グラフィックデザインでベクター画像を上手に使うヒントとは？

こちらの記事はグラフィックデザインでベクター画像を上手に使うヒントについて解説しております。デザインに詳しくなかったり、業界の駆け出しデザイナーの方は、適切なファイルフォーマットがどれなのかわからなかった経験があるのではないでしょうか。　”ベクター”とは、企業ロゴやイラストのソフトで使う、ピクセルの代わりに数式でカーブやパスを表現する画像形式。　一方”ラスター”とは、デジカメで撮影した画像の様にピクセルで構成された画像形式を指します。

ベクター画像の最大の特徴は、解像度に影響されないため、拡大及び縮小する際も、データ品質を一定に保ったまま変更することができます。　ラスター画像にはできない多くの処理がベクター画像では可能なので、グラフィックデザインの現場で重宝されています。　ベクター画像を上手に使うヒントとは？　タイトル画像：Kit8.net

ベクター画像

ベクターとは、ピクセルデータの代わりに、数式を使用することで、画像を描写するグラフィックスのファイル形式です。　ベクターの始点は、ポイント(点)にあります。2点を結ぶと、パスを作成できます。パスは、直線や曲線だったり、その他の線と組み合わせたり、シェイプを形成します。それぞれのパス、カーブ、シェイプには、数式が適用されている為、サイズを拡大及び縮小したとしても、滑らかさや線の品質を損なわずに済みます。その為、印刷や巨大なサイズに対応するには、ベクター画像を使うことが理想的です。下記画像の虫メガネ拡大部分にご注目ください。

画像： Tasiania

ベクターファイルの特徴

サイズ変更ー作成したグラフィックを大きく、あるいは小さくしたとしても、元のオリジナルサイズと同じ鮮明さを維持します。上記のトロピカルパターンの一部分を拡大した箇所をご覧下さい。

ファイルが軽量ーベクターは、ピクセルではなくパスを用いている為、ピクセル画像と比較して、かなり小さいファイルサイズです。

加工が容易ーベクターファイルは、色、形、サイズ、レイアウトなど様々な箇所の加工が容易です。

専用ソフトが必要 – ベクターファイルを開くには、Adobe Illustrator や Sketch といったプログラムが必要であり、ラスターベースの Photoshop などでベクターファイルを開くと、1枚の画像になってしまい、パーツ毎の編集などができません。

ベクター画像を使うべき案件

サイズの変更が必要なグラフィック案件は、ベクターの出番です。例えば、企業ロゴは、名刺、会社概要、チラシ、それにTシャツ、巨大なビルボード広告、小さなモバイルデバイスの画面まであらゆるサイズで使用されるので、ベクターが適しています。　ロゴ以外では、アイコン、タイポグラフィー、文字のデザイン、デジタルイラストなどでは、ベクターが適切なフォーマットになります。

ベクターは一見複雑そうに見えますが、全てゼロから自分で作る必要はありません。　Shutterstockのベクター画像集をご覧頂ければ、フォント、パターン、アイコン、イラストなどがライブラリに登録されているので、それらをカスタマイズして使うという手があります。　また、Shutterstockでは、中小企業向けにベクターファイルのパッケージをご用意してますので、ぜひご利用下さい。

ラスター画像

ラスター(=ビットマップ)画像では、大量の色や形をしたピクセルの集合体で１枚の画像を表現します。　プリントされた写真や、デジタル画像などは全てラスター画像です。ラスター画像をどんどんズームしてみると、１つ１つのピクセルを確認できます。　下記画像の虫メガネ拡大部分にご注目ください。

>画像： Tasiania

ラスター画像は、ズームアウトすると滑らかになりますが、ズームインすると、ピクセルの限界が露出します。　上記のトロピカルパターンのズーム箇所をご覧下さい。　ラスターは、解像度に準拠し、特定のサイズでは正しく表示されますが、拡大すると、画像がぼけたりギザギザしたりしてしまいます。

ストックフォトのサイトからラスター画像ファイルをダウンロードする際は、ファイルサイズや品質にご注意下さい。　高い解像度の画像には、何百万ものピクセルが含まれています。　例えば、上記のトロピカルパターンは、4000×4000のため、16メガピクセルで構成されています。　ピクセルの数が多ければ多いほど、ファイルサイズや品質は高くなります。　Shutterstockでは、高品質及び高解像度の画像でも同じ価格でライセンスを購入頂けます。

ラスター画像の特徴

ラスターは、高密度な写真画像やデジタル媒体に向いたファイルフォーマットです。高解像度ファイルでは、色の移り変わりを詳細かつ滑らかに表現することができます。ラスターファイルの編集には、Adobe PhotoshopやShutterstock Editorなどがあります。ラスターファイルの加工を行うときは、サイズ縮小のみ、拡大はNGです。

画像： Andrew Mayovskyy

ベクター画像のファイルフォーマット

ベクター画像の保存や書き出しには、AI、EPS、SVG、PDFなどがあります。各フォーマットには、特性があり、プログラム間でコンバージョンする際の品質に影響を及ぼします。

画像： filborg

AIファイル

AIとは、Adobe Illustrator独自の編集及び読み込み可能なファイルフォーマットを指します。Adobe Illustrator以外には、CorelDRAWでも編集可能ですが、いくつか機能に制限があります。また、プログラムのバージョンに準拠するため、バージョンが異なれば、ファイルの内容も異なって見える場合もあります。

EPSファイル

EPSは、Encapsulated PostScript (エンキャプサレイティッド・ポストスクリプト）の頭文字をとった2Dベクターフォーマットのグラフィック、文字、ビットマップを指します。EPSは、ベクターの書き出しに使う標準フォーマットであり、使用プログラムが異なる方と、データロスを抑えつつ共有したい場合などに使われます。

Shutterstockでは、ベクター画像には EPSを使用しています。Adobe Illustratorを使って加工もできますし、Adobe Photoshopで開けばラスター画像として使用することもできます。