モザイクの向こう側に手を伸ばす。
手探りで掴み取るモノクロームの騎士。

掴めるものなどあったっけ?

掴み取る手すら、もう腐ってた。

君はまた
僕ん家の水槽にへばりついて
こちらなんて見向きもしない

小さく祈りながら
僕は澱んだ水に泳ぐ

こんな僕が優しいだなんて

よく言えたものだね


目薬さして視界澄ませて目を凝らして

よく見てごらんよ


汚物だけで構成されたこの顔を。

また無駄にテトリスが巧くなった

誰の侵入も赦さない狭い部屋で

ひとりで興じるパズルゲーム

殺人狂の空の下で

失われた言葉だけを求め続ける。

僕は己の心だけ殺し続けた。


こんな醜いのはもうたくさん。

吐瀉物に埋もれて死んでいこう。

自己陶酔はもういいよ。

不幸自慢は楽しいかい?

いい加減聞き飽きたから

僕はそろそろ家に帰るよ。

頬を伝って喉元を這う

涙はなめくじみたいに汚くて

ゆっくり空気を汚してゆく


手の甲伝って指先を這う

赤は鉄錆みたいな異臭を放ち

ゆっくり空気を汚してゆく


世界の終わりの深淵を見つめる

両眼は余りにも残酷で

ほどけた爪先から溶けて流れる

どうしてそんなに清んでるの

裂けた皮膚の割れ目から

滞りなく終わりへ向かう

自分が嫌で

断って断って断って断った

そしてまた自己嫌悪

ただの能無し

死ねばいい。

願う事は
「嫌わないで」
「見捨てないで」
ただそれだけ
卑怯な奴だな
明かりを消した部屋
ベッドの上
眺めるのは空白の闇
電子音みたいな耳鳴り
浮かんで消えない繃帯の白さ
天使の骨の色を見た