中国の大学で性別変更した学生情報を公表  | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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LGBTQなど性的マイノリティの人々に対する差別や偏見は日本のみならず世界でも大きな課題となっています。徐々にですが、関係団体や行政の取り組みもあり理解は広がりつつあるように感じます。こうした世界の流れに大きな遅れをとっているのが中国です。今回、中国の名門大学では学生のプライバシーに関わる情報を事務局が公表するという信じられない事件が起こっています。

中国メディア・潇湘晨報(12月10日)は今月10日、武漢市内にある華中科技大学医学部の校舎内の掲示板に性転換手術を経て戸籍の性別変更を行なった学生の情報を5日間に渡り掲示していたと報じています。



掲示板には「学生の性別変更のお知らせ」とし、当該学生の氏名、学籍番号、専攻、変更後の性別などの情報が記載されていたのです。学校側はメディアの取材に対し、今回の事件が事実であることを認め通常の業務手続の一環として掲示したと答えたのです。中国メディアは、性別変更などの個人情報は極めて慎重に扱うべきもので、学校側が学生の許可なくこうした情報を公表したことはプライバシーの侵害であると指摘しています。

医療従事者には患者の個人情報や容態などの情報に関して極めて高い守秘義務精神が求められるべきで、医療従事者を育成する医学部でこうした事件が起こったことは決して許されることではありません。学校側は今も謝罪することなく、学生の情報を公表したことは問題なかったという態度を貫いています。

中国では同性愛など性的マイノリティの人々を近年まで精神病と定義し、精神病院に強制入院させる事件も頻繁に報じられてきました。今回の学生の気持ちを考えると本当に言葉になりません。