曲を知らないまま臨んだライブだったので、『嫉妬の権利』と分からずに、サイリウムの色を周りに合わせるのに失敗し、一曲目が終わってしまった。
二日間で延べ60曲もあるのに、こんな調子でこの話は終わるのだろうか?
あとあと分かった事だが、『嫉妬の権利』の出だしは、『田舎の場面』ではなく『日向の楕円』と述べている事が判明した。
日向の楕円? そんなフレーズは今まで聞いた事が無いので、無理もない話だ。
それに、ライブ会場の音楽と歌の音量が大き過ぎて、歌詞なんか判別出来やしなかった。
もう少し静かに、盛り上がって貰いたいものだ。
と、訳の分からない事をのたまったのも束の間、次の曲が始まってしまった。
二曲目もまた、ピアノの伴奏から始まった。
また、知らない曲だった。
でも、出だしのフレーズを聴けば、もしかしたら分かるかもしれない。
出だしに注目!
♪♪ ねぇ、なぜ 鳥は逃げた~
知るか!そんな事!
そんなのオイラに聞かれても。
というか、聴いたら余計分からなくなった。
僕はにわかに疑い始めていた。
これは本当に、乃木坂46のライブなのかと。
とにかく知らない曲ばかりだからだ。
まさか、別のグループのライブに紛れこんでないよな? と。
武道館に入ったのは始めてだったので、その内部構造までは知らなかった。
まさか、上下二段構造になっていて、第二会場の方に紛れこんでしまったのか?
僕は焦りを隠せなかった。
天国に一番近い席で、更に真横だったので、メンバーの顔なんか肉眼ではよく分からなかった。
一番最後尾の席なので、敵に背後を取られる心配はないが、前方に見えるメンバーが、僕を窮地へと追い込んでいった。
僕は焦りを隠せなかった。さっきも言ったか。
まさか目の前にいるグループは、
ももクロ クローバーではないよな?
でも僕は、ももクロ クローバーも見た事がないので、正確な判断は出来なかった。
一度冷静になり、周りを見渡したら、ステージに 乃木坂46 の文字が見えて、ホッとなでを胸おろした。
助かった!
僕はギリギリの戦いの中、命を繋ぎとめ、その何だか分からない二曲目を堪能しようとした。
ここで新たな問題が浮上した。
サイリウムの色は、何色にすればいいのかと。
さっきは赤だったので、赤のままにしていたが、会場はポツリポツリと色が変わっていた。
いったい どの色が正しいんだ?
誰か教えてくれ!!
それより、この曲だ!
この曲名を、誰か教えてくれ!!
そんな調子なので、全く楽しめない僕を置いてきぼりにし、二曲目が終わろうとしていた。
その時!
♪♪ 自由の彼方~ ♪♪
!!
自由の彼方っスよね?
ひょっとして
僕の問いかけをかき消すかのように、二曲目も終わってしまった…
これで2連敗。 僕は完全にドツボにハマっていた。
「 帰ろうかな 」
僕には、アンダーライブはまだ、ハードルが高かったようだ。
と思った矢先に、、
♪♪ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ♪♪
これは!!
13日の金曜日 !
なぁ~んだ~ もう!
乃木坂さんじゃないですかぁ!
それならそうと、早く言ってくださいよー!
やっと知ってる曲がかかって、乃木坂46のライブに来ているのだと、実感した。
つづく