中国女子体操界の美女として知られ現在は配信系タレントに転向したウー・リウファン(吴柳芳)。自身の動画配信アカウントが凍結された事件について、背景に引退後のアスリートの厳しい生活があったことが指摘されています。
中国メディア・観察者網(11月26日)は、世界大会で金メダルにも輝いた実績を持ち2013年に現役を引退した吴柳芳が、自身の動画配信アカウントで性的な自身の映像を配信したとしてアカウント凍結処分となったことを報じています。
中国でもその美貌と実力を持ったアスリートとして人気だった吴柳芳は、引退後は体育大学に進学し卒業。その後は若い世代の育成支援のため講師となり、指導者として第二のキャリアをスタートさせていました。しかし、給与の未払いなどの問題が重なり指導者の道を諦め、動画配信者としての人生を始めていたのです。
動画配信では当初、ダンスを披露するなどしていましたが内容が徐々に過激化していき最終的にはアカウント凍結処分となり、現在アカウントは消滅する事態となってしまったのです。
中国は国威発揚の観点から、オリンピックメダリストの育成に莫大な資金を注ぎ、小学生以下の子供時代からオリンピック候補生を育成しています。当然ながら、幼い頃から徹底した練習環境の中に置かれ、一般の子供や学生とはかけ離れた世界で生きていくことになります。
ところが、こうして世界的選手として活躍し引退した後、多くのアスリートに待ち受けているのが第二の人生の厳しさです。世界大会にも出場した中国の半数の選手は引退後、就職難となっています。実際に世界大会で華々しい活躍をした中国選手の中には引退後、ホームレスとして生活していた元選手やメダルを売って食いつないでいる元選手、病気の治療費が払えず亡くなる元選手の姿も伝えられてきました。
今回の吴柳芳についても中国メディアは「美女アスリートの転落人生」と揶揄するような報道をしていますが、実際には給与の未払いという経済的問題が根底にあったのです。オリンピックメダリストの育成も重要ですが、引退後の選手の第二のキャリアをどう支援していくかも同じくらい重要なことではないでしょうか。