気がついたとき、見慣れない風景の中に、
泣きはらしたような千葉の顔があった。
手を伸ばそうとしたら何かにつながれていて、手首に痛みが走った。
ああ、点滴に繋がれてたんだ、
「たかちゃん!」
「千葉。俺どうしたんだ」
「病院だよ!救急車で運ばれたんだよ。盲腸だって。」
「も、盲腸…そうかあ、それで痛かったんだ。」
「痛かったの?もしかしてずっと痛かったの?それで顔色悪かったの?」
「ん…多分。」
「もう!倒れるまで我慢しちゃダメじゃない!
あ、たかちゃんのママはお医者さんと話ししてるみたい。」
表情をクルクル変わる千葉の顔が妙に大人で、
眩しく見えた。
「でも、千葉なんで病院いるの?」
「たかちゃん、あたしの手、離してくれないんだもん。」
そう言って見せられた千葉の腕には、俺が握り過ぎてできたらしい痣があった。
「わ、痣になってる。ごめん!」
「いいの、おかげで救急車に乗せてもらえたよ。
それに、
心配だったから。」
「ごめんな千葉。皆と最後の時間に俺、こんなことになって。」