DNA検査やAI防犯カメラなどの技術進歩によってこの数年、中国では多くの未解決誘拐事件の捜査が進み、人身売買の被害に遭っていた児童の発見につながっています。一方、近年では病院が関与する人身売買事件が頻発しています。今回、中国では公営病院で複数の医師が子供の人身売買に関与していたことが発覚し大きく報じられています。
中国メディア・観察者網(1月2日)は、山西省大同市第一人民医院で人身売買が行われていたことを報じています。この病院の産婦人科では人身売買の仲介業者と結託し、子供を望まない女性が出産した場合、仲介業者を通し子供を望む家庭に高額な金銭と引き換えに子供を売っていたことが明らかとなったのです。
市民記者組織による潜入取材によると、この病院では数年前から子供の人身売買が行われており、一回あたり8万元(約160万円)の報酬を得ていたというのです。さらに、病院という立場を利用し出生届などの書類の偽造も行われていたと見られています。この病院では人身売買が常態化していたと見られ、産婦人科の主任級の医師などが犯行に関与していたことも報じられています。
中国ではコロナ禍の設備投資で多くの病院が経営難となっており、公立病院の倒産という事態もすでに確認されていたり、給与未払いによって医療従事者たちによるストライキも起こってきました。公立病院が人身売買に関与していたという前代未聞の今回の事件。背景にはこうした経済的な問題もあったのでしょうか。