中国で開催中の国会に相当する全国人民代表大会で、代表の魏巧氏が提案した「大学生の婚姻・出産教育制度」をめぐる提言が、中国のSNS上で大きな議論を呼んでいます。とりわけ魏氏が個人的見解として「もし自分が大学生に戻れるなら、学生時代に2人の子どもを出産したい」と語ったことが注目を集めました。
魏氏は、全国婦女連合会の調査を踏まえ、近年の大学生の間で「恋愛を望まない、結婚を避ける、出産に消極的」といった傾向が広がっていると指摘しました。その上で大学における婚姻・出産教育のを本格的に導入し、若者が前向きな結婚・出産観を持てるよう育成する必要があると主張しました。また、自身の経験から「学生時代こそ出産の機会を逃さないべきだ」と呼びかけました。
しかし、この発言に対しては強い反発の声も上がっています。特に多くの若者は、大学生や大学院生には十分な経済基盤がないと指摘しています。中国のSNS上では「収入もなく生活費を親に頼る大学生が、どうやって子どもを育てるのか」といった疑問が相次ぎ、就職難や低賃金こそが結婚・出産をためらう最大の理由だという意見が目立ちました。
さらに、若者の多くは結婚・出産は条件が整った場合に選択するものだと考えています。精神的な相性や経済的自立を重視する傾向が強まり、「低品質な結婚」を避けたいという意識も高まっています。また、20代後半から30歳前後の若者の間では、まず仕事で基盤を築き、その後に家庭を持つという考え方が一般的になっています。
若者が結婚や出産に慎重になる背景には、現実的な生活の負担もあります。就職環境は依然として厳しく、給与水準も高いとは言えません。さらに妊娠・出産から教育費まで長期的な費用がかかるため、「子育てはクレジット払いで行うようなものだ」と自嘲する声もあるほどです。
また、制度面の問題も指摘されています。保育サービスの不足や職場での出産差別、共働き家庭の育児負担などが重なり、「子どもを預ける場所がない、育てる余裕がない」という状況が生まれているという指摘です。特に高学歴の女性の場合、30歳前後で出産とキャリアの両立を迫られるというプレッシャーも大きいとされています。
学生に対して、結婚や出産は良いことだと教育し学生結婚を奨励した今回の提言。あまりに非現実的な提言に若い世代からは厳しい声が寄せられる結果となりました。
