黄氏は訪中中、「人工知能は中国に新たな機会をもたらしている」と発言し、中国AI市場の急成長を高く評価しました。米中対立が続く中でも、AI用半導体や計算資源をめぐる協力問題を完全には切り離せないという現実が浮き彫りになった形です。
黄氏は近年、中国AI産業について繰り返し高い評価を示しています。特に、中国企業の製品開発スピードを「世界最速級」と評し、激しい競争環境が技術革新を加速させていると指摘しました。また、世界のAI研究者の約半数が華人系であることや、中国の理数教育の強さ、オープンソース文化の活発さが、中国AI発展の原動力だと分析しています。
さらに、黄氏はAI産業を「エネルギー、チップ、インフラ、モデル、アプリケーション」の“五層構造”で説明し、中国は豊富な電力供給と巨大な製造基盤を持つため、「AI+製造業」の組み合わせで大きな優位性を持つと語っています。
一方で、米政府による対中半導体輸出規制については強い危機感も示しています。黄氏は「中国が最先端チップを入手できなくても、大規模データセンターを量で拡張すれば性能差を埋められる」と主張。さらに、中国企業はアルゴリズム最適化能力が高く、ソフトウェア改善でハードウェア不足を補えるとしています。
また、輸出規制が逆に中国企業の国産化を加速させている点も問題視しています。中国ではHuaweiの「昇騰」シリーズをはじめとする国産AIチップが急速に普及しており、NVIDIA製品への依存脱却、いわゆる「脱NVIDIA化」が進行しています。
ただ、黄氏の立場には矛盾もあります。公の場では「米国はAI分野で首位を維持すべきだ」と述べ、中国への最先端チップ供与には否定的な姿勢を示す一方、企業経営者としては、中国市場を失えばNVIDIA自身の収益と研究開発力が弱まるという現実にも直面しています。米国の政治的要求とグローバル企業としての利益の間で、難しいバランスを迫られている状況が鮮明になっています。
