現在、留学生に受け入れを厳格化しているアメリカ。その中でも、ハーバード大学はトランプ政権から「中国共産党と協力している」「反ユダヤ主義」であるとして留学生受け入れ資格の停止が発表されるなど世界的な注目を集めています。
こうした中、5月29日に行われたハーバード大学の卒業式では中国山東省青島出身の蒋雨融氏が卒業生を代表しスピーチを行いました。スピーチでは、「人類は共に栄え、共に衰える。私たちは非常に困難な時期にあり、思想、民族、アイデンティティの間には多くの分裂が存在します。この時こそ、お互いが繋がっていると想像するようなある種の道徳的想像力が必要とされます」と、トランプ政権の政策を批判する言葉が語られました。
またスピーチ後、ネット上で誹謗中傷されている自身のハーバード大学への裏口入学疑惑についてもメディアの取材に応じ、「ハーバード大学の大学院に申し込んだ際、父親が幹部を務める上記の基金会が確かに彼女のために推薦状を書いたが、最終的には提出しなかったと述べました。ハーバード大学の大学院の学費については、卒業後に自分で工面したものである」と説明しています。
留学生への処遇を巡っては、アメリカだけでなく日本でも「留学生は受け入れなくて良い」「留学生に奨学金は不要だ」という意見がネット上で多く寄せられるようになっています。実は50万人の留学生を受け入れている中国でも同様の声が寄せられるようになっています。中国では留学生向けの奨学金の種類が数多くあり、国費留学生奨学金、地域ごとの奨学金、学校独自の奨学金、企業奨学金、HSK奨学金などがあり、中国のネット上では「留学生に払う奨学金があれば中国人学生の学費をもっと優遇するべきだ」という声が徐々に大きくなっています。
かつて日本に留学した周恩来元首相は戦後、日本との関係を重視し日中国交友好条約の締結に尽力し、また日本で留学生活を送った魯迅も現在に至るまで日中の文化交流に大きな役割を果たしています。留学生に対する全面的な排他的な考えは、将来的な国益を損なうことになるでしょう。若い世代への育成の種を蒔き続けることはどの時代でも重要だと思います。