※斜字太字の部分は、当たり前のことしか書いておりません。偏差値65以上の高校合格の基礎ができている人は時間の無駄ですので読み飛ばしてください。
逆に偏差値65以上の高校を目指していて、まだ中学3年間分の基礎事項が終わっていない中学1,2年生は読んで質問してください。飛び級している生徒さんや偏差値65以上(上位6%)の高校を合格するペースでカリキュラムが進んでいる塾に通われている生徒さんはこの限りではありません。
1:まずはじめに、図を大きく描きましょう!!
この図を見て、え?円って同じ大きさじゃないの?となってしまうのは論外です。
慶應志木の数学で唯一与えられる注意事項「図は必ずしも正確ではない。」この一言を無視してしまうのは、数学脳が弱い証拠です。
「わざわざその注意事項を入れるということは、同じ大きさではないところを同じ大きさに見せて受験生を引っかけようとしているんだ」と考えるのが数学脳が強い人です。
数学では等しいと指定されていない確定できないうちは一旦、等しくないものとして扱わなくてはなりません。
問題文の図に書き込まず、それを写すのではなく、問題文を読んで自力で大きな図を必ず書きましょう。
次に、図にたくさん書き込まれてる!と思うのは、普段の勉強で設問の条件を意識しきれていないからです。
まず、設問で聞かれている円O₂の半径と線分BCをそれぞれx、yと置くのは中学1年生で方程式を習うときに徹底されているので良いと思います。
次に問題文の条件を全部書き込む過程でピタゴラス数は即座に反応しましょう。7:24:25&8:15:17までは最低限入れておきましょう!複雑な因数分解の問題でたまに役立つので、たくさん覚えているに越したことはありませんが、それよりはピタゴラスの定理自身6通りの証明をできるようにして図形のセンスを磨いておくと差をつけられるようになると思います。レオナルドダヴィンチも証明しています。そもそも慶應志木をはじめトップレベル校は、定理の証明が頻出ですので、カバーしておきましょう。
今回は3:4:5を即座に自分の図に書き加えておきましょう。
なぜこの線を引くか?
円とは、2次元ユークリッド空間上の、定点Oからの距離が等しい点の集合でできる曲線を指します。
この問題では定義が大事なのではなく、定義を根拠に円は必ず中心を結ぶことを意識することが大切です。
開成・慶應系列を考えている生徒は、定義、定理の確認やその証明が直接設問で問われているので当然分かっていると思いますが、そうではない人も今回のように補助線を引く基準になるのでしっかり頭に入れておきましょう。
★ここで円の基本事項の確認をしましょう
当年度の大問③で外角の二等分線の比の証明が聞かれました。難関校を目指すなら4通り頭に入れておきましょう。
O₁B、O₂B、O₂Dも結びます。
円の中心と接点を結ぶと垂線に対して垂直に交わります。この情報を使うかどうか考える前に引きましょう。
半直線AXに対してBO₁、CO₂はそれぞれ垂直に交わるので、四角形O₁BCO₂は台形となりますので、補助線O₁Fを即時に引いて△O₂O₁Fでピタゴラスを使う難関校向けの問題集に掲載されている典型問題です。
2:模範解答とそのプロセス
Ⅰ:△O₂O₁Fにピタゴラスの定理を用いる
FC=O₁B=3
O₂F=O₂C-FC=x-3
O₁F=BC=y
O₁O₂=O₁E+EO₂=3+x
よって、△O₂O₁Fにピタゴラスの定理を用いて、
O₂F²+O₁F²=O₁O₂²
(x-3)²+y²=(3+x)²
中学1年生で徹底的に習う同類項をまとめることが活かされている指導ならば、
y²=(x+3)²-(x-3)²
とそれぞれの式についてまとめるのは当たり前ですね。
さらに、2乗の計算をわざわざするより工夫しましょう。右辺がA²-B²の形になっていますから、(A+B)(A-B)に変形でき暗算がはかどります。
y²=2x×6
中学2年生の連立方程式の単元で徹底されている考え方、二つの文字(x,y)に対して式一本であれば、代入法で使えるように一つの文字について解いておきましょう。yについて解くと
y=2√3x
と根号が出てきますので、今回はxについて解いておきましょう。(なんとなくの選択ではなく、このように理由を持って選択します。)
∴x=y²/12・・・・・・⑴
ここでも、中学2年生の連立方程式の単元で徹底されている考え方、文字が2つ(x,y)で式一つ⑴ですのでもう一つ式を導く必要があります。
Ⅱ:△DO₁O₂にピタゴラスの定理を用いる
天からアイディアが降りてくるのではなく、自力で導けるようになります。
その最低条件として、与えられた条件すべてを先程述べた理屈でしっかり図に落とし込んでおく必要があります。
先程述べたことが身についていれば、既に線分O₁EO₂、線分DO₂が結ばれていますので自ずと自分で作った図から直角三角形DO₁O₂が完成しています。ですから、こっちでもピタゴラスを使おうとなります。
後は小学生コースで身に付けているはずの図形の基本的感覚、対称性より、AC=ADを併せて使っていきます。
Ⅲ:円の外にある1点からその円に引いた2本の接線の長さは等しいことを利用してO₁Dを求める。
さらに、AC、ADは円O₂の接線だから、AD=AC=4+y
O₁D=AD-AO₁=(4+y)-5=y-1
△DO₁O₂にピタゴラスの定理を用いて、
O₁D²+DO₂²=O₁O₂²
(y-1)²+x²=(3+x)²
さっきと一緒、同類項をまとめるように式変形!
