子を装備できてギガデインとビーストモードを両立させられる」等、極端な優遇調整が成されていて、最悪ゲームバランスを壊しかねない。とはいえ呪い装備は意図的に装備させなければ良いだけだし、呪い装備のメリットを活用しても本作のボス戦は全体的に難易度が高めにはなっているし、ボス戦で求められる単体火力はローレシアの王子のばくれつけんや渾身斬りなどの特技には及ばないところもあるので、総合的に見れば戦力的にはトントンではある。
・クリア後の追加シナリオでハーゴンが何故邪教を建ててまで世界を滅ぼそうとしたのかという闇堕ちまでの動機が語られるのだが、ハーゴンが敬愛していた竜の女王との関係性、ハーゴンがアレフガルドにやってきた理由、ハーゴンに取り憑いて心の闇を増幅した闇の意思(恐らくドラクエ11のニズゼルファと同一?)など、気になる点だったこれらの掘り下げは殆ど成されない。IIIリメイクで人間態が出ていたことやIリメイクのエンディングでハーゴンの暗躍が描かれていただけに、あれだけ引っ張って特にバックボーンも無かったというのは拍子抜けである。
・クリア後ダンジョンの無限の回廊が面倒くさい。前作のクリア後要素の不評点であったIIIリメイクの試練の神殿と比較すればパンドラボックスや特定装備以外は瀕死級のダメージなどのガバガバ調整と比較すれば余程の理不尽という訳では無い(クリア直後に挑めばさすがに厳しいが適切にレベルを上げていれば対処できない強さではない)ものの、複数ある分岐から正解の道を選ばなければならない無限ループ構造がシンプルにダレる。

総評 I・IIカップリングの大本命にしてHD-2Dシリーズの集大成として作られた本作。IIIリメイクやIリメイクで見られたゲームの粗を大幅に改善し、シナリオもIの単なる地続きとしてだけでなくIIIから続くロトシリーズの完結編に相応しい物語が描けている。面白いものの全体的に粗の目立ったIII、改善点と新たな課題点が見つかったIと、荒削りだった前2作からプレイ感や満足度は大きく向上。加えてサプライズ要素もIIIリメイクから続けて遊んできたプレイヤーであれば感慨深く感じられるだろう、まさに会心の一作とも言えるゲームである。