経済成長や女性の社会進出が進む一方、中国では少子化問題が最重要課題となっています。学歴社会となった影響もあり教育費への懸念から子供を持たない家庭が増えているのです。離婚クーリングオフ制度の導入や育休制度の拡充、子育て世帯への優先的な公営住宅の提供などが進んでいますが目立った効果は出ていないのが現状です。
中国経済系メディア・財聯社(3月13日)は、内モンゴル自治区フフホト市では新たな少子化対策として、「一人の子供出産で20万円・二人目で100万円・三人目で200万円」の出産給付金支給を行う方針を発表したと報じています。また子供が10歳になるまで毎年最大で20万円の子育て給付金も支給するとしています。
これまで中国の多くの地域で行われてきた少子化対策のほとんどは、子供のミルク・おむつなどの物品支給などに限られ、直接的な経済支援を望む若者世代からは批判の声が寄せられてきました。今回のフフホト市の現金支給の方針には「ようやく現実的な政策が見えてきた」「本当はゼロがもう一つ欲しいところだが不景気の中、フフホトは頑張っている」など肯定的な意見が多く寄せられています。
中国はかつて人口抑制のため一人っ子政策を実施し、この中で強制的な避妊・堕胎手術も行われてきました。個人的には、こうした過去の闇から目を背け、少子化になった現在では「産めよ増せよ」のスローガンの下、出産奨励を行う姿勢には疑問を持たざるを得ません。