(y-1)²=(3+x)²-x²
さっきと一緒、2乗をスキップ!
(y-1)²=(3+2x)×3
(y-1)²=9+6x・・・・・・⑵
⑴を⑵に代入しましょう。
(y-1)²=9+6×y²/12
ここまでくればyについての2次方程式の計算ですので、瞬時に処理しましょう。
★合格を分ける計算の工夫
解き方ばかりに頭を持っていかれるのではなく、工夫によって時間を短縮できるところは全て短縮します。
Alma Mater生は瞬時に工夫できるように準備しますが、難関校合格まであと少しで落ちてしまうレベルの生徒(大手FC、チェーン塾の最上位クラスの下半分)の人たちはここが遅くて、「解き方分かったんだけど時間なくて答え出なかった~、最後までいけなかった~」と毎回模試の度に同じ言い訳を繰り返すだけで、対策を進めません。「解き方あってたけど計算ミスった~」と平然と言って、あろうことかそれをたまたま耳にした先生も「惜しかったけどほとんど合ってるじゃん」とその場だけ幸せな雰囲気を作ります。塾によっては第3次産業サービス業としてマニュアルさえあります。中学受験で悔しい思いをした生徒は、受験は合格か不合格の二択しかなかった3年前の現実を思い出しましょう。「解き方が分かっていましたか?」などと憧れの学校は聞いてくれませんでしたよね。答えを正確に時間内に出せてようやく合格で、それ以外は不合格でした。それが理解できるのであれば、その場だけ言い訳したり、その場だけ幸せな雰囲気に和んだりするのではなく、解けていない現実にしっかりと向き合い、適切な対策をしてもらいましょう。そして桜咲く季節の充実を勝ち取りましょう。間違ってもトップレベル校を受験するのに、「過去問暗記するまで徹底的にやろう」という、ミスの分析をサボった思考放棄の受験対策をしたり指導を受けていたりしてはいけません。2年前の慶應入試が少し傾向変わっただけで、大手塾のオプションコースで過去問に似ている問題を繰り返していた人たちは狼狽えていましたね。そもそも大して変わっていませんし、トップレベル校で過去問と似た問題が出たら、差がつかなくなるから出題される確率が低いとなぜ考えなかったのでしょうか、考えられないから不合格者になるのですが、、、
y²-2y+1=9+y²/2
y²-4y-16=0
偶数の解の公式
y= 分子:-(-2)±√(-2)²-1×(-16)
分母:1
y=2±2√5
yは線分BCの長さだから正!
y>0より、y=2+2√5・・・・・・(答え)
聞かれているもの全てに答えているか確認するのは当たり前ですね。
これを⑴に代入して、
x=(2+2√5)²/12=24+8√5/12=(6+2√5)/3・・・・・・(答え)
★担当者考察
斜字太字の部分は当たり前で、しっかり準備していれば無意識で考えることであり、普通の文字のところのみの作業でこの問題は答えが出ます。したがって解く時間は1、2分で十分です。
この問題やこの年であれば③の外角の二等分線の比の証明など、当たり前の問題を即答して、差がつく多くの人が経験していない思考力勝負の問題に充分な時間をさけるようにしておき、残りの受験勉強でしっかり思考力を身につけておけば、早慶や戸山くらいは合格できるでしょう。
この程度の問題で、「難しいな~」と言いながら、解説を読み直して、そのあと生徒に分かりやすい雰囲気で読み上げられる環境でどうやってトップレベルの思考力が育つのか不思議です。