「これ安土さんから預かったのよ。」


多分自分で包装したんだろうなって感じの、


手作り感満載の小さな包。


ふっと笑ってしまった。


「下手くそな包み方…千葉らしいや。」


千葉は、見かけによらず不器用だった。


家庭科の時間も一生懸命やってる割には仕上がりがおっつかなくて


最後には先生や友達に手伝ってもらってた。


千葉が、必死で包んだと思うと自然と笑みがこぼれてきた。


もうここにはいないのに、


病室には千葉の気配が病室の中に残っていた。


「開けないの?」


「一人の時に開ける。」


「もう、秘密主義!」


「うるさいよ。」


開けたら泣いてしまいそうで、


母親の前で開けるなんて出来るわけない。


「そうだ、気にならない?コンクールどうなったか?」


「あ、忘れてた…」


「忘れてたって、もう、命懸けでコンクールに望んでたくせに。」


「懸けてないし…でもまあ、心配おかけしました。」


「ふふ、謝れると気持ち悪いわね。」


「で?どうなった。実いうと半分意識飛んでたから、


 あまり期待してないんだけど…」



「そうね、めちゃくちゃだったわ、でも鬼気迫るものがあったわ。」


「賞には入らなかったけど、十分審査員の人たちの印象に残ったみたいで、


 来年また挑戦するようにと電話をもらったわ、容体も心配してくれてた。


 それから、審査員の一人の音楽プロデューサーから


一度話しをしたいって連絡が入ったって。どうする?」


「どう言う意味?」



「もっといろんな曲を聴きたいんじゃないかって


担当の人は言ってた。


えーとね、確か結構有名な人らしいわよ。


ネットではMEって言う名前で若い人に人気あるみたい。


前田瑛二さんて言うらしいけど知ってる?」



千葉が自己紹介のとき言ってたMEさん!


僕も影響されて、ファンになった。ボカロの曲なんかもやってて、


コアなファンが結構付いてる。


「知ってるに決まってる!会いたいよ!」