若者の就業率・失業率の悪化が顕著となる中国では、安定志向の学生が増加しており公務員試験の倍率が年々上昇しています。中国では今日、2025年度の国家公務員試験の筆記試験が行われ、3.97万人の募集枠に340万人が応募してその倍率は86倍となっています。
中国メディア・今日頭条(12月1日)は、国家公務員試験の応募者数について昨年から40万人も増え過去最高を記録したと報じています。人気の職種では倍率が約1.2万倍という脅威の倍率ともなっているのです。
中国では不動産バブル崩壊に続き、新型コロナウイルスの流行時の経済政策の失敗により、企業倒産が相次ぎ就業率・失業率の悪化が顕著となっていました。こうした状況の中で、安定した公務員を志望する若者が増加していき、2021年に40倍程度だった国家公務員の倍率がわずか5年で86倍と急増しているのです。
中国メディアの中には公務員が若者の「憧れの職業」となったと報じているものもありますが、実際には経済政策失敗の影響により中国全体で求人倍率の悪化が加速している深刻な事態であると言わざるを得ません。
コロナ前は若者が中心となって立ち上げたスタートアップ企業が次々と創業され年間5万社が誕生していましたが、現在は年間1000社前後と最盛期のわずか2%という結果となっています。公務員人気を好意的に報じる中国メディアですが、多くの若者が公務員職を志望せざるを得ない現実を政府やメディアは受け入れるべきでしょう。