中国映画『ナタ2』2500億円 一方で声優が訴訟に | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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中国のアニメ映画『ナタ2』(原題:哪吒之魔童闹海)は中国史上過去最高の興行収入を記録し、2月20日時点で125億元(約2500億円)を超え、アニメ映画として世界歴代1位となっています。最新の3D技術やCGを駆使し、古典小説『封神演義』をヒントに神々や英雄たちの戦いを描いています。



映画の実績が大々的に報じられる中、同作に声優として関わっていた女性声優が裁判を起こしていることは知られていません。

中国メディア・安徽商報(2月27日)は、兔七(うさな)の芸名で声優活動をする女性が、所属していた事務所・成都声娱文化传播有限公司に対して、給与の未払いや無断解雇を行ったとして訴訟を起こしていると報じています。



2021年、当時大学3年生だった兔七は声優事務所に研修生として採用されその後、正式に事務所と契約し毎月5000元〜1万元(10万円〜20万円)が約束されていました。彼女はその後、今回大ヒットした『ナタ2』にも声優として参加するなど活動の場を広げていましたが、しかし、事務所側はその後も研修生時代と同じ金額の給与1100元(2万2000円)のみしか与えず、さらに社会保険や失業保険などにも一切加入させなかったのです。

日本でもアニメ業界における「やりがい搾取」、「不当な労働契約」などの問題が存在しています。法的に定められた労働環境を提供出来ない企業などはいっそのこと廃業するべきで、搾取という形に依存することでしか利益を出せない経営者は人を雇用する資格はないでしょう